第4話 堕天使の実力の片鱗
ローダの起こした途方もない二つの奇跡、満月の輝きを創造し、金星の輝きすらルシアに注ぎ込み、天使の如き姿と成した。
その
「しかしリィン、一体どうして………生き返った訳ではあるまい?」
「そう……なのよね、私にも正直良く判らないのよ。
「
ホーリィーン自身、何故自分がまるで生き返ったかのように、こうしていられるのかまるで
心当たりの
「と、ところでリイナ………貴女その姿はどうしたって言うの?」
「ママ………じゃない、お母さん詳しい話は後にしよ。今の私は
「………不死鳥っ!?」
ホーリィーンの胸の中で甘ったれるリイナは
さらに
「キッシャァァァァァッ!!」
自分の手が届く敵を燃やし尽くしたリイナが、あの独特な不死鳥の鳴き声を上げる。そして
リイナから「詳しい話は後………」と
エドル神殿に伝わりし死を知らない炎の鳥の存在を
「リィン……往くぞ我等も、船上での争いを覚えているかは知らんが、恐らくこの連中も
愛娘の変わり様に少々
そのキリッとした顔が、15の娘と重なるのを感じるジェリドである。
「
またしても自力の低い連中は、それだけで崩れ落ちてゆくのである。けれどそんな事象よりもジェリドは、愛する妻の声が幻影だった時と異なり、明らかな生を感じ取れたことに感動するのであった。
「ホーリィーンといったか、あの女性の
状況を分析しながらフォルデノの城下町を
ローダ・ロットレンは真の扉使いの言わば
アクセルを踏む足を決して緩めない59歳の熱き走りが、もう数え切れない敵を
「………これやるならグリルガード※1とアンダーガード※2も付けて貰えば良かったな。………って言うか皆はもう既に飛んで行ってしまったのだが………」
※1 車の前の方に取り付けるガードのこと。オーストラリアなどではカンガルーバーと称される。
※2 車の下の方、エンジンやガソリンタンクなどを守ってくれる鉄板のこと。
だいぶ下らぬ趣味的なことを思わず
「そろそろネロ・カルビノンの方は弾薬が切れる筈だ、もっと沖へ撤退の指示を……」
飛んで周囲の様子を確認しつつ、次の指示も考えるマルチタスクを
「あ、アレは
そんなローダの言葉も
「ハァァァァッ!!」
「
何ということだろう………何時の間にかブリッジとの射線上に飛び込んだルシアが燃え盛る左右の拳で弾丸を殴り飛ばす。しかもご丁寧に城の方へだ。
加えて地上の闇に
「フンッ! 今の私の前でそんな小細工許さないよっ!」
「いやいや、次の砲台を用意するまでは想像してましたが、肝心の砲台を此方が見つける前に撃たれてしまいましたね………」
(………しかしまさかアレを殴って止めるとはっ!? 今のルシアさんは音速すら
いつも以上に鼻息荒く、腕組みして空で仁王立ちするとんでもない
学者の方はローダが天使を呼ぶ儀式を取り仕切ってる間に、キッチリ仕込みをしておいたのだ。
「うおぉぉぉおっ!
これは珍しいガロウの突きである、彼が突きながら駆け抜けた跡に赤いマグマの道が出来る。
当てられた者は言うまでもなく、蒸発したかのように燃え尽きて消えていった。
「よっしゃ、
日本刀を
サイガンも含めて11人、最早この連中にとって、そこいらの名も無き者など虫を踏み潰す程の楽な作業だ
城下町は敵と一緒に片づけられ焼け野原と化した。その
「さて目指すフォルデノ城はもう目の前だぜぇ~。サッサと片づけてしまいてえな」
「それにしてもあのルイスにせよ、
「うーん……そもそもですが、あんな建物なんて、今の私達に取っては砂の城も同然です」
ちょっと一服………と煙草に火を点けて吹かすレイは、ゴミでも片付けるような言い草である。
慎重派のジェリドは、フォルテザを強襲してきた際の敵を思い出しづつ見落としがないか考えにふける。
普段は頭脳を使った攻め方をするドゥーウェンですら楽観的な態度で告げる。
まあとにかく敵が
「ま、待て……少しだけ俺に時間をくれないか?」
「ローダぁ? まだ何かやることあんのかよ? まさか嫁を天使にするなんてな、この無口な兄ちゃんがこれ程
レイがローダに向かって胸を張りつつ追い立ててゆく。レイは身長170cm、対するローダは175cmで若干ローダに軍配が上がるのだが、何せレイは元警察官。
その姿で詰め寄られると
「お、俺自身の準備なんだ。言わば装備を整えるようなものだ」
「ちょっとレイさん、ローダ兄さまは、ただ相手をやっつければいいって訳じゃないんですよ。これは色々と気を
攻め入られるローダの前に不死鳥化したリイナが割って入る。身長155cm、銀髪をなびかせる司祭を上から見下ろす同じく銀髪の女警察官。
司祭と警官、何れも強い規則を揺るがぬ意志で守護する者同士がやり合っている。
「れ、レイさん………」
「よ、よしなさいリイナ」
何故かドゥーウェンがレイを、一方リイナを止めたのは母親のホーリィーンであった。
レイとリイナ………お互い
………一体何に熱くなっていたのだろう。
「此処から先は色んな意味で本気を
フォルデノに上陸する以前から準備を重ねて覚悟を決めたつもりであった。
けれど手を伸ばせば届きそうな位置にある城から
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます