「…私です」

仲仁へび(旧:離久)

第1話




 私です。


 香月シャノンです。


 なんて、知ってますよね。


 いつも私のお話を聞いてくれるんですから。


 本当にありがとう。

 私はあなたがいてくれるおかげで、今日も楽しく、充実した日々を過ごしていけるんですから。


 今日はお話ではなく、相談したい事があるんです。


 実は、気になってる人がいるんです。


 恋してるってわけじゃないと思います。


 けど、一緒にいるともっとお話したいなって思うんです。


 相手の事について色んな事を、知りたいなって思うんです。


 これって変でしょうか。


 女の子の友達以外で、仲良くなりたいって思った人がいないので分かりません。


 だから、ちょっと戸惑ってしまって。


 こういう時、どうしたら良いんでしょう。








 私です。


 うう、そうですよね。


 説明が少なかったですよね。


 いきなりあんな曖昧な相談をされても困っちゃいますよね。


 私が、学校に通っている事はしてますよね。そこに仲のよい人がいるんです。


 その人は、私が困っていたら、いつでも手をさしのべてくれる優しい人です


 もっと仲良くなりたいなと思っているんですけど、どうすればいいんでしょう。


 自分で考えてみても、どうにもうまい事が思いつかないんです。


 いつものように困り事の解決方法を考える時みたいにはいかなくて。


 だから、一緒に考えてくださいますか?






 


 私です。


 今日、あの人とたくさんお話する事ができました。


 少し嬉しいです。


 家庭科の授業で、私達の班が作った美味しいご飯を、たくさん食べて下さったんですよ。


 皆で食べるご飯って、やっぱり普通のご飯ととこか違うんですよね。


 特別に感じてしまいます。


 一生懸命作ったご飯を、誰かに美味しく食べてもらう事って、とっても素敵な事だなと思いました。


 私も、誰かと結婚したら、毎日ご飯を作ってあげる事になるのかな。


 今度手作りのお菓子を食べてもらう事を約束しました。


 はりきって、作らなくちゃ。


 でも、好みを聞くの忘れちゃったな。


 どうしよう。


 男の人が好きそうな味って、どういうのだろう。


 





 



 私です。


 おはようございます。


 今日から少し出かけるので、お隣さんにあずけておきますね。


 ご飯はケージの中に多めにいれておきますけど、食べ過ぎたらだめですよ。


 修学旅行、楽しみです。


 友達と一緒に色々な思い出を作れるといいな。


 観光名所の遺跡を見に行ったり、お土産屋さんを見に行ったりします。


 でも、東の国によくある温泉、というのも体験するみたいです。


 この国には東の国の文化がたくさんあるから、そんなに戸惑う事はありませんが、やはり他の国から来た人は「裸でお風呂にはいるの!?」とびっくりしていました。


 私達が行くところは、タオルを使ってもいいらしいので、それでなれてもらえると嬉しいです。


 温泉、いいですよね。


 前に一度入った事がるんですけど、温かくて気持ちよかった。


 混浴、というものもあるらしいけれど、私にはちょっとハードルが高いです。


 修学旅行中の学生ですし、そもそも入れないでしょうけど。










 私です。


 修学旅行で迷子になってしまいました。


 あやうく、一番外で過ごす事になる所でした。


 でも、あの人が私を探しに来てくれたんですよ。


 すごくうれしかったです。


 ほっとして、思わず抱き着いてしまったのが恥ずかしいです。


 でも、帰る時にたくさんお話ができて嬉しかったな。


 勇気をだして「好きな人はいるんですか?」って聞いてみたら、「いるよ」って言ってました。


 そうなんですか


 少しがっかりです。


 その人は、一体どんな人なんでしょうね。


 きっとあの人にお似合いの、優しい人なんでしょう。


 一日の終わりには、温泉に入りました。


 とても気持ちよかったです。


 でもその時、温泉をしきっている壁が崩れて大変な事になってしまいました。


 男子たちがやんちゃしようとした結果みたいです。


 他のクラスメイト達や先生に怒られていました。


 彼は、のぞきなんてしようと思っていなかったみたいですけど、とばっちりをくらってしまったようです。


 ちょっと可哀そう。


 だから私は「そんな人じゃない事、分かってます」と伝えておきました。


 すこしは元気がでるといいな。









 私です。


 彼に誕生日の贈り物をしたいんですけど、一体どうすればいいでしょうか。


 何を贈れば喜んでもらえるのか分かりません。


 ぴーちゃんは何が良いと思いますか。


 心のこもったものなら、なんでもいい?


 そうでしょうか。


 相手の迷惑になるようなものは贈りたくないんですけど。


 困ってしまいますね。


 そうだ、友達にも相談してみましょう。


 彼の友達に聞けば、何か情報を教えてくれるかもしれません。


 好みや普段の行動を聞くには、彼の友達に聞くのが一番。


 そう教えてくれたぴーちゃんのおかげです。


 でも頼りきりになるのは悪いから、こんど美味しいお菓子を持っていってあげたいな。









 私です。


 大成功です。


 誕生日プレゼントにポケットがたくさんあるカバンをあげました。


 手作りで、丈夫な布で作ってみたんですけど、気に入ってもらえてよかったです。


 最近通学に使っているカバンが壊れたと言う事なので、これからは私が贈ったものを使ってくれるそうです。


 役に立てて良かった。


 他の人にも色々贈り物をされていたみたいです。


 やっぱり、人気なんですね。


 彼は優しいですから、男子にも女子にも慕われているんですよ。


 だから、きっと私の事を特別には見てくれないんだろうな。


 それにしても、あの人の好きな人って一体誰でしょう。


 クラスの中に特別仲の良い人は見当たらなかったんですけど。


 別のクラスにいるのかな。










 私です。


 清掃時間中にさぼって、雪だるまをつくってしまいました。


 あの人が小さな雪だるまを作っていたので、つい一緒になっていたら、先生に怒られてしまいました。


 反省です。


 でも、すごく楽しかったです。


 雪だるまもかわいくできたので、記念にずっととっておきたくなってしまいました。


 そのあと、吹雪になってせっかく作った雪ダルマが埋もれてしまったのは、悲しかったです。


 けれど残念に思っていたら、あの人がまた作ろうと言ってくれました。


 さっきまで悲しかったのに、不思議ですよね。


 来年も一緒に遊べるといいな。


 終わった後、私の手が冷たかったので、彼がぎゅっと握ってあたためてくれました。


 思わぬ行動だったので、思い出すだけでもどきどきしてしまいます。


 そして、今度あたたかい手袋をプレゼントするよ、と言ってくれました。


 どうしよう。


 嬉しすぎて死んじゃいそうです。


 プレゼント、楽しみだな。









 私です。


 今、学校では先輩たちを送り出すために、卒業パーティーの準備をしているところです。


 体育館に色々な飾り付けをしているんですよ。


 でも、途中で飾りがなくなってしまったので、あの人と一緒にお買い物に行きました。


 二人で町に買い物に行くなんて。


 なんだかデートみたいで、どきどきしてしまいます。


 でも、途中ではぐれてしまって、その時に素行の悪そうな人に話しかけらえてしまいました。


 私がつれない態度をとっていたのが彼等の勘に触ってしまったようです。


 彼等は怒りだしてしまいました。


 困っていた私の元に、彼がさっそうと現れて、私を連れて逃げてくれました。


 とても格好よかったです。


 私は、告白するなら今しかないと思いました。


 今なら正直な気持ちを伝えられると思ったんです。


 ここで、言えないとずるずると後にひきずってしまいそうでしたし、


 すると、彼はなんと「俺も君の事が好きだった」と言ってくれました。


 私達、両想いだったんですね。


 すごくうれしかったな。


 きっと人生の中で、一番素敵な瞬間だったと思います。









 それから私達は付き合う事になったんですけど。


 その後も、色々な事がありました。


 学校生活は全ては順風満帆とは言えなくて、時にはテスト勉強が大変だったり、課題の調べ物がたくさんあったり、職業体験で問題が起きたりしてしまいましたが。


 大好きな人と送る学生生活は、私にとって何よりも大切な宝物になりました。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「…私です」 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ