なに書こう? 迷ったらナニカコ!

 野林緑里さまの「ナニカコ」自主企画にお邪魔した。

 https://kakuyomu.jp/user_events/16816927863009754422


 具体的には、提示されたタイトルと二百文字弱の物語をお借りして、続きを書くという企画だ。

 私がカクヨムを始めてしばらく経った頃に「これは面白そうだ」と参加して、今回で4回目。

 過去の参加者からカクヨム公式レビューで星を貰う人も出たりと、創作面ではなかなかに刺激的な自主企画である。



 ちなみに私は、何故だかいつも「世にも奇妙な物語」のような展開を目指してしまい、お借りしたキャラを殺したり、病院に入れたり、やや不幸にしてしまう。

 本当に申し訳ない事この上ない。



 しかし、これは創作の幅を広げるうえでは、良い知見となった。


 普段、公募作ばかり書いていると、十万文字くらいの長さにキャラ達の描写や物語の展開を加えて、目指すエンディングに到達したら「おおよそこんなものかな?」と書いている。

 長過ぎたらカット。短か過ぎたらもうひと盛り上がりを足す。

 ただ公募規定だけでは描きたいエピソードが足りない事が多いので、カクヨム改稿版はだいたいが十万文字を大幅に超える作品になる。


 そうすると、読者の皆様にはダルいんですよね。

 いきなりチートだのハーレムだの追放勇者だの、説明不要の異世界だの……そんな中で冒頭の数千文字でイキったりイチャコラするのが、効いてるわけであって。

 物語の起承転結のように、遅々として進まない展開も、作者個人には伏線のように描いた場面も、読者にはダルいのです。それがプロという金看板があるならば多少の我慢もできるだろうが、アマなら尚更。



 これとは似て非なるものですが、「さよなら人類」でおなじみ、元「たま」のメンバーである、ランニングの石川浩司さんが非常に穿ったご意見を言っていた。

 まだレコードやCDだった時代は、アルバムの曲順、前後の曲の流れ、全体の盛り上がりを見て組み立てることには腐心した。それがいまやサブスクだのYouTubeだので曲単位で聞ける時代になるとは思わなかった――って。

 特定のエピソードだけPVが伸びる謎や、「お前ぜんぶ読んだのかよ?」と疑問を呈したくもなる、全体のPVは伸びてないのに最終話だけハートくれる人とか、相互反響を欲しがりなだけの怪しい人も多い。



 現在連載中の「神のまにまに」は5月6日時点で掲載十八話、9万文字弱なのに、物語的なヤマ場はまだ何も起きていない。

 何かが起きるのかもしれない不穏な感じはあるけど、主人公も登場人物たちも何かが起きる前のなんとも言えない状況にずっと居る。

 ロシアとウクライナがドンパチ始まって、ロシア核いくかもね、ってずっと言われているのに何も起きなくて、なんだか不安だが、でも不安はいつか的中するのかも知れないという、惰性の日々が続くというところだろうか?


 これは私の他の作品でも言えるものだ。

 小さな場面でもささいな主人公どうしの違和感を描いたり、ここで伏線を張っといてラストに向けて描こうってな事をラブコメでもシリアスでもやっちゃうから、退屈なんだろう。

 ミステリの常套は「冒頭に死体を転がせ」だけどさ。

 今の時代は、作者も読者も欲しがりなんだよなぁ――とぼやいたりもするが、そもそもどの時代にも迎合していない作品ばかりの私も反省すべきところは多い訳で。

 かと言ってフォローや星やハート狙いで、読者に媚びる作品は書きたくない。

 このあたりが、あまのじゃくの困ったところでもある。



 と、そんな話は置いといて。


 今まで自分の価値観を最優先していた執筆ジャンルや作風も、「ナニカコ」のお陰で新しいものを開拓しようと思えるようになったのは非常にありがたい。

 それこそ「世にも奇妙な物語」的な短編ホラーちっくなものを書き続けていたら、次の公募用の長編はホラー? オカルト? 怪異系? 自分でもよく分かってないけど、すこしシリアス寄りにさせてみようと挑戦した。


「ハイファンタジーかSFは書いたことないなぁ」と思っていたら、「ナニカコ」で宇宙のお話が出来上がって、そして公募用の候補プロットもSFちっくな現代ファンタジーというものが仕上がったのだから不思議だ。


 いずれも全ボツでカクヨムで供養するか、どっかの公募に投入するかはまだ未定だが、全ては「ナニカコ?」という創作の発露の賜物と言える。



 長編十万文字の物語を書くというのも大変は大変だが、わずか数千文字で起承転結やらオチやらを描き切る短編はもっと大変だった。

 ところが公募用の長編を差し置いて、その短編が私の代表作になるという忸怩たる思いもある。

 長編でも飽きられない作品作り、そして少しは人目を引く作風を仕立てること。

 これがWeb小説サイトの鉄則なんでしょうけどねぇ……。

 


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