《番外編第7話》ひとそれぞれの形(あい)
虫の知らせならぬ、
今朝とて同じく夜明けと共に目覚め、火起こしと簡単な朝食の用意をしていた。
彼がファルムーン家の息子であった頃、朝の剣
その時の生活リズムが自然と続いているのかも知れない。
ただ……今朝は大した差もなく、もう一人ムクリッと起きてきた。
「………何だ、
「お、おはようございます……」
そう、ローダの次に起きてきたのは
返す刀………とは余りに言葉が
そのままローダの隣へ静かに座るロイドだが、
「あ、あの………」
「………何だ」
「
実にもっともらしいロイドの質問、確かに何一つ間違ってなどいない。
ヒビキが例の力を使ってまた
「………そんなことか、正直な話、余り大した理由じゃない」
ローダが食パンを返しながら返事をする。「そんなことか……」と告げた顔が少々
「あのリグレの主人パルメラと共にいたアスターという男。
このローダの返答、此処まではロイドも
だからこそ余計に答えとして不足感が
「そ、それじゃ………」
「昔の
ロイドが「答えになっていない」と続けようとした処に声を低い声を被せてゆく。
「あっ………」
「………だから俺の気にしている亡者の
ローダの答えを察したロイドに対し、さらに無遠慮を載せてゆく。流石にロイドも二の口が告げなくなる。
ただそれはそれとして思わず口を
(もっと
正論をキツメに言われると、人間どうしようもなくなるものだ。ローダ当人にしてみればいつもの無愛想だが、受ける側は出来過ぎる人間の嫌味を感じる。
「………早起きしてまで俺に言いたい本音は、そんなことじゃないだろう」
「えっ?」
両面が狐色に
「お前が本当に話をしたいのは、
「………っ!」
これを聞いたロイドの顔色が急激に変わる。一番痛い
「相手は少年………増してや魂だけの存在。そんな小さいことに
「小さいっ!? リイナとあのジオーネって子は、心と心で繋がっているんですっ! 文字通りの一心同体っ! これを気にせずにいられる方がどうかしてますっ!」
ずっと落ち着いた口調のローダに
「ローダさんも見たでしょうっ!?
「………ロイド、待て、良いから先ず
此処でローダの表情から急に色が失われ、泡を食った感じでロイドを制しようとするのだが、まるで耳に入らない。
「いいえ黙りませんっ! リイナの中には彼が
バチーンッ!!
ロイドは視界が真っ暗になり、脳を揺さぶられ気が動転する。俗にいう頭を星が回っている状態だ。
意識すら飛びそうになるのをどうにか抑えると、目前に平手で自分の
「馬鹿ッ!
思い切り
「
「はぁっ!?」
驚きの視線をローダとリイナに向けるロイド。彼とて想像を
けれどもこの話は初耳であった。言わば永遠に老いることのない力を手に入れたようなものだ。
「よ、よすんだリイナ。俺のことはどうでも………」
「いいえっ、止めませんッ! この人はねっ! 死ねない
「なっ………」
心なき者が知れば、その地獄よりも、永遠の若さを追い求めて付け狙うことだろう。だからこそローダは、この話を余り拡げようとしなかったのだ。
そんな裏の事情を知っているにも
「お姉さまと共に扉の力を悪用しようとする
「リイナ、それは俺達が勝手に決めた道だ……」
(それに
この若い青年にその覚悟を押し付けるのは、余りにも無茶が過ぎる。
「大体ジオだって本当は天国のお母さんの元へ帰りたいのに、
青い瞳から涙を、普段はそれ程大きく開かない口からは唾を散らしながらロイドに対する
「アンタなんかもう知らないッ! いっそのこと亡者にやられてしまえば良いんだッ!」
散々
「リイ……ナ……」
立ち上がり止めようとしたロイドであったが、全く声にならなかった。そのまま力無く崩れるようにローダの隣に再びしゃがんだ。
「……済まない、俺が余計なことを口走った」
これはローダの本音から出た
その上、リイナの暴走すら引き出してしまったのだから申し訳ない気分で一杯になった。
だけど………それでも言いたいことを伝えねば人を動かすことは出来ない。
「だが
「………っ!」
相変わらずボソリと言い
「それが判らない程ロイド………お前は馬鹿じゃないだろう?」
ロイドの黒くて少々
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