今宵も音楽を聴きながら


 カクヨム内を徘徊していたら、Ami❤︎様が『歌をもとに作った物語募集!!★<読み合い企画>』という自主企画をされている。

https://kakuyomu.jp/user_events/16816927862156030813


 当然ながら、私のようにインディーズでマニアックでシャイで引っ込み思案の底辺ワナビなおっさんが、未来ある天下のJK様の自主企画にお邪魔出来る訳もなく、「ふむふむ」と自分の立ち位置を素早く理解して、ご迷惑にならないよう静かに去っていくのだった。



 私も執筆の時は、基本的にBGMを流している。

 でもそれはガッツリ日本語の歌だ。

 もちろん洋楽の時もある。


 二次創作や同人誌などの活動をしていた先輩である妹に言わせたら、それは「理解できない」という。

 イラストだけでなくBLではない健全男子カップリングな小説を書いていた妹によると、創作をしている最中、特に小説を書いている時は脳の言語野をフル活動させているので、外部から日本語の音楽が流れてくるなんて狂気の沙汰らしい。

 洋楽でもギリギリだと言っていた。

 だからゲームBGMやヒーリング音楽や自然音などのSEといった具合に、言語野を邪魔しない音楽を聴いていたそうだ。


 でも、私は執筆が興に乗ると、流れるYouTubeやCDと一緒に歌ったりする。

 もちろん小説のタイピングをしながら。

 昨日、近況ノートでも書いた通り、少年期の実家の環境のせいか、昔から女性脳なのだ。



 それはさておき。

 一応、私の作品にもテーマやモチーフとなる楽曲がある。

 それは普段から音楽を流しながら執筆の取っ掛かりを探しているせいだが、曲をもとに創ったというと微妙なものの、曲の世界にマッチした小説が出来た、ということはある。


『東洋の魔女』は、ヘビーロックのスリーピースバンド、人間椅子の同名曲から。

 執筆時の世間は暗いコロナの話題ばかりだけれど、これからが2020東京オリンピック大会だ!というのが、唯一の光明であった気がする。

 女子バレーの『東洋の魔女』と、同バンドの同名曲。

 人間椅子らしい重苦しいサウンドに合わせた詞が、西洋人の魔女の中で唯一、東洋の日本出身で堅苦しく生真面目な剣術道場の娘という魔女が居る、って逆の可笑しさに展開してみた。



『太陽が2個あってもいいじゃない!』は、Paul McCartneyがビートルズの解散後に作った後釜バンドWingsの曲、『Waterspout』。

 ちょうど当時ヘビロテで聞いていた曲だ。

 アルバムに収録されなかった未発表曲だが、『竜巻』とは思えない能天気なポールらしい曲調が好きで、荒れた天気もこういう風ならいいなと思い、そこから太陽神の妹という話題に切り込んでいった。

 ビートルズは昔から好きなバンドだ。解散後の4人のソロキャリアもいちおう聴いたが、ポールが一番、自分の性に合ってたようだ。



 また、その頃に敬愛するアーティスト、故・村下孝蔵さんのデジタルリマスター版ベストアルバムを買った。

『あの娘に「すき」と言えないワケで』は、同氏の生前のラストシングル『同窓会』がイメージにマッチすると思い選んだ。


 私の短編に同名の作品があるがそれとは関係なく、村下先生の『同窓会』はホント良い曲ですよ。何度聞いても泣いちゃうもん。

 故郷がダムに水没する主人公とバラバラになる同窓生といった要素は、まさにこの曲の『すぐまた会える、それから五年十年』というなんとも切なくも儚い青春の現実をうたい上げた名曲のおかげで誕生したと言っても過言ではない。



 現在連載中で処女作だった『神のまにまに』は、『さよなら人類』でおなじみ、「たま」の元メンバーでベーシストの滝本晃司さんの楽曲『となりの黒猫』を聴いて書いた曲だ。

 巫女という世間とは少し違う生活をしている主人公を、黒毛の猫と黒髪の巫女とをオーバーラップさせて描いた。人間から見た黒猫の世界、黒猫を中心に見た人間の世界、この日常から切り取られた微妙なズレが滝本氏の曲の妙だ。

「たま」は小学校から好きで、この人達の曲はホントに不思議でいい曲ばかり。平成の初め頃、世間的には一発屋扱いになってしまったのは音楽界としても、もったいないと思う。



 こうしてみると、好きなバンドも曲選びもなんだか、今の流行りとは極端に離れている気がする。でもそういう音楽をずっと好んでいたせいで、流行に媚びず、こういう困った物書きになってしまったのだから、むしろ今こそ胸を張れる訳です。

 

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