第8話 はじめての冒険へ

 街で歓迎を受けた後、装備品を売っている店へと向かった。店主の男性が丁寧に対応してくれて、ワールドトリッパーのためならと、無償で提供してくれることになった。とてもありがたい。

 それぞれの世界で必要なお金は、敵を倒すことで手に入る。また、住民の困りごとを解決することで謝礼としてもらえることもある。世界ごとに使われているお金は異なるが、コンゲルネの力により各世界のお金に交換することができる。

 あまり重すぎず丈夫な装備を選ぶことにした。実際に身につけると、よりいっそう身が引き締まる思いになった。

 その後は道具屋へ行くことにした。回復用アイテムや敵を状態異常にするアイテムなど、使えそうなものを買い揃えた。





 しっかりと準備を終えて、いよいよ出発の時を迎えた。住民たちに見送られて森へ入った。植物がのびのびと生い茂る自然豊かな森だ。人間が踏み入っていない植物だけの世界。地球にこれほど美しい森は無いのではないかと思うほどだ。

 任務とはいえ、自然を壊さないように気をつけなければならない。多少はやむを得ないかもしれないが、それぞれの世界を壊すことは最小限に留めることもまた、ワールド・トリッパーの努めである。

 森に入ってしばらく進んでいくと、さっそくモンスターが現れた。プラント・インテリジェンスの中では最も弱い敵だ。落ち着いて対応すれば倒すことは容易だろう。

 モンスターを倒しながら、少しずつ森の奥へと進んでいく。適度に休憩も取る。休憩なしに無理をしてしまうと、いざという時に動けなくなってしまうかもしれない。


 森の中央付近に到着した。疲れがそこそこ溜まってきていたので、少し長めの休憩を取ることにした。

 いくらワールド・トリッパーと言ってもあくまでも人間だ。食事をしない訳にはいかない。おにぎりを食べて体力をつけた。

 食事の後、この先のルートを確認した。まだあと半分あるが、落ち着いて行動したいと思う。焦りが失敗を産む可能性がある。


 森の奥に進むにつれて、敵も強くなっていく。敵の動きを読んで、瞬時に行動を決めなければならない。

 敵のフェイントを読み切れず、軽くはない傷を複数受けてしまった。かなり手強い敵が多くなってきた。なんとか周囲の敵をすべて倒して、すかさず回復用アイテムのポーションを使った。すると、すぐに効果が現れた。

 森の最奥部まではあと少しだ。プラント・インテリジェンスの幹部と遭遇してもおかしくないだろう。慎重に進んでいきたい。

 任務完了まで油断することなく、しっかりと動くことが出来ればと思っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る