作品メモ 長編その1
『東洋の魔女』
2020年5月~6月下旬執筆。
カクヨム版2021年1月30日~同5月29日連載。
初稿:120,470文字
完成稿:124,623文字
カクヨム版:202,616文字
実績:第17回MF文庫J新人賞で一次選考も通らず
記念すべきカクヨムでは最初の掲載となるが、自作の長編では4作目となる。
それまではなんとも堅くて生真面目な作品ばっかり書いていたので、前作でお試しにキャラ小説っぽいテイストを入れたところ、楽しかったので書いてみた。
それならばラブコメだろうと安易に決めたが、主人公の周りにヒロイン候補がたくさん出てくるのではなく、ちゃんと恋愛をするために応援する作品にしたいと思っていた。
いきなりチートだのハーレムだのざまぁだの、世の作品の神(≒作者、場合によってはその読者)たちは鬱屈としすぎている。主人公に困難や苦難を用意して、それを克服してこその恋愛ものだと思うんですがね。オッサンですからね。
とまぁ、そこで思いついたのが『東洋の魔女』だ。
黒いマントにほうきに乗って……というベタな西洋の魔女に対して、堅苦しい性格と言葉遣いで、竹刀に乗って、江戸時代生まれの剣術道場の娘が魔女というのも面白い、と作品を膨らませていく。
ちょうどコロナ禍の始まった頃で、まだ開催される予定であった東京オリンピック2020大会に便乗したつもりだった。
その前の1964東京オリンピックで金メダルに輝いた女子バレーチームの愛称でもある『東洋の魔女』。
それをそのまま拝借したのだが、裏テーマはヘビーメタルバンド・人間椅子の同名曲だ。
闇に歌えや、東洋の魔女~ぉ。サビのそれがこの作品のイメージである。
東洋の魔女・お雪と、ハンガリーの魔女ドロッチャに、ドイツの魔女シャルロッテがわちゃわちゃと主人公の周りを引っ掻き回すドタバタ風の作品を狙ったわけだが、章立てで細かくストーリーを変えながら、主人公とヒロインが物語のラストに向けて徐々に距離を詰める……というのは、賞レースでは向かないのも理解した。
お雪のようなサブヒロインと言えなくもないが、狂言回しのように主人公のそばでなんとなく場面を掻き回しながらシナリオを進めていく手法は、後作となる『あの娘に「すき」と言えないワケで』の座敷童・ふみに引き継がれていく。
とはいえ、私の堅くてつまらない文章の中では、最初の投稿作ということもあって、シンプルなラブコメゆえにそこそこ伸びた。
ちなみに公募版と比べてカクヨム版では文字数が圧倒的に伸びているが、そもそも自由気ままに書いていた作品を公募に出すにあたって、ボツにした章やエピソード、アイデアがあった。
それをそのままカクヨム版で復活させた訳だが、逆に冗長であったかと反省もしている。ただし、お雪たちの師匠でもあるアメリカの魔女・サマンサが、過去に戻って洋一と亜耶の仲直りをさせるエピソードは個人的に好きだ。
なお、敵役である学級委員の有栖川が洋一を追い詰める手段として学内SNSで嘘や噂を書き込むという表現だが、当時の世相では、テレビの某リアルエンタメ系恋愛バラエティーでの炎上がもとで自殺したプロレスラーさんが居て、ネットの世界って鬱屈としていやらしい奴らばっかだな、と憤って描いた。
『太陽が2個あってもいいじゃない!』
2020年2月~3月頃執筆。
カクヨム版2021年6月19日~同10月6日連載。
完成稿:111,312文字
カクヨム版:150,177文字
実績:書いたもののボツにして公募には出さず
掲載順とは異なり、これは長編の3本目となる。
それまで処女作から『神様シリーズ』と呼ばれていた、日本神話や神社の話を中心に作品を書いていたが、あんまり堅い作風ばかりじゃなく、ギャグよりのキャラ小説も挑戦してみようと思い立ち、書いてみる。
そもそも日本神話の神様だって、人間臭くて、妙にエロかったりだらしなかったり、情けないところもあるから。
主人公の青年・徳斗のところにアマテラスの妹であるワカ姫が顕現し……という話だが、神話や説話では、瀬織津姫がそうではないか、いや彼女はアマテラスの荒魂ではないか、昔は男神アマテルで歴史から秘された太陽神の妹が実はそうではないかetc……といろいろ考察はあるが、ちょっと子供くさい無知で無垢な子、ということで稚姫を据えてみた。
この執筆でギャグタッチの作風と、章立てで細かく進むストーリー展開はやっぱり楽しいな、と思い改め、次作の『東洋の魔女』へと繋がるのである。
ところが、全てを書き上げたところで、どうにも作品全体にパンチが無い、どこか風味が弱いような気がしてしまった。
これを公募に出して、はたしてどこまで健闘してくれるだろうか――。
なので、当時はボツということでなく、一旦書き上げて熟成させることにした。
そしたらそのまま寝かせてしまったので、公募は諦めて、カクヨムで改めて公開することにした。
転がり込んできた稚姫と生活を共にするうちに、自分の素直な信仰や気持ちを確かにしていく主人公の徳斗くんだが、そこにはやっぱり、神様をどこか
別に宗教を押しつけるつもりはないけど、毎日健康で、美味しいご飯が食べられて、あったかい布団で寝られて、お給料も貰える。
そういう当たり前の日常にこそ姿無きものへの感謝のヒントがあると思うんだけどな~、それは神様でも仏様でもいいのよ。あるいはご先祖様かもしれないし。
こういう説教臭さが滲み出ているところが、世の潮流であるストレスフリーの作品とは違って、万人受けしない理由かもしれない。
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