文字のタイピングとピアノ運指
執筆に使うのは常にパソコンだ。
スマホで執筆をしたことはない。
長くサラリーマンやワナビをやっていると、キーボードもある程度の距離感や位置の憶測からブラインドタッチはできるようになる。
でも完璧なブラインドタッチと言えるかは独学であり微妙。
最初に打つ文字の目印さえ決めてしまえば、あとはなんとか出来る。
次の行を入力する時には最初の文字を打ってみて、それが上手く目測通りの文字とハマればすらすらと綴ることができる。
失敗したら、その周囲の文字盤に指を微調整するだけ。
つまり、改めてキーボードの配置を的確に言い述べよと言われたらできない。
でも、どこにどの文字があるかは概ね無意識に理解できているということ。
これはたぶん、趣味のピアノを二十年近くやってきたおかげだ。
でも学生になって始めたから、幼少期からやってきた子のように絶対音感は無い。楽譜に並んだオタマジャクシを見て、瞬時にどの音か読み分けることも出来ない。
未だに五線譜のいっこ下の線が「ド」で、そっからレミファ……と指でいっこずつ数えないと、どの鍵盤を押さえるのかもわからない。
これがト音記号ならそうだが、ヘ音記号ならまた四線上からドレミ……と始まる。
だけど最初のコードを弾き始めたら、概ね運指で弾ける。不思議なものだ。
そのあたりの経験が活きていると思う。
言うなれば経験と野生の勘だ。
でも、タイピングに重要なのは順番でもある。
たとえばキャラの名前で『○○太郎』とか、台詞で『~たろう』とある。
キャラに『疲れたろう?』と喋らせたいとする。
でも指が思うように順番通り動かず、たまに変な変換になる。
T・A・R・O・Uならば――
左の人差し指でT、薬指でA、同じく中指でR。
今度は右の中指でO、最後に人差し指でUと打つ(あくまで私の場合)。
さらに数語の文字を打ってスペースキーを押して変換してから、確定でEnterを押す。
その順番が狂うと、突然にキャラが『疲れタオル?』とか言い出す。
『何言ってんの、お前?』と思わず一人で笑い出す自分。
どうやら疲れているのは私のほうだ。
『お前は朝早いんだろ? 平日はまだ仕事なんだから執筆は辞めてもう早く寝ろい』とキーボードが教えてくれる。
だから、今日も早く寝る。
正直なところ、少ない睡眠で稼働できる人がうらやましくある。
でもそれで個人的には体調が万全なら、仕方ないと言えるのかもしれない。
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