第1話 3月4日弁天誕生日ー前日譚ー

作:ますあか


(サットヴァ視点)


私、サットヴァは、静かに考えていた。


3月4日は雑賀に所属する弁天の誕生日だ。


弁天の【ばーすでーぱーていー】は誰にお願いしよう?


私は下界を覗きながら、考える。


すると天界へよく訪れるカルラがやってきた。


カルラ「サットヴァ様」


サットヴァ「あら、カルラ。どうしたの?」


カルラ「折り入ってご相談がありまして……、弁天の【ばーすでーぱーてぃー】についてです」


サットヴァ「あら、ちょうどそのことを考えていたのよ」


カルラ「実は弁天は誕生日を祝われるのが苦手なのです」


サットヴァ「あら! 誕生日を祝われるのが苦手な子なんているのね」


カルラ「年下に祝われるのが気恥ずかしいのでしょう」


サットヴァ「そういうものかしら」


カルラ「なので、弁天の誕生日を知っている者はごく僅かなのです。これからも秘密にしておきたいと思います」


サットヴァ「そう……。では【ばーすでーぱーてぃー】は開催しない方がいいわね」


カルラ「そのことなのですが、ひとつ。私からご提案があります」


カルラは少し緊張したように提案する。


カルラ「弁天の誕生日を知っているのは、私とサットヴァ様だけなので、ふたりだけで贈り物を用意しませんか?」


ドッカーン!!!


私は雷に打たれたかのような衝撃を感じた。


贈り物……!


なんて、素晴らしい響きなのかしら!!


サットヴァ「弁天の【ばーすでーぱーていー】は開催しないで、贈り物を送るのね」


カルラ「あの人は普段、大勢の前で演奏するのに、自分のことで大勢に祝われるのは苦手なんですよ。贈り物で十分です」


確かに誕生日は派手な【ばーすでーぱーてぃー】だけではないと、つい最近雛之丞の【ばーすでーぱーてぃー】で学んだばかりだ。


そして私は気づいた。自分から他の者の誕生日を率先して祝ったことがないことに。


今まで誰かに【ばーすでーぱーてぃー】を開催してもらうばかりで、自分から動いたことがない。


これは、新しい学びを得るいい機会なのかもしれない。


サットヴァ「分かったわ。一緒に弁天へ素敵な贈り物を考えましょう!!」

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