かつてごく普通の令嬢だった少女は、復讐のために剣をとり戦場を駆けまわった
仲仁へび(旧:離久)
第1話
その少女は、かつてはただの貴族令嬢だった。
家族や友人に囲まれて、普通に暮らしていた、普通の少女だった。
しかし、少女は復讐のために剣をとり、戦場を駆け抜けていく。
とある一族を滅ぼすために。
少女の両親は、一つの領地を治めている人間だった。
厳しくもあり、優しい両親。
そんな二人の親を、その少女は尊敬していた。
常日頃から、自分も大きくなったら、そんな風になりたいと思っていた。
しかし、その夢はかなわない。
ある日、鬼族という人間とは別の種族がやってきて、その領地を滅ぼし、両親を殺してしまったからだ。
物置小屋に隠れていた少女は、難をのがれたが、その日から悲しみに暮れる事になった。
いつも嘆き悲しんでばかりいた少女。
両親のもとに行きたいと考えていた少女は、死ぬことばかりを思い浮かべていた。
しかし、そこに現れた一人の人物が少女の手に剣を握らせていた。
生きる意味を見出せないなら、剣を持て。
自分の為に生きられないなら、人のために生きろ。
その言葉を聞いた少女は、両親の為に復讐しようと思った。
その日から、剣を振る日々が続いた。
幸いにも才能があったようだった。
少女の剣の腕はめきめきと上達していった。
そして、少女は鬼族と戦争している国に赴いて、戦いに参加する事にした。
それは魔法使いが多く暮らす国だった。
魔法で何でも行うのが当たり前の国だ。
そんな中で、ただの人間である少女の存在はかなり目立った。
しかし少女は、その国の人々が向ける好奇の視線を気にしなかった。
剣一つで成り上がり、人々からの信頼を勝ち取った。
だからこそ、目立ったのだろう。
戦相手である鬼族はこぞって、変わり者の少女を狙いはじめた。
少女は、復讐相手に困らなくていい、と喜んで剣をとる。
そして、一人でも多くの鬼族を血まつりにしていった。
しかしある日、戦場で遅れをとった少女は、重い怪我をおったまま、近くの川に落ちてながされた。
そして、どこかの辺境に流れ着いたのだが、彼女は怪我のショックで記憶喪失になっていた。
自分の名前も分からない少女が保護されたのは、鬼族の変わり者達が集まる小さな里だった。
少女は新しい名前を経て、その里の者達に親切にされながら暮らしていった。
しかし、ある日、少女は自分の記憶を思い出す。
復讐に身を投じていた時のことを。
少女は、両親の敵を討たなければ生きている意味がないと思って、泣きながら恩人たちを切っていった。
そして、全ての里の者達を切った後、自分の命もその剣で命を絶ったのだった。
しかし、偶然にも凄腕の医者がその里に訪れた。
医者は、里で倒れていた者達の状態を見ていく。
そして、みながまだ息がある事に気が付いて、治療を行っていった。
里の者達は、誰も致命傷を負ってはいなかった。
多くの者達が住む里でなかったことも幸いしただろう。
医者一人でどうにか面倒を見れるだけの数だったための、幸運の結果だった。
彼等は、全て後遺症もなく回復していった。
そして、里の者達は少女の死を悲しんだ。
彼等はその少女について、「きっと悪い魔法使いに魔法をかけられて、豹変してしまったに違いない」と、考えていた。
だから、彼等は復讐を誓った。
もし、里の近くを魔法使いが通ったなら、少女の復讐をしてやろうと。
かつてごく普通の令嬢だった少女は、復讐のために剣をとり戦場を駆けまわった 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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