今宵も月と、よろずがたり

いま話題の性描写レイティングについて

　あぁ……こんな火中の栗、静観しておけばいいのに。

　物見遊山で野次馬をしたり、なんとなしに書かずにはいられないのは、私の無料掲示板の日記時代からの悪い癖だ。

　さて、ではこの性描写レイティングってどうなんだろう？

　この機能で困っている人っているんだろうか？

　むしろ、作者が自発的に性描写レイティングを入れる事で、『この作品はオトナなものです』と周知してくれているのである。

　そこを踏むか踏まないかは、もはや個人の性善説に拠るのではないか？

　でも多感な思春期のお年頃だったら、気になるはずだと思うけどね。

　それを、わざわざ１８禁として別サイトに仕立てるとか、意味あるかな？

　入り口で『あなたは１８歳以上ですか？』って聞かれても、『はい』を押す中学生や高校生はたくさんいると思うけど。

　たぶん私が高校生の頃に戻ったら、一も二も無く『はい』を押下するね。

『息子がいかがわしいＷｅｂ小説サイトで、いやらしい作品ばっかり読んでいるようで困るんです』

　こういう親御さんのお声なら納得できる。

　ドリフが生放送のコントで『う〇こ』『ち〇こ』言っていた時代に、子供がマネするだろうがって、懸念の声を局に入れる親御さんやＰＴＡの言い分は理解できる。

　でも、なんか赤の他人とか、よその人が、

『青少年の倫理上、教育上よろしくない！　二次元という媒体での性搾取による偏向したイメージによる金儲けだ！』

　って、騒ぐのはどうにも腑に落ちない。

　見なきゃいいし、気にしなきゃいいじゃんね。

　私はぎりぎりドリフ世代で、カトちゃんや志村の『うん〇』『ちん〇』聞いて育ちましたが、まともな子になり、そのまままともな少年や青年となり、今はまともなオジサンです。

　もちろん、『月曜日のたわわ』読んだから、火曜日には駅のホームでおっぱい襲おうなんて性犯罪には足を踏み入れておりませんし、前科もありません。

　カクヨムに掲載した長編小説も、レイティングなし、ほぼハッピーエンドのオーガニックな優しさを自負しているわけです。

　あなたが全方位に懸念と憂慮を示さなくても、子供達は立派に育ちますよ。ご安心ください。

　児童福祉に携わる人に聞いたことがあるが、それはそれはカオスらしい。

　施設では、女の子も男の子も、所かまわず平然と自慰を始めるそうだ。

　それが本来、恥ずかしいことと福祉指導員が教えても、子供達には理解できない。

　彼ら彼女らの純粋な欲求であり、生けとし生きる者、全てが備えてる『種の保存』と『その過程にある衝動』との葛藤なのだから。

　それを汚らわしいと断罪する事は容易であろう。でも彼らは何も教わらなくても、『こういうのってなんかいいな』と無意識に承知しているわけだ。

　でも、それとこれとは別だ！と割り切るのは少しズルい。

　福祉指導員の皆さんも常に苦慮している内容なのだ。

　できるなら教えたくないが、教えるなら人前では恥ずかしいこと、こういう指導が精一杯なのだろう。

　それを単に禁忌、ただ嫌悪と一緒くたにしてしまうのは、大人として無責任に指導放棄をしていると宣言するにすぎない。

　古い話題で申し訳ないが、映画『青い珊瑚礁』という作品がある。

　無人島に流れ着いてしまった少年、少女が、やがて性に目覚めていく話だ。

　それは誰も教える者が居なくても、性というものが人間という業に隣り合わせにあるという事実を描いている。

　たぶん性描写にお怒りの方達も、『子を設けること、それを為すこと』その行為じたいが嫌悪されるべき汚いものであると断罪してはいないのだろう。

　性搾取もしくはそれに類する作品、性を扱う作品が容易に手に届くという事態に、お怒りなのだと思う。

　それは理解できる。

　私は男だからＢＬには少なからず嫌悪感を抱くし、ＴＳもＬＧＢＴＱも性を扱うという意味では同義だ。

　不倫やＮＴＲもそうだね。

　他方が良くて、もう一方がダメ、という勘案されるべき事情はない。

　男も女も中立の人も、みんな仲良く痛み分け。もうそれでいいじゃん。

　そもそも、創作って自分の作品世界と向き合うことですよね。

　あなたの作った世界で、あなたの分身たるキャラ達が頑張って生きている訳です。　

　それを応援するのは神であり作者であるあなた自身だし、あなたが望むように清らかで純潔無垢な、バチカンに居るスイス兵みたいなピュアな子に育てる事も出来る訳なんですから。それは大変に立派な行為なんですよ。

　それをあっちの作者の世界では、チーレムしてるだの、高校生でセフレ居るだのに腹を立ててもねぇ……裏を返せば結局すべて創作は無からの発露であり、創造は想像でしかない世界なんだから。

　日本神話やギリシャ神話が『エロすぎる！』って腹を立てるのに似てる気がする。

　見知らぬ青少年の教育なんか心配してないで、ここはカクヨムなんだから、そんな下賤なテーマ選ばねぇよ！って、作家としての自分の『格』で土俵に立ったらいいのになって思う。

　自分が高潔なら、自分の作品が青少年に良い教育をもたらすかも知れないんだし。