作品メモ 中編
『異世界転生した元社畜で人事部のオレ、冒険者ギルドも『ブラック求人あるある』だらけで困るんだが』
2022年2月中旬~現在連載中。
2023年1月現在22,820文字(5話連載)。
元々は単発の短編で終わりにしようと思っていた作品。
というのも、我々ラノベが今よりもまだまだお堅くて正統派だったオジサン世代には、どうにもすぐ異世界に行ってなんやかんやしたり、長文タイトルでダラダラあらすじみたいに解説する作品がまったく理解できなかったからだ。
これもまた時代の流れだから仕方ないし、そういうものを敏感にキャッチして作品に落とし込める先生方はご立派だと思う。けど真似しようとは思わない。
だもんで、茶化してみようと書いてみたのがこれ。
さらに話を遡ること十数年前。
私は時流に乗って拡大を続ける業態の某ブラック企業の総務に居た。
主人公の優史郎のように人事部ではないが、人事も兼ねていた部署だ。
ブラック企業だが、夢を持って働きたいと門を叩く人は多い。
だけどすぐ辞めちゃう。そりゃそうだ、ブラックだもん。
福利厚生だとか勤務体系が、という部分も少しは有るけど、そうじゃない。
やっぱ時流に乗った成長企業ってトップがワンマンなのよね。
なので私は、入社手続き、退社手続き、求人の管理に追われていた。
総務らしいことよりは人事の仕事のウェイトが大きいくらいだ。
経費も掛けず求人募集を出すにはハローワークがうってつけ。
でも応募数や反響が減ると手を変え品を変え、また新着求人にして貰って、検索順位を上げて……という作中の表現は実際に私がやっていた手法だ。
しかし諸行無常、万物流転。
今度は私がその会社に辟易して退職することにした。
だがそこでの経験が逆に無駄なスキルとなってしまい、ミスマッチを招きかねない「地雷求人あるある」を避けたりして転職活動は長引くことになる――。
なお、発表当時は「ラノベあるある」と「求人あるある」両方をお遊びで茶化して馬鹿にした作品だったのに、なにやらご紹介されたりツイッターで宣伝して頂いたりしてたったの一話なのに滅茶苦茶PVが伸びた。
やっぱり大衆はこういう分かりやすい罠に嵌るのだろう。
そんな感じだから政治やマスメディアが挑発的なのも良く分かる。
その後は散発的な不定期連載に切り替えたが、そこはそれ、ストレスフリーで夢想で妄想な異世界モノを希望する読者層からは見放されたようだ。
まぁ当然だよね。そもそもからして根底には流行に批判的な向きのある作品だし。
今後も変わらずボチボチと書き続けますけどね。『こち亀』の日暮巡査みたいに、凄い年数をかけてるのに、話数も文字数も少なくて、でもエタらない作品にしたいなと思っている。
『江戸患いのせいで命を落としたくノ一の私は二十一世紀こそ殿方と恋がしたいのに、学校でクラスの女の子から好きになられる話、でござる』
2022年10月上旬執筆。
同10月9日掲載。
全6話:11,109文字
まぁこれもダラダラとした長文タイトルの風潮を茶化したものです。
仕事も忙しくメンタルも崩れがちで、新作の長編もまったく書けなくなった私は、下読みを手伝ってくれるいつもの友人と温泉旅行に出かけた。
普段なら私が用意したプロットや、ゴーサインが出た作品の初稿を事前に提出してあーだこーだと意見を貰う場なのだが、当時の私は完全にスランプであった。
酒を飲み美食に舌鼓を打ち、すっかり酔ったけどさらに夜半過ぎまで語らっていた時に「もうネタが無い。いっそキミらが考えてくれ」と丸投げしてみた。
とはいえ、酔ったオッサン同士3人の酒の席。
文殊の知恵どころか、話題はあらぬ方向へ。
群馬県は草津温泉の某和風旅館に泊まっていた私達は、けっきょく酒を飲みゲラゲラ笑いながら思いつくままにキーワードを並べたものの新作のアイデアもまとまらずに撃沈。やや二日酔いのままチェックアウトするという虚無の時間を過ごした。
以下がそれ。
「くノ一ちゃん」
「恋の病以外は治せる温泉」
「200年後の時系列」
「百合るスペースファンタジー」
「SFはサイエンスフィクション」
「江戸患い」
「『でござる』で終わる」
くノ一ちゃんは、仲居さんがお洒落な和装だったのと、もはやオッサンになるとどのお宿の従業員も大抵自分より若いという事象に出くわす。先輩達の晴れ舞台だった高校甲子園がいつの間にか子供達世代のイベントになっているのと同じだ。
SF……は私が実際に勘違いしていたこと。藤子不二雄の影響かしら? もちろんすこしふしぎではないが、てっきりスペースファンタジーだと思い込んでいたところを友人にサイエンスフィクションと訂正されたことによる。
これらを基に百合の話を書いてみることにした。
もちろん不条理ギャグだ。
だがギャグやコメディは楽しい。
少しばかり堅苦しい自分の作風に縛られていたせいか、とても楽しく書けた。
また、長編は三人称の地の文で書くが短編は一人称の作品が多い。
加えて章ごとに交互に一人称の対象を替えてみようという試みもあったが、これもまた楽しかった。
友人いわく邑楽お得意の『情報戦』と呼ばれる「キャラ同士が真意を隠したり、なんとなく勘違いしたまま関係が交錯した話を進める」というアンジャッシュのコントらしきスタイルが上手くハマった個人的にはお気に入りの作品である。
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