《番外編第12話》強者がみせる蒼い困惑
(………ん?)
けれどもアスターが背中から伝わる熱い何かを感じ取る。
(体力が……力が戻りつつある? まさかさっきの
アスターが心当たりのある先程の
そう、リイナが二人をただ
炎の
言葉はおろか、その
………それだけではない。
(……ワザとだな。こいつ、俺達を
これは自分達が完全に上位と知覚した上で、相手の気分を害さないように配慮した
(…………! なんにせよ助かる)
アスターは敢えてこの気遣いを許容すると決めた。大いにこの剣が
「………
改めて覚悟を決めたアスターの前に白い牙のような刀身の大剣を軽々と片手で握る白い洋装の剣士が何処からともなく出現した。
その姿を見たメルが堪らず腰を抜かして後ろに倒れてしまう。
「あ、アスター………こ、この人背中に白い羽根が生えてる。ひょ、ひょっとして天使ぃ!?」
震える手でメルが指す。彼女の言う通り、白鳥の如き
アスターもその人差し指の先、目を凝らしながら視線を送る。
(お前………まさかあの時の!?)
少々懐かしい記憶を
「違うメル。アレはただの
アスターが冷静を
宙に浮いた相手は静かに首を横に振った。
「違う………間違っているぞ、アスター・バルトワルド。今の俺は………」
「………
ローダが静かに「………ローダ・ロットレン」と養子縁組した証を告げようとした矢先、その連れがド派手に空で反転し、
「………あ、アレだ。アレが俺の嫁、ルシア・ロットレン。背中にいるのは
「………………何…だと!?」
これにはアスターの
『男子、三日会わざれば
「いや、確かに俺は未だ
ローダは倒れた
正式な騎士の称号を
「こっちは大丈夫だ。──メル、立てるか」
「う、うん……っ」
やはり金髪の剣士も相当な堅物に違いない。
まあ、それは別に良い………ローダが伝えたいのはこれからの戦い方だ。
「………リイナ」
「はいっ。亡者に長けたアスター様なら重々承知かと思いますが、あの異形の連中は亡者と似て非なる者です。亡者同様
ローダの意志を汲み取ったリイナが
「………
「えっと、彼等は亡者と違い生きる意志を持ち合わせております。つまり早い話が
その
「………レイ、敵を
ズキューーーーーンッ!!
此処で全く聞き覚えのない
「
その切り拓いた道の向こう側、銀髪で如何にも暑苦しそうなコートを羽織った女がニヒルに笑いつつ、これが答えだと言わんばかりに此方を見ている。
「ヴァロウズのNo8、銃使いのレイ様だッ!」
片目に装着したスコープを
少し射程に微調整の必要性を感じたのか、スコープを調整しているのはそういうことらしい。
「………要は死人と判定出来る状態に追い込んだ上で魂送りをすれば
レイが
「…………良く判った」
この連中の戦いぶりを見せつけられたアスターが、自分も本来両手持ちのバスタードソードを右手に握り、蒼い目を光らせる。
ブンッ!!
「………『
傀儡の軍隊の先陣目掛けて涼しい顔で愛刀を振るう。巻き起こす
「………これで後は
「あ、は、はい。そう……です」
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