《番外編第21話》『オカエリナサイ』と『また何処かで』
メルによる
そんな演者の邪魔はさせないとばかりにメルの
アスターが狙っていたのは
リイナをリグレットの肩脇へ運んだ
「……借りるぞ」
「………ガゥ?」
アスターの大跳躍、どうにか獅子の背中へ届き、踏み台にしてさらに天へと
踏まれた獅子が驚いて、思わず
「……
今にもリグレットへ斬って掛かる寸前の処に、シグノの白い翼と自身を引き換えにしたローダが割って入る。
目前で邪魔をされた格好となったアスターが思わず眉を
(……何がやりたい?
アスターの気分を
「……『
魔法すら斬り開く剣がリグレットの顔だった場所の
大体この場に
「こ、これは? 魔法による
ローダの
これにいち早く気づいたローダがその障壁を消す
この騎士見習いの
(……お
「『
両手持ちの剣を全力で握り締め、全身で三日月の如き
ズバッ!!
一刀両断、二つに割れた肉塊の成れの果て。剣圧を飛ばして相手を
そしてこの最高の結果の立役者は間違いなく、あの生意気になった
「………全てを
さあ、いよいよアスターが認めし
ローダが
「私の
─おっ? おおっ………。
「──『
何度か同じことを語るがこれより
メルは泣き虫リグレのことも、リグレットのことさえもまるで知らない。それにも拘わらずこの者の
………その者は明らかに泣いていた。無論、消されることへの悲しみではない。
これまでの
巨大な光の渦となって消えゆくリグレの魂。傀儡の主として、自らも
メルが創造した
「………あ、
同時にメルの手の内で音もなく砂の様に
「………終わったね。ねえ、聞いても良い?」
「………何だ」
葬送の光景に見とれながらも、このルシアにはどうしても
「あのメルって子に渡した杖よ。貴方が本気で創造すれば、この程度で消えたりしない
恐らくその通りであろう………。
心から愛する妻の感じ方を聞いたローダが
「また答えの判ることを聞いているな? 思い出は
「………そっか、うん、そうだね」
ローダに頭を撫でられるのを、敢えてそのまま気持ち良さげに受け入れるルシアである。
確かに夫の言う通りだ。杖なんて当人が欲しければ、同じ物を用意すれば良いだけのこと。あの杖ばかりに
「おぃっ、あんな馬鹿げた奴を倒したんだ。何か他に思う処はねえのかよっ?」
「………アレは
「そ、そういうこと。それにご覧よ。この景色……こんなの見せつけられたら、誰が決めたとか、どうでも良くなったのよ」
同じく楽し気に応えたルシアであった。「………全く、夫婦
一方、地上ではメルとアスターが、パルメラ達の元へ走り寄っていた。パルメラは帰りが遅い二人をそもそも出迎えるために此処に来てくれたのだ。
こういう時に
「………アスター! メルちゃん! 二人共おかえり!」
泣き笑いで両腕を広げ出迎えるパルメラである。はにかんだ笑顔でパルメラに飛び込むメルと、此処に至ってなおも素直になれないのか、プィと目を
「………それにしてもよぉ、アイツ等って一体何者なんだ?」
ガレッツォが横目を流す『アイツ等』とは勿論、ローダ達のことである。確かにリグレットは
その脅威をものともしない彼等がこの場に残っている方が、冷静に考えて余程恐ろしい。ローダという名前の白い翼を持った竜騎士とその一味は、未だ目の届く所に居るのである。
如何にも傭兵らしい現実的な
「………なに、気にするな。ただの騎士見習いとその連れだ」
「そ、そうだよ。あの人達のお陰で私達勝てたんだから、悪い人達の訳ないよ」
メルも慌てて両手を振って彼等を
戦いの幕が下りて、立ち去ろうとするローダ達へ向け、ありったけの
─………ありがとうメル、またいつか絶対会おうねっ!
─………この
(………聞こえた!? リイナとヒビキの声!)
メルは独り………この間、リイナの言っていた言葉が、心を通じ再び
◇
───そのおよそ1ヶ月後の出来事である。
16歳という若さで在りながら、その
これを最後部の観覧席で、やたらと
「………見てください、あの
正に大興奮、指差しながら大いに
「そう? 確かに演技は上手だけれど
「………そ、そうだ! り、リイナの方が、か………可愛いぞ」
それに便乗し、ぎこちない誉め言葉を告げる
「………俺には良く判んねぇ。ルシア、その菓子貰うわ」
完全に白けた顔でルシアが独り占めしている菓子袋へ、
「むぅ………。もしメルが同じものを観ていたら、絶対私と話が合うのに………」
素晴らしいヒロインにまるで興味を示さぬ仲間に思わず頬を膨らますリイナである。
「………全く、『
貴族の
ローダ『最初の扉を開く青年』&葬送のレクイエム──『亡霊剣士と魂送りの少女』コラボ作品
───『蒼氷の瞳に流れる緑色の星屑』 終演 ───
………To Be Continued 葬送のレクイエムⅡ──『不死鳥の巫女と殲滅のつるぎ』 presented by "Mizuki"
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