《番外編第4話》 超えてゆく者達へ送る応援(エール)
亡者達を葬送する魂送りが出来る14歳の少女メルと白猫の姿をしたジオーネ・エドル・カスードが対面を果たしていた頃。
一人ローダは、揺れる
「………ね、ねぇ
そこへヒビキを寝かしつけたルシアが背後からやって来た。寝かしつけた……と言っても実は今のヒビキ、普段と段違いで
これについての理由は、夫妻双方共に何となく理解していた。
「嗚呼………何だ?」
「その顔は、私がもう何を聞きたいか判ってるよね……」
「…………」
「ジオのことよ。
それは最後の戦いの
三人から放出された緑色の輝きから成る粒子が、リイナ等、生きている者達の
「………それが何故、今になってこの俺の力だけでジオーネを再び呼び出せるようになった?」
「フゥ………そういうこと。それにリイナにしたって、たったの一年でさらなる不死鳥の
やっぱり夫には、既に自分の言いたいことが判っていた。知れ顔で言い当てられ、ルシアが思わず深い溜息を吐く。
焚火の炎が彼女の息に呼応して大きく揺れる。
「………正直ハッキリとは判別出来ない。
「
ローダが己の頭を指差してジオーネは此処で想像出来ると
「だがリイナの新たな能力を説明出来る
「ただ……?」
リイナの成長については正答を知らないと告げた後、笑顔に転じたローダが炎によって照らし出される。
愛する夫の顔を
「これだけは断言出来る。リイナは俺よりも若い、そしてジオーネという天才と一つになった。
………追い越される。それは
この女に取ってこの世で一番
自然と左側に寄り添い、愛しい者の肩に自分の頭をゆっくりと載せる。
「…………そうか、うん。そうよね、人間は進化するんだ。きっとこの先も」
「だな………俺達のヒビキみたいに」
焚火を
加えて「俺たちのヒビキ……」という
◇
「ニャニャッ」
「シーっ、静かに。他の人は皆寝て………!?」
同じ馬車の奥の方では、他の仲間達がスヤスヤと寝息を立てているのだ。突然の愛らしい来訪者は嬉しいが、疲労し切った連中への配慮をメルは忘れていない。
けれどもそんな
「だ、誰!? 一体何処から入って来たの?」
「………え、わ、私の姿が貴女には見えるのですか?」
それは銀髪で白い司祭服を着た女性であった。歳は自分より少し上だとメルは感じた。けれど
白猫の背後に突如、何処からともなく出現したのは一人だけはない。さらにスーッともう一人、長い金髪でブレザーを着た女の子も現れた。
「あちゃ~………不死鳥の力を使ったリイナさんまで連れて来ちゃったぁ……ま、
「いっかじゃないよぉ……ヒビキちゃん、あれだけ目立っちゃいけないって
自分の
その隣で呆れ顔のリイナが頭を抱えて溜息を吐いた。二人共、やたら
「ニャッ!?」
加えて白猫自身からも人影が立ち昇る。あどけない顔、
金髪と特徴的な色違いの瞳。頭からスッポリと被るように着ている緑色の司祭服が明らかに
「ありゃりゃ!? ま、まあリイナさんすら呼び込んじゃたんだから、
ヒビキが明らかにやり過ぎたという顔を隠そうとしない。だけど引っ込むつもりもないらしい。
(………に、二年振りの
(………これがエドルの大司祭、
(………子猫から人が三人も出てくるなんて、一体何が何やら。でも………)
ヴァロウズ6番目の
一方、意識で感知こそしていたが、こうして姿を見るのは初めてのヒビキ。
加えて言うまでもなく実は
三人の視線が
(((……………可愛いィィッ!)))
「…………えっ!?」
三者三様である出会いの形だが、その姿に対する感想は、少しのズレも生じることなく完全に一致した。
寝てる者を引き
暑い暑い、
「と、とにかく皆を起こしちゃいけないから、表に出よっ」
どうにかこうにか冷静な声を絞り出し、メルが皆をそう
背後の仲間がまだ寝ていることを確認しつつ、先ずは自分からソーッと馬車を降りるのであった。
此処はメルの指示に素直に応じ、リイナ、ヒビキ、ジオーネの三人も下車を続けてゆく。もっともこの三人が出す物音は、白猫の歩く音と首輪の鈴くらいなものだ。
シャラリ……。
(………っ?)
その異様な音が
メルの足元をギュッとがんじがらめにしている鉄製の
そんなリイナの視線を、痛いと感じたメルが
「
「あっ、あっ、ご、ごめんなさい。余りに突然過ぎたから忘れちゃってた………。メル………です」
いきなり
これは育ちの
一方自分の名前を答えるだけの至極簡単な作業に、少し後ろめたさを感じてしまうメルであった。
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