第29回電撃大賞に一次選考で落ちてホッとしたこと

 さてさて。

 本日発表された表題の件ですが、私の作品は一次選考に落ちたようです。


 今年度(電撃さんの締切4月10日を起点に、2021年から今年まで)は、なにやら仕事で多忙を極めて一作しか書けなかったし、その唯一の作品も今までの自分の作風を逸脱したジャンルで挑戦してみたのでダメみたいだった。


 でも、内心ホッとした自分が居る。


 前年『あの娘に「すき」と言えないワケで』がそもそも上手く行き過ぎた。

 あれが出来過ぎた話だったのだ。


 遅筆で頑張っても年に数本、地の文は堅めで今の流行とは遠い作風。

 若くて才能ある皆様のようにポンポンと新作を発表できるわけでもない。

『あのすき』だって、自分が書きたいものを書きたいように詰め込んだだけだ。


 そんな自分が突然に三次選考なんか通過したら、多少は天狗になる部分もあるし、執筆を甘く見ていた部分はあるのだろう。

 逆にその作品自体が足かせやハードルとなって自分に襲ってきたのも事実。

「あの作品を越えねばならない」

「あれよりも尖ったものを書かねばならない」

「評価シートを参照にせねばならない」

 ある意味、『あのすき』の亡霊に憑りつかれた一年だった。


 プロットとも言えない夢の残骸や妄想の藻屑を産み続け、ようやくそれらしいものを掴んで、いつも下読みをしてくれる友人達にゴーサインを出して貰ったものの、結果はこの通りだった。

 たぶん友人達も「電撃で三次通過させた邑楽の次の作品」って色眼鏡があったとは思う。こればかりは仕方ない。


 だから、今日の結果発表は肩の荷が下りた瞬間でもあった。

 そりゃもちろん、悔しいですよ。

 あれだけの時間の消費と苦労をしたのに、めちゃくちゃ悔しいですけどね。

「あぁ、これでやっとまた、ゼロから好きなものを好きなように書ける」って。



 カクヨムで公開していたり、公募の新人賞に応募するのならば、どっかしらに淡い期待として「書籍化したら嬉しいなぁ」という想いはある。

 ならば多少は売れ線とか流行りの作風とか、今の旬を取り入れたり、もっとPVを稼ぐ工夫をしないといけないのは理解している。

 しているつもりだ。

 つもりだが、それは私が書きたい作品にはならない。

 いや、なりたくないなぁ、というのが本音。

 そんな奴はプロになる資格は無いだろうし、流行のアンテナも張らずに好きなものだけ書いてプロにさせてくれるレーベルが無いのも道理だろうけどね。


 でも、『あのすき』も今作も、どっちも大切な作品には変わりない。

 第29回電撃大賞さんからも受賞してデビューされる方は必ず居るし、同じく一次選考で落ちた、のべ3500名近い同朋が居るのは事実。

 一所懸命に書いたのだから、作品に貴賤はないって信じたいですよね。


 うん、こうして文字にすることで溜飲も下がり、気分がさっぱりした。

 こんどまた夏休みを利用して群馬でも遊びに行こうっと。

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