《番外編第9話》全てを赦す女神の演舞
ローダ達一行が
「………何っ! 場所は? ………嗚呼、判った。その姿じゃ大した戦力に成り得ない。俺の意識を辿りながら此方へ合流するんだ」
これから
「………い、一体どうしたの?」
「
ヒビキと遊んでいたルシアと、夕食の準備に必要な水を運んで来たリイナが質問を浴びせてゆく。
「すまない、夕飯は携帯食で済ませてくれ。説明している余裕がない。今すぐ此処を
ローダが緊張の面持ちで素早く自分の馬の
「それ程まで急ぎなら空を飛んで行く?」
「いや、それは止めておこう。確かに急ぐべきだが、この地に於ける俺達は
ローダの
「ヘイヘイ
自分等のリーダーによる
ルシアとリイナが不思議そうな顔を見合わせるが、二人も直ぐに切り替え身支度を始める。
ロイドは終始無言で準備を整えている。恐らく未だ
そんな時は悩むよりも身体を動かさねばならぬ理由に
秋口の
月明り、夜空に
闇夜の荒野をまるで忍びの如く進軍する彼等。レイが思わずニタリッと
ローダが告げた「
流石に馬車の駆動音や、
さっきルシアが「空を飛ぶ?」と
結局の処、ルシアが
ローダから飛ぶことを否定されても瞬時に内容を
秋の夜風と頼れる仲間達の当たり前が、
やがて道が良くなり視界の
きっと損な遠回りをしているであろうが、誰一人としてこれで間に合わなくなるとは
―………到着した。皆、馬から降りて一旦足を止めろ。
ローダの
洞窟らしき暗闇の中へ消えてゆく剣士らしき者の姿が見えた。自分達が遅刻はおろか、
そのまま
中に入った者が奥へと進んだと知るや、片手で仲間達へ合図を送る。侵入OKのサインである。
―………これは人工的な洞窟らしいな。
「その様ね………さっきの人が貴方の言ってた例の剣士?」
引き続き会話に
これ程まで
―そう、アスター・バルトワルドだ。彼が間に合ったからには遅れを取ることはない。
この男の口下手は、結局直っていないが
寄って彼が「アスター・バルトワルドが居れば問題ない……」と告げさえすれば、それが
「………ウワァ、此奴はヤベェ。あの
レイの方は、
因みに
―………それだけじゃないですね、女の人
「………まあ、それは取り合えず
―………
すると心の声を聞かずとも判る程に、嫌な思いを珍しく顔に
この大地に来て初めて見せる
―とにかくこのまま慎重に中へと進む。基本身勝手な行動はしないでくれ、だが………。
この
―………だがイザという
ローダからこの一言を確かに聞いたと感じた連中が、
仲間達は心底嬉しさを覚えたのだ。真の扉使いなどという手の届かない場所へ飛び出したかに思えた我らがリーダーが自分達をアテにしているという本音がだ。
一行の結束が増した処でさらなる奥へ………誰もがそう決意し歩み始めようとした
「………照らし出せ──『
まだあどけなさを残す少女の声で在りながら、神々の御告げすら想像させる
加えて何か多数の者共が一斉に倒れるような音と共に、温かみを感じる光が
「………こ、これは、
完璧なる隠密を決め込んでいた筈のローダの口から、それは驚きを
「………こ、これが
黄泉の国にすら
圧倒的な上からの力で罪人を裁くのだと思い込んでいた。実際には全てが正反対であった。
亡者達が正義か悪かなど、まるで問わない。何もかもを安らぎで包み込み、
そう……文字通り
同時にリイナが確信に至る。あのメルって女の子は、やはり揺るぎない愛を持っている………でなければ少なくとも自分には説明がつかないと勝手に決めた。
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