群馬県、聖地巡礼
近況ノートにも記載したが、休暇を利用して旅に行ってきた。
宿泊したのは栃木県だが、目的地は群馬県だ。
拙作『あの娘に「すき」と言えないワケで』を書き始めたのは2年前。
当時のプロットでは主人公の実家の蔵に、ご先祖だった座敷童の女の子が出てきて『ある単語』が言えなくなる、という程度だった。
仮タイトルも『失語症』だったくらいのザックリ感だ。
これは当時の職場に、可愛いのに少し早口で落ち着きない残念なタイプの女子社員が居たのが発端。
早口すぎて、一人称の「あたし」が「あっし」に聞こえるので、そこからヒロインが「あっし」って言うのも斬新で面白いな、と話を膨らませていった。
そこからは逆算に次ぐ逆算。「あっし」と言うなら「た」が言えないヒロインにしよう、だったら主人公の名前に「た」を付けたらいい。
それだけだと、面白くない。主人公の男の子にも、恋愛がうまくいかない『何らかの文字』の縛りを付けるべきじゃないか。
だとしたら『すき』って言えないのがいいんじゃないか。
高校生らしいフレッシュな恋愛で、ラブコメっぽくなるじゃんねぇ。
だったらヒロインの縛りも一文字じゃなくて二文字にしよう。
そうして出来上がった作品だ。
主人公である高校生の男の子の地元には高校が無い。中学を卒業して東京に出てきたという事で、候補地として群馬は既に俎上に乗っていた。
南蛇井、下仁田、伊香保、渋川とあちこち調べるが、どこも高校がある。
でも例えば嬬恋とかの僻地すぎるのも厄介だ。
もう少し(失礼)都市部に近くてアクセスも悪くないんだけど、田舎くさい町にしたい。
しかし、例えばこれを埼玉や栃木の話にはなんとなくしたくない。
その頃から既に群馬を描こうとぼんやりと思っていた。
下読みをしてくれる友人達との企画会議と称した温泉旅行のさなか、初稿にパワーが無いかも、という議論のもと「ダム水没」「故郷が無くなる」というキーワードが出て、主人公の地元はダムで無くなる≒蔵に居た座敷童≒蔵も家も水没する、ということから、その出会いも別れも説得力が増す。
作中のモデルとなる場所は渡良瀬川の上流にある草木ダムが選ばれた。
八ッ場ダムはちょっとね。当時あれこれ揉めちゃったから。まだイジりにくい。
そして、群馬県みどり市東町がちょうど中学までしかないじゃん、と調べた結果、当地を作中の『みどりさわ村』として、ここを聖地とする、と決定した。
6月には新潟の糸魚川市にも行ったが、こちらは連載中『越の翠華』のため。
基本的には取材旅行と称した単なる温泉と酒とご馳走の旅だ。
だが、酔ってホテルの部屋で瞑想していると、作品世界に深く没入できる感覚がある。主人公やその取り巻き達がワイワイとやってるこの街に作者自身がいる、という錯覚が、さらに作品世界を深めてくれる。少なくとも私は。
聖地さまに御恩返しをするため、旅行にいけばそれなりの予算を投入する。
私はタバコも吸うのだが、だいたい取材旅行の時に聖地でまとめて購入する。
糸魚川市には1カートン。群馬県みどり市には2カートン投入した。
タバコ税で言うと、群馬県に400円、みどり市に2440円入った計算になる。
タバコというと中々にセンシティブな話題なので、吸わない方には「それがどうした」という程度だろうし、これを恩着せがましく語るつもりはない。
それくらいに聖地を愛し、聖地と共に過ごしていきます、書いたら終わりません、という覚悟の現れでもある。モチーフにさせて頂いた以上は。
近藤酒造さん(みどり市)の日本酒も買うし、正田醤油さん(館林市)も買うし、まるか食品さん(伊勢崎市)のペヤングだって食べて応援する。
糸魚川なら猪又酒造さんの日本酒『奴奈姫』が辛くて美味い。拙作での奴奈川姫を堅物っぽく少しツンツンさせたのはこの日本酒のイメージのせいだ。
てな感じで、今はカクヨム的に京都と新潟の糸魚川と群馬。
聖地が3つになって忙しいったらない。晩酌の日本酒の仕入れも大わらわだ。
もうそれなら、ふるさと納税しろよと言われそうだが。
わたくし生まれも育ちも~、今の地元が一番すきなワケだから、これはご容赦願いたい。でも地元の作品を書こうとは思っていない。イモくて恥ずかしいからね(笑)
もう読者や下読み君達や公募そっちのけで、作者が一番執筆や作品世界を楽しむスタイル。
それで経済が回るならいいことじゃないですか。感染対策もしっかりとね。
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