公募作にかける手間

 ようやく公募作の第二稿が上がる。

 これも処女作からずっと下読みに付き合ってくれている友達に投げる。

 ご意見、ご感想も賜りつつ、自分でもまた読み返す。

 気になったところは手直しする。

 年明けからの、この二か月はこんな調子だ。

 

 公募までの流れはおおむね、以下の通り。


1.ぼんやりとしたアイデアからイメージを形成させていく。

2.プロットらしき、どうしようもないメモを書く。だいたい完成作とは異なる。

3.アイデアがある程度固まったら、見切り発車で書き始める。

4.初稿が完成。

5.友人達に下読みを託す。自分でも読み返す。

6.自分で気になったところ、友人達からのアドバイスを基に修正。

7.第二稿が完成。

8.友人達に下読みを託す。自分でも読み返す。

9.自分で気になったところ、友人達からのアドバイスを基に修正。

10.第三稿が完成。

11.さらに読み返して微調整を行い、脱稿。

12.完成稿をどっかの賞に応募。



 だいたい、実作業にこれが4~5か月かかる。

 アイデアが浮かんだり、プロットを練ったりするのに下手したら半年くらい。

 今年は一本しか書けなかった。

 昨年は四本仕上げた。

 遅筆というのもある。

 サラリーマンの皮を被った世を忍ぶワナビなので、残業や繁忙期もある。

 さらにアイデアが浮かばないのも悩み。

 もしくは浮かんだアイデアも「凡庸じゃないか?」と自分で自分を疑ってかかるので、実際に執筆にこぎつけるまで、死にプロットはいくらか生まれる。


 こうして考えると、趣味や娯楽としては、執筆って凄い非生産的だ。

 でも書いてる時は楽しいからしょうがない。


 新作はものすごく苦労した。

 いや、毎度苦労しているんだけど。

 そのくせ毎度、完成すると「これ面白くないかも病」に罹患して、公募に出してもダメかもな、とヘコむ。

 それでも執筆に苦労した日々の連続だったはずなのに、仕上がった原稿を読むと不思議な気持ちになる。

「これ、誰が書いたんだろう」ってくらい完成された作品がそこにあるわけ。

 まるで、小人さんが靴を縫ってくれたみたいに。


 自分で走ったのに、走った記憶もおぼろげなままにゴールテープを切った感じ。

 おそらく書ききった時点で「作者」という自分を離れて、客観視できるひとつの作品になるのだろう。

 無論、欲を出して「次こそ良い作品書けたで!」というバイアスは多少はかかる。

 それでも手間暇をかけたことで、執筆時は単なる文字の羅列から、映像の浮かぶ作品に昇華していくんだろうな。


 その謎の達成感が癖になるし、また次も書こうと思う。

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