第2話 1月25日ハヤテ誕生日ー前日譚②ー

作:ますあか


(餡音視点)


●1月24日(ハヤテ誕生日前日)


その日餡音は厨房を借りて、普段作り慣れていないケーキを作り始めていた。


なぜ急にケーキを作り始めたのかは、昨日の出来事に遡る。


私の師匠であるハヤテが「明日祝い事があるから、時間になったらこの会場に来て欲しい」と言われた。


そのときの師匠は随分くたびれた様子だった。


なぜ師匠があんなにも疲れているのか気になった私は、師匠の使い魔である鷹ナルカミに事情を聞くと理由が判明した。


サットヴァ様がバースデーパーティーに参加したいと言ったそうだ。


そして直近の誕生日を迎える忍びが師匠のハヤテだったらしい。


しかもハヤテ自身にパーティーを開いて欲しいといったそうだ。


いやいや、サットヴァ様。師匠は祝われる側ですよ。


しかし真面目な師匠のことだ。


前日に提案されたというのに、しっかりと準備を済ましている。


私は流石に師匠のことを不憫に思った。


急ぎご意見番に頼んで、材料を準備し、慣れないケーキ作りを始めたのです。


酉花「餡音~! プレゼントって何がいいかな?」


酉花が悩んだ様子で、忍者通信のカタログを見ている。


餡音「師匠が喜びそうな物を考えればいいんじゃない」


酉花「ううん、私の料理じゃ、だめか……。花かな?」


餡音「毒の花以外なら、問題ないよ~」


と私は手元にあるレシピを見ながら、酉花に向かって適当に返事をした。


酉花「あっ! これにしよう」


酉花は師匠のプレゼントが決まったらしい。


ケーキのスポンジ焼き作業に入って、少し時間ができると酉花の選んだプレゼントを見る。


餡音「いいんじゃないかな? でもこれすぐに届くかな。忍者通信でも厳しいんじゃない?」


酉花「大丈夫、私が作るから! こういうの得意だしね♪」


餡音「今から? もう夜だよ?!」


酉花「徹夜で作るよ! じゃあ私部屋に戻って作ってるね」


そう言って、酉花は厨房を出て行った。私は酉花のことが少し心配だったが、


餡音「ま、なんとかなるでしょ」


そう言って、ケーキのスポンジが焼き上がるのを待っていた。

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