第3話 皮肉たっぷりの言い逃れ

「あの~、俺の弁当が何か?」


「えっ?」


俺が彼女にその視線の真意を尋ねるために話しかけると彼女はまさか話しかけられると思っていなかったのかとても驚いていた。


「いや、だからさっきからジッと弁当を見てばっかで、さっきも”あっ”って言ってたじゃないですか。」


「間島君と言ったかしら、あなたのお弁当を見ていた?もしかしてそれは冗談を言っているつもりなのかしら。わー面白いわね、街中で大道芸をやっていたら5円くらいは払いたくなるクオリティーよ。」


視線の真意が気になり俺が彼女に話しかければなんと初対面にもかかわらず盛大な皮肉を飛ばしまくってきたのだ。なんだよこいつ、流石にそれはないだろ、棒読みで面白いはやめろよ。


普通、初対面でこんな皮肉たっぷりの嫌味をぶつけてくるか?俺はただ何か用があるのか聞いただけなのに。こんなお嬢さまに話しかけた俺が馬鹿だった、もう気にしないでお弁当を楽しもう。


俺は先ほどの記憶を脳内から完全に消去し、残りの弁当を食べ進める。俺が最後のエビフライをぱくりと食べた時のことだ。


「あぁ、最後のエビフライ・・・。」


またしても彼女の方から声が聞こえるではないか。しかも、最後のエビフライとご丁寧に教えてくれているし。流石に今回ばかりは誤魔化されない、どう考えても今の発言は俺に向けての言葉ではないか。


「今、最後のエビフライって言いましたよね。やっぱり俺の弁当を見ていたんじゃないですか。」


「はぁ・・・、全く何を言っているのか。私がいつ、エビフライなんて言葉を口にしたのかしら。そんなもの知りませんね。」


俺がエビフライ発言を問い詰めるもなぜか彼女は頑なにそれを認めようとしない。本当に一体何がしたいんだか。


そんな中、ふと彼女のお弁当が俺の目に入る。それを見た瞬間に俺の頭にとある推測が浮かんでしまうのであった。

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