第3話 1月25日ハヤテ誕生日①

作:ますあか


(サットヴァ視点)


●1月25日(ハヤテ誕生日)


今日はハヤテの「ばーすでーぱーてぃー」


楽しみにしすぎて、昨日から待ちきれなかった。


私は会場の屋敷に集まると、ハヤテの使い魔であるナルカミが出迎えてくれた。


ナルカミ【サットヴァ様。本日は主の誕生会にいらして頂き、誠にありがとうございます】


サットヴァ「ええ、お招き頂きありがとう! 素敵な会場ね」


真面目なハヤテは、食事や会場の準備も完璧だった。


流石、伊賀の優秀な忍びね。


会場を見渡すと、多くの忍者が集まってきている。


すると声の通りのいいナルカミが頭上を飛んできた。


ナルカミ【ええ、ではお時間になりましたので。


これから我が主の「ばーすでーぱーてぃー」を開催したいと思います。


では、主。お集まり頂いた皆様にひと言ご挨拶をお願いいたします】


ナルカミの紹介でハヤテは挨拶を述べる。


ハヤテ「この度は急な開催であるにも関わらず、お集まり頂きありがとうございます。


今日はささやかながら食事を用意いたしました。みなで食べ、話をし、楽しんで頂けると幸いです」


ハヤテはそう言って、きれいにお辞儀をした。


パチパチッ


と拍手が鳴った。


ふふっ、いいわね。


こういう雰囲気味わったことなかったから、ちょっと新鮮。


そんなことを考えながら、ハヤテが作ったご馳走を舌鼓する。


おいしい、とってもおいしい。


洋食ってあまり食べたことがなかったのだけど、和食より濃い味付けがおいしい。本当においしい。


色とりどりの葉物に果物と味付けがしてあって、舌にあう。


蒸かした芋もぴりっとした胡椒の味付けがいい塩梅。


その時だった。


ジャジャジャーン!!!


辺りに三味線の音が鳴り響く。


あれは雑賀の弁天だわ。


まさか雑賀の弁天も参加しているとは、驚いたわ!


そして弁天の他にもうひとり三味線を弾いている忍びがいる。


あれは忍び界の秩序を守る者、伊賀のカルラね!


♪~~♪♪#♪~


♪~♪♪~#♪♪


とっても気分が高揚する演奏!


二つの三味線の音が重なって素敵だわ!


それにしても、なんであのふたりが一緒に演奏をしているのかしら!


ふたりの演奏はあっという間に終わってしまった。


カルラ「ハヤテ、お誕生日おめでとう! また今度いいお酒持ってくるから、飲もうね!」


そう言って、演奏が終えるとカルラはすぐに会場を出て行った。


【ええ、素敵な演奏をありがとうございました。


カルラ殿は忍び界の秩序を守るため、あまり持ち場を長く離れることができません。アンコールはご容赦ください。】


それを聞いて、カルラってとっても真面目で律儀な子ねと改めて思った。


いつも天界と地上を行き来してくれているから、あまり気にしていなかったけど、やっぱり忙しい役職よね。


今度何か労ってあげましょう。


そんな事を考えていたら、ナルカミは続けて演奏者の紹介を始める。


【続いて弁天殿のご紹介をさせてください。流浪の楽士と呼ばれる忍びの弁天殿は、昔カルラ殿とバンドを組んで演奏活動しておりました。


今回カルラ殿のご紹介で、この会に来て演奏して頂けました。本日は誠にありがとうございます】


弁天「誕生日は一年に一度しかやってこない大事な日ですもの。それにハヤテ君はいつもがんばっているからね。


改めましてハヤテ君、お誕生日おめでとうございます」


そう言って、弁天はきれいなお辞儀をして演台を後にした。


演者として凛とした貫禄ある姿だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る