第15話「1文字1円作家」
その作家が目覚めたときにまずやることはPCを起動し、傍らに置いておいたアイスコーヒーを飲む。
Wordでひたすら文章を打ち込む。書くのは詩歌や短編小説だ。限界が来たら食事。
文字数が大体20万に達したらファイルを出版社に送る。そこから編集して本が発売されたら原稿料を受け取る。原稿料は出版された本の本文の文字数×1円だ。
その作家の本は年に6回ほど出る。年収は約100万円。独身の実家暮らしだ。新刊が出るたびに地元の本屋の店主が平台に置いてくれているぐらいのほどにはなった。
新聞記者に創作の秘訣を聞かれたらこう答えた。
「思いついたことを書くだけです」
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