《番外編第14話》 例外なく戦え!
「な、何だあの無茶苦茶な奴は………」
いつにも増して
元々戦闘を
味方ですら恐れる圧倒感………余りにも強さが過ぎる。亡者だろうが
増してや傀儡達の背後から子持ちの
一見非力な
そして炎の獅子を従えた
どうしようもなく途方ない連中………此奴等本当に味方で良いのか?
何ならこの傀儡共を倒した後、自分達に降り掛かる
けれどもそんな常識を吹き飛ばす程に相手達を
「………め、メルッ!」
「メルちゃん、後ろっ! 力を抜いて利き足を突き出してぇ!」
だが宙ではなく地面にいる訳で、多勢の傀儡とて手が届く存在となった。メルの背後から棍棒を振り上げ襲い来る戦士風の相手に気づき、アスターが絶叫する。
同じくリイナとてソレを察知、加えてメルに力の
「え………ウワァァ!?」
慌てて身体毎振り向くメル。相手は獅子の背という
リイナの指示を
これはただの偶然、ブンッと勢い良く振り返ったものだから宙ぶらりんであった右脚が、
バキッ!
しかし偶然にしては出来が良過ぎやしないか。結果振り抜かれたメルの右脚が、迫り来る敵の腰の辺りを打ち砕く。
「な!」
「えぇ!?」
その結果に驚きが隠せないアスター。自身の
(………そんな
「メルちゃん! 足場の良い地面に降りて戦うよっ! 背中は私が絶対に守るから大丈夫、蹴り出す時と戻す時さえ力を入れて、後は自然に任せれば
「う、うん!」
この戦場で最も乱戦を極める場所へ、一見か弱き二人の少女が降り立ち互いの背中を預けてゆく。
リイナの実力を知る者なら安心して見ていられる光景だが、1ヶ月以上付き合いのあるアスターにして見れば絶対に在り得ない
(戦う? あのメルが!?)
しかしそんなパートナーの心配を
手練れ風の相手こそリイナが機転を利かせて取って代わる。
けれど肉体的にも精神面に
「そうっ、良い調子だよっ! 出来れば
「うん!」
実に
「………
「それは考え過ぎだバルトワルド。それより此方に迫る敵を足止めするのが今の俺とお前の役目だ」
アスターの脳裏に
「………炎の精霊達よ、あの者等の得物に
此処で中低音の
「うおっ!?」
「な、なんやコレぇ!」
ガレッツォの
それは言うまでもなく、アスターの
「お前の嫁は武術家じゃなかったのか……?」
「………武術を精霊術でさらに
「なんやなんやコレェ! めっちゃイカしとるやないかい!」
「同感!
パルメラはスリングショットで放つ弾を石ころや鉄球に換え、
ガレッツォも燃える剣を両手で振るい、次々と相手を
付け焼き刃である筈のメルの足技とて、赤く燃える足枷との相乗効果でさらに
(………ハッ!?)
心地良く友達と二人で敵を
(手に持っているのは……ひょっとして
自分の
ヴァロウズNo9の黒き竜『ノヴァン』とやり合った際、自分の
思った
リイナはせめて身を
そんな
符術から生じた雷は、先に投げ込んだナイフに落雷し、事無きを得た。
「………頭も、そして身体すら切れるのに、そういうとこは直らないのな」
「ロイドっ! い、言われなくても判ってるよ! ………でも、ありがと」
未だ
だけども頼り
新しい友達の朱に染まった
だが気を抜くにはちょっと早計、気が付けば三人の頭上に翼を生やした女が二人、普通の手であったものが
ただの人間の女に
「くッ! させるかよォ!」
お次はリイナに警告を促したロイドが身体を張る番だと覚悟する。
ズダダダッ! ズダダッ!
「おぃッ、
一方、少々置いてきぼり感のあったアスターとローダの二人。しかし巨人族の中でも一際、大きいと
「あの大きいのを俺達だけでやる………」
「………問題ない」
余計なことを語らぬリーダー格の二人。巨大な恐怖と対峙するのに、
ローダは白い刀身の
全く違う人生を歩んでいる両者が、重なり合って見える瞬間であった。
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