《番外編第15話》感謝の想いを力に変えて
一方、リイナが操りし
二人で殺ると決めた傀儡の中でも大きさが
だが反則級の
しかしこの二人、まるで動じない。
加えてやはり
少し位は本気を見せてやる……………そんな気分の表れだ。
「………
「………言われるまでもない」
ローダはシグノの白い翼を大いに生かし、巨人という破格のさらに上から距離を詰め、最早完全に自分の
一方アスターの方は、対極する地面。その
一応、昔からの顔馴染みのくせに相変わらずロクに声を掛け合おうとしない両者。けれども上と下。
驚く程に息の方は合っていた。
「………『
「………
そして斬り込む声色の冷静さすら似通っている。但し、その太刀筋は十字を結ぶ。
そしてローダだ。
その構えからして如何にもあの
蒼き剣と光の剣が十字に交わり、傀儡達の中で見た目、実力共に最恐と思われた巨人が跡形もなく消し飛ぶ。
「………ふ、二人共
その強さの目の当たりにしたメルがただただ圧倒される。
「………まあ、この程度よね」
「ガオォォォォンッ!!」
一方、同じ光景を見た筈のルシアと
さも当然とばかりに
確かに誰もが
─………やはりどれだけ強固であろうと
「むぅっ!?」
「な、なんや今のおどろおどろしい声は!?」
ローダとアスター、二人が
この面子で唯一
何とも
「そうか、これからが真なる戦い………」
(ただの傀儡、それも魂送りさえすれば良い輩を召喚するだけであるなら、
最初の扉を開いた男が、一人
(似たような能力を抱く者を
これがローダの真意。さらにこの声の主の正体も彼だけには知れている。だがそれを決してひけらかすことはしない。
何故なら
(これより
まだ残っている傀儡達の動きが糸が切れたように停止する。そして虚空がやがて渦を巻いてそれら全てを取り込み始めた。
まるで次元の断層………ブラックホールへ吸い込まれるかのようだ。
─さあ、魂を秘めた我が可愛き子供達………。
「来るっ! アスター・バルトワルド、あの
「……………!」
ローダが
(………元々魂を持った傀儡を取り込んで自分の力へ変える
「メル! 早く魂送りを! アレは絶えた傀儡も生きた傀儡も全て取り込んで力にする。せめて絶えた連中だけでも今すぐに
それは
数々の扉使いとの争いを繰り広げたローダですら、これより出現する真の敵に
「う、うん、判った!」
「メル……ちゃん?」
流石は新たなる
即時頭を切り替えて、その強大なる敵の方を向きながら歌と踊りに集中すべく己の精神を高めてゆく。
ただ自然と新しき
そこにあったのは意外………………底抜けの笑顔であった。
「ご、ごめん。でも、何だかこうしてると凄く勇気が
………そうなのだ、この小さな
メルが
一瞬だけ目を閉じるリイナ。扉? そんなものなくたって独りよがりではない真なる人の想いは必ず通じることをこの世に生を受けたその日から知っているのだ。
しかし、文字、声、音、接触………。伝えることの便利さに酔い、いつしか人はそんな当たり前さえ
けれどこの小さな手は大事なことを思い出させてくれた。
(………何だろう、とてもとても心地良い)
カッ!
目を開き再びメルの笑顔を迎えるその心にもう欠片も迷いはなかった。
「判った
「ありがとう
シャラン……シャラン……。
だけどだから人を、空を、大地を、そして愛を感じられるからこそ人生は楽しいのだ。全ての
それこそが
─ムッ? い、いかん! 早くあの
真なる敵、リグレット・バルバリアは、
だがこれより取り込もうとする贄の数を減らされてしまう、これは実に
歌と踊りに集中するメルとリイナに襲い来る危機。二人はもう後戻りなど出来やしない。
「ガオォォォォッ!!」
「………させるか!」
リイナと魂を分かつジオーネと、メル本来の
メルとリイナを叩き潰そうと振り上げた巨人の腕を喰らいちぎる炎の獅子。そして静かなる怒りを力に変え、技名を告げぬに敵へ解き放ったアスターであった。
「さあ導きの光よ!」
「私
メル先導の元、リイナの想いの力も折り重なる。
─い、いかんッ!
とうとう本当の自分が形作られる一歩手前の状態でリグレット本体が止めに掛かろうとする。だが最早手遅れであった。
「「──
希望の光は知り合ったばかりの二人によって、その
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