《番外編第20話》葬送の鐘が鳴る
リグレット・バルバリアが空からバラ
雨の如く今にも降って来よう………その
「セントモルトの火の力、命を燃やす
「………なっ!? り、リイナ? その詠唱はもしや!」
リイナが天へ向けて言い放つのは、
これには落ち着き払っていたローダさえも
「………その力全てを焼き尽くし、やがて
ローダが驚くのも無理はない。不死と化したヴァロウズの
リイナの頭上に出現した黒炎の渦が鳥の形を成し、さらに天高く空にを羽ばたき旋回を始めた。リグレットよりも巨大な黒い炎の輪が生まれた。
─な、何だとォ!? 我のカードを全て焼き払うつもりか!?
リグレット最後の
「………
リグレットの絶望の
「な、何だ此処は!? 何故私はこの姿に立ち返っている?」
………そう、あの巨大な化け物であった筈の姿が失せて、パルメラの護衛をしていた人間の姿。
「………何故その可愛い姿で自分を終わらせようとしなかったの?」
「………終わらせたかったっ! 出来るものならそうしたかったっ! でも
ヒビキの前で泣き伏せ、何も見えない地面を何度も叩いて
「………だからあの子を消して生き
ヒビキの上から視線は決して変わらない。別にリグレへ救いの手を出そうという訳ではないのだ。
「そうっ! そうしなければ消されるのは……」
「………本当にそんなこと望んでいるのかしら? だって貴女自身が
リグレへ質問をしたくせに最後まで聞かず
同時にだからこその
「………ゆ、言うなあァァッ!」
文句を吐きつつ号泣するリグレ。まるで少女が大人の女を打ち負かしている図柄である。
「フゥ………まあ良いけどね。どれだけ貴女が頑張ってみた処で
これからどうにも抗えない
「………
─………小娘? 一体何を?
リグレット、気が付けば現実世界の自分の頭が、全身を
「でも……いつの日か死という人生最後の輝きを受け入れるからこそ生が美しいのです。さあ、そんなにも不死が欲しいのなら存分に受け取りなさいッ!」
………ドクンッ
不死鳥の娘から何か得体の知れないものが流れ込んで来るのを感じ取ったリグレット。彼女は魂送りさえ受けなければ取り合えず既に不死だ。
だがこの娘の手から流れ込んで来た
─グッ!? グワァァァァァッ!!
リグレットの
先程ヒビキが送った大声の後よりも酷い有様。まるで収集が付かない、
─か、身体がぁぁぁ!! 燃え尽きてしまうッ!!
「なら丁度良い、私が冷やしてあげるよ。水と風の精霊よ、我が剣と
「………あのルシアが剣?」
ローダが驚くのも無理はない。これまでのルシアの武器は
氷の刃を生み出すべく材料になる水と風=大気に端を発する精霊に呼び掛けたといった処か。
「ローダの
誰しもが初見であるルシアの剣による突き。氷結した刃がリグレットを
─グハッ!?
やられた方は
「もう、ソイツで充分だと思うが
ズダダダッ!
ズダダダッ!
レイが最も愛する自動小銃コルトガバメント。二丁拳銃の引き金を、次元転移でなく
リグレットの真下で腕を
「フゥ………やっぱ此奴等の引き金は自分の指で引くのが
「だあああ!」
一発当ててやり方のコツを得たのか地上で脚を蹴り出し、硬質化した
「………此奴も
もう勝敗が決した事くらい、
黒いハンマーメイスを二本とも、惜しげもなく投げ込んだ。これ以外に自分の攻撃を当てる
メルが飛ばした足枷の影、ロイドが投げ入れた2つのメイス。その何れもがリグレットを的としてきちんと
ただこれ程までに無秩序だと効果の程は
「クッ! もう俺の手持ちの武器じゃ届かねえな!」
「うちも、もう弾切れや! ………ま、まあ、もう勝負は見えとるしな」
パルメラが扱うスリングショットの方も残弾ゼロだ。連れて来た護衛達の矢も同然であった。
あれだけ見事に暴れてみせたこの二人だが、攻撃手段がないと知るや、もう終いだなと急に落ち着き払って大人ぶる。
そんな二人を尻目にアスターだけが走り込んでゆく。
「メル、
「う、うん! 判った!」
すれ違いざまに声を掛けてゆくアスター。対するメルも魂送りの杖を握って力強く
「………い、いや時間を稼ぐったってアイツどうするつもりだ?」
そうガレッツォが心配するのも無理からぬこと。もう敵は手が届かないし、そもそも剣一本でどうとなるものとは思えやしない。
だが偶然とはいえ、丁度良い踏み台が降りていたのだ。
シャラン………シャラン………。
メルの足枷が楽器となって祝福の
そんな最中、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます