《番外編第10話》身勝手な絶望を寄越す者
「………お、終わったのか?」
―いや……まだ辺りに
これで全てが終わったのか…一体誰に向けて何が終わりを迎えたのか。言葉足らずなロイドの確認。
冷静さを取り戻し周囲の状況を確認しつつ、
何故絶句した? 自分がどう
見つけた人物の頭上から
加えてさらに奥から出現した新たな亡者三体まで襲い掛かる直前を
手持ちの得物、全てを動員しても上下二点同時をどうにか出来る気がしない。
あの者を救出する
『
パキューンッ! パキューンッ!
此処で少々間の抜けた銃声が二回同時で辺りに
「ハァハァ……す、すまねぇ。
気がつくと肩で息をしているレイが
―………さっき皆の判断を信じるって言った。
ローダが首を横に振りつつ最大級の
レイがその上下
これを独断専行などと言う
ローダが無言のまま、
ただでさえ狭い上に
真紅に染まる刃を剣士ではなく、まるで
恐らくガロウから勝手に
それにしても二刀の動きが余りにも
文字
あくまで亡者なのでこれで終わった訳ではないのだが、此処まで細かくされては、もうどうにもならないであろう。
ローダが足元に前のめりで倒れている者に目を送る。全身を黒装束で包んでこそいたが、身体の
「ちょっとっ、この状況どうする気っ!?」
「そうだぜ、向こうで騒いでる連中が、お仲間じゃァねえのかっ!?」
ルシアとレイが肩を怒らせながらローダの背後へと入る。彼女等の口調が文句を帯びるのも仕方がない。
レイの言う「お仲間……」とやらが、まるで助けに来る様子がないからだ。それ処か崩れゆく岩共が、さらに
「………問題ない。必ず助けは来る。だからそれまでこの者を守り抜く。ただそれだけのことだ」
チラリッとそのお仲間らしい連中に目を
これは流石に全く無意味と思えるやり方だ。意識を失っているこの者を本気で救いたいのなら、サッサと
だけどもこの無愛想な男は、そんな選択肢は無いと
もしこれがローダではない他の誰かであったなら
「ンもぅっ! 相変わらず………」
「………意味判んねぇなっ! その自信はよッ!」
加えて
俺達は
しかもこの三人がそうである故、ロイドとリイナも逃げ出すことを諦め、降り掛かる
ロイドが両の手に握る短いメイスをヌンチャクの如く振り回し、落ちる岩を蹴散らしゆく。リイナも
一体いつまでこんな修行僧のようなことを続けねばならないのか……。
(………来た!)
―………撤退だ。
最早影の存在であることを辞めたかにみえていたローダが再び
「お、おぃっ! 俺達だけって!? まだ助けとやらは見えてねえけど良いんだなっ!」
今、こうしている間にも次々と岩が降り積もらんと迫っているのだから、レイの確認の
―………問題ない。
「
レイが「チィッ」を舌打ちしながら無言の
加えて俺について来いとばかりに
◇
「…………さあお行き、私の
洞窟の入口付近を上から見渡せる位置に陣取る者が、炎すらも氷結するのではないかと思える程の目で見下している。
(奴隷の女、防国の
「
思いの
その見下されている風景の側にいた二人の男女。何れも
一応男の側が少女の肩を支えてはいる。けれど此方とて揺れ動くので、自然支え合う形になる。
「………。………な、何だアレは?」
男が背中に異様な気配を感じ、ゆっくりと後ろを向くと土煙を上げながら此方へ向かって来る一団を見つけた。
あの洞窟に潜んでいた亡者達だと
だけどその者共のまるで精気を感じない瞳だけは、亡者のソレと酷似していた。
然も如何にも腕が立ちそうな騎士や、魔導士らしきローブに身を包んだ女すらも多く混在している。
加えて
こればかりは
この金髪の男は剣士だ。これまでの人生に於いて吐き気をもよおす程、亡者共を斬り捨ててきた。そんな彼だが、こんな
「…………あ、アレは一体何なの?」
「アレは………恐らく亡者
けれどこれまで再三に渡り合ってきたこの剣士の瞳は消して
この者達は
「メル………離れろ」
ボロボロの身体に
羽根のように軽かった筈の剣が異様に重い。自然剣先が地面を向くので、杖代わりに成り果てる。
この男の実力を以てしてもやれる気がしない。だけど自分達だけ逃げおおせても、街が奴等に
防国の
決して悪い死に様ではない………そう覚悟を決めた
その背に薄い紫を帯びた聖職者らしい服を
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