第3話 オタクライフ in 東京
どうもこんにちは、伊野ルウカです。
早速ですが、私は『インスタ映え系駄菓子屋』のマッチという店でバイトすることになりました。
え?お前のようなオタクが『インスタ映え系』は無理があるだろって?
はい、おっしゃる通りでございます。まぢむりです。。。
連日にわたって、絶対に関わらないような人種がドッと押し寄せてくるのです。今日初めて店頭に立ったんですけど、『おすすめってある〜?』とか『おねーさんのイチオシください!』って言われます。普通に地獄です。何これ。
でも、私は元気です。店主様と一度会話するだけで、一呼吸で全身のオーラが漲ります。なので、無理がある仕事でも死ぬほど頑張れるのです。多分、今日は人生で一番働き者になった日だと思います。
「おおルウカ、めっちゃ働くな〜」
はいキタコレ。これですよこれ。これだけでもう十分です。多分今の私の身体能力はファイアマンに負けないくらい強くなってると思います。
めちゃ仕事頑張りました。朝早くに来て掃除をした後、お店の商品の在庫の確認、足りない分の発注を行います。店を開いてからは誠心誠意お客様を案内し、テキパキと無駄なく対応していきます。日本語が話せない外国人観光客の方が来ましたが、カタコト英語とジェスチャーで乗り切りました。列が作られている時にお客様の間で揉め事があったようですが、私が出ていって綺麗さっぱり解決しました。多分、私の形相がすごかったからだと思います。イチャつくカップルがレジの前でモタモタしていたので、キッパリと『後ろにもお客様がいらっしゃいますので、そちらにご移動ください』って言ってやりました。申し訳なさそうにカップルが出ていった時、私の中のゲスな心がガッツポーズしていました。
昼間の繁忙期を過ぎて夕方の閉店時間になったら、次の日のために製品材料の買い足しに行かないといけません。リセリアちゃんと一緒に、行きつけの卸売店に行きました。
あ、リセリアちゃんとはここ数日の間で仲良しになれました。もうお互いに名前で呼び合う仲です。リセリアちゃんはほんっっっっっとに可愛くて、名前が不思議なこととか、見た目私と同じくらいの年齢なのに車運転してることとか、全部無視しちゃえるレベルです。真っ白でサラサラな髪に碧眼とか、マジどこの異世界の住人だよって思いました。実際、お店にもリセリアちゃん目当てでやってくる熱烈なファンが一定数いるらしいです。彼らとも仲良くなれました。
行きつけの卸売店は浅草にある古いお店でした。お菓子の原料となるものを扱っていて、顔に傷のついたおじさんが経営しているお店でした。
最初は顔怖いなー、とか思ったけど_____
「へぇ、新人か。ここで会ったのも何かの縁だな」
とか言って、段ボールにぎっしり詰められたあんパンをプレゼントされました。最高のおじさんでした、一生忘れません。
「え、あの人昔ヴィランだったの?!」
「うん、2年前くらいにね。捕まったんだけど、被害も少なかったから早めに釈放されてね。それからは元の真面目な人間になって、人手不足だったあのお店を継いだんだとさ。恩義を感じてくれてて、友情価格でいつも仕入れさせてもらってるよ」
しかも元ヴィランだったそうです。それが更生して、高齢化している浅草の他のお店の手伝いなんかもしてるんだとか。何それ、尊すぎるんですけど。
ヴィランとして働いた悪事が無かったことになるわけじゃないだろうけど、ああいう人を助けることもまた、ヒーロー活動に含まれるのでしょう。めっちゃ感動しました。
お店に帰ってからは次の日のための仕込みをします。お菓子を作るための機械とか食器も結構ありますし、店の前で立ち食いする人が多いのでゴミも多いです。そういうのを綺麗さっぱり片付けたのち、夕方になってようやく休みです。
嘘です。休みなんてありません。この後すぐに一番大事な仕事、パトロールが控えています。どこかでヴィランが暴れていないかどうかはニュースサイトやSNSを見ていつでも確認できるようにしておきます。車に乗り込んだのち、いつものポジション_____運転席にリセリアちゃん、後部座席にファイアマン様が座り、助手席に私が乗ります。
なんていうか、もうここまで順応してる私が怖いです。つい先日までただのおっかけだった女が、何があって急にこのポジションにつけるのでしょうか。私の前世は弘法大師のような偉大な人間だったに違いありません。
もちろんですけど、ファンであることはやめてません。隙あらばファイアマン様のご尊顔をカメラに収めようとしますし、戦っている様子から日常のぐうたらしてるシーンまで全てこの目で収めています。最近はカメラのメモリ切れが激しいです。
ちなみになんですが、ファイアマン様のことはまだ名前で呼べていません。友達みたいに『至ルくん』とか呼べたらいいんですけど、そこまでやっちゃうとファンとして踏み越えてはいけない一線を越える気がしています。それはなんだか、プライド的に許せないので、どうしても呼ばないといけない時はギリギリOKなラインの『炎堂さん』と呼ぶことにしてます。本人としてはむず痒いらしいので下の名前で呼んでくれとのことですが、呼んだらもう私そのまま成仏するのでダメです。
東京は世界有数の大都会ですし、ヴィランの発生数もかなりのものですが、何も毎日ヴィランだらけなわけではありません。先日の猫キャラヴィランくらい強いヴィランは、滅多に現れるものではありません。時にはヴィラン以外の、普通の強盗とかと戦うこともあります。
昨日は池袋の近くで起きた、無差別に刃物で人を襲う犯人と戦いました。犯人は何人かの人を無差別に刺した後逃走したようですが、ファイアマン様がしっかり捕まえました。ファイアマン様は刃物を持った人を力で鎮圧することなく、刃物の刃の部分を握力で捻じ曲げて、人を切れなくするという離れ技で犯人を圧倒しました。最後には犯人とハグをして落ち着かせ、一件落着です。その時の私はビルの影からその様子を眺めていて、興奮のあまり声が出そうになるところをリセリアちゃんになんとか抑えてもらっていました。
そして今日です。今日も一段と東京の街は平和です。こうやって争い事などに注目すると、やはりこの国が平和であることをしみじみと実感できますね。車窓から街を眺めるファイアマン様の顔もなんだか穏やかです。そのまま特に何事もなかったので、リセリアちゃんが好きだという東京レインボーブリッジを走った後、お店に戻りました。
戻った頃にはお腹ペコペコです。日中ずっと働いてたのでぎゅぐるるるるとお腹がうるさいんですよね。
空腹を訴えたら、なんとリセリアちゃんがバイトのご褒美として賄いを用意してくれました。今日の献立は特製麻婆豆腐です。腹が減りまくっていたので貪るように喰らい付きましたが、辛過ぎて全身が痺れました。リセリアちゃんは辛党だそうです。
それでもなんとか食いつきました。なんたって、あのファイアマン様が同じ食卓を囲んでくれたんです。なんてゆーかもう、はい、うん、あれです。語彙力が欠如したのでこれ以上言えませんが、すっごかったです。
帰りはリセリアちゃんが車で送ってくれました。そうして夢のような土日のバイトが終わり_____
__________
「いや何これ?!夢か?夢なのかぁっ?!」
ここまで回想して、急に自分の恵まれっぷりに悶えそうになる。朝の通勤・通学ラッシュの時間帯の駅のホームで、一人で声を上げてしまい思わず押し黙った。
今日はいつもと変わらぬ平日。朝から学校へ通わなければならないのだ。
私は上京するためだけに、高校受験で実家から離れた東京の公立高校に受験していた。実家を離れるのは怖かったが、慣れてしまえば一人の生活も悪くない。友達もできた上に、『ファイアマンオタク』という共通の趣味を持った素敵な仲間もできた。
学校には、楽しい友達が何人もいる。そう、あくまでも『楽しい』だけの……。
「やぁルウカ!今日もメガネの黒縁がテカっているね!」
教室に入るなり、隣の席からこんな声が飛んできた。いないと思った矢先にこれである。
「あ……
「苗字じゃなくて名前で呼んでくれないか?ほら言ってみてよ、『す・み・れ』って」
「…………すみれさん、おはよう」
「うん!いいね!」
ボーイッシュな見た目が特徴の美少女……であることは間違いない。リセリアという人間離れした美少女を見ても尚、純レの顔面偏差値はやはり高いのだと思える。黙っていればモテモテの美少女で終わったと思うのだが、残念なことにこの少女は学校一のプレイガールなのである。学校中を歩き回っては男子も女子も関係なくナンパしまくり、デートに誘うのだ。完全にヤバいやつの行動だけど、相応の顔面偏差値・優等生らしい立ち振る舞い・勉強もできる頭の良さ、のせいで許されているのが癪に触って仕方がない。休み時間は常に男女混合の集団が彼女の周りを取り囲み、その中心で優雅に佇んでいる。その本性を知っている人間からすれば、鬱陶しくて仕方がないのだけど。
今日もこうして、中々首を縦に振らない私に付き纏い、遊びに誘い続けてくるのだ。それが心からの親切だと理解できるだけに、逆に断りづらくてたちが悪いっつーの。
「ルウカ!今日さ、ス◯バの新作が出たから一緒に飲みに行かないかい?!もちろん、私が奢るよ!」
「あー……私今日は予定が_____」
「うん!君ならそう言うと思って、先に買ってきたよ!」
(いやいやいやいや、なんで学校にフラペチーノ持ち込んでんの???)
「さぁどうぞ!季節限定『ツインさくらんぼフラペチーノ』だ!ベンティサイズだから、心ゆくまで味わっていいよ」
「……えーっと……ベンティは流石に残しちゃうから悪いよ……」
「フフッ、大丈さ。その時は_____私も一緒に飲んであげる、よ?」
(……ウウウウウウゼェェェェェェェェ……)
純レはストローに口をつけながら、まるで投げキッスでもするかのようなポーズを取って見せた。どうやら、『間接キスをしてもいいよ』というメッセージらしい。
これが男なら『死ね変態!』と殴ればいいだけなのだけど、顔面偏差値の高い女子であるせいで、手を上げてまで撃退する気になれない。この絶妙なウザさ・キモさが逆に腹立つ。
ちなみに、朝こうやって目をつけられたが最後、一日中口説かれ続ける羽目になる。
「ルウカのお弁当は美味しそうだね!そのミートボールを一つくれないか?代わりに私の唐揚げを一つあげるよ!」
「いや……揚げ物は苦手だから、交換しなくても大丈夫だよ……」
「そうかい?なら、真友庵(高級菓子店)のみたらし団子をあげるよ」
「うぐぐぐぐ……ミートボールあげます」
「やった!うん、やっぱりルウカのお弁当は素晴らしいね!手作りの風味を存分に感じるよ!」
(手作りの風味ってなんだ……私の体臭が染み付いてるのか……?)
「ルウカ!君のために飲み物を買ってきたよ!コーラとポカリとマックスコーヒーだ!どれがいいかな?」
「あー……私はお茶が_____」
「もちろんお茶もあるぞ!どれがいいかな?!」
「今はそんなに喉が渇いてな_____」
「そういえば、通販で仕入れた高級玉露があるんだった!君のために、淹れてあげるよ。ほらどうぞ」
(くそおおおお……このお茶美味しいいいいいい……)
「やぁルウカ、帰りは一緒にどうだい?君と私は同じ電車だろう?」
「あー……今日はバイトで_____」
「あれ、君はバイトを辞めたんじゃなかったっけ?」
(……え、なんで知ってんの?)
「おや、そんなに不思議なことかな?毎週同じ曜日にバイトに行っていたはずの君がそうしなくなったら、辞めたものだと思ったのだけど、違うかな?」
(その観察眼、他のことに使ってくれ……!)
「いやぁ、実はファイアマン一番くじの抽選券をまだ持っていてね。良かったら帰りに君と一緒にショップに行こうと思ったんだけど、ダメかな?」
「はい一緒に行きましょう三和さん」
「あははっ!私のことは純レと呼んでいいって言ったろ?」
……絶妙な気配りの出来具合と絶妙なキモさが合わさった人物、それが三和純レという人物の持ち味なのである。めちゃくちゃうざいが、なんだかんだで憎めないいいやつなのだ。隣の席であることも相まって、いつの間にか口説かれ続ける関係になってしまった。
__________
いや、こんな奴だけだと流石にまずい。もっと頼もしい友達を紹介せねば。
「おっすー」
「お、ルウカだ。おっすー」
「おっすルウカ」
放課後、学校の中で最も居心地のいい場所、すなわち部室へと向かった。私が属しているのは『映像研究会』っていう部活だけど、やってることは実質的に『ファイアマンファンクラブ』だ。
部員の一人、
そしてもう一人は
外見と性格が全く噛み合っていない二人だが、それが逆にこの部活に調和をもたらしていた。部室の隅では二人とも持ち込みのノートパソコンで作業をしている。凛太はネットに上げられたファイアマン動画を使ったMAD動画を制作していて、晴子は
その横で全力で◯イクラをやってた。晴子がゲームをやってるのはもう見慣れたので、私は凛太の動画制作の状況を見ることにした。
「うーん、ここにエフェクト入れるとファイアマンの炎が見づらくなるんだよな……」
「BGM、もっと似合うのないの?」
「これ、炎で戦う系アニメのオープニングテーマだぞ。これ以上似合うのはないでしょ」
「さすが凛太。でもさ、なんか特撮映画みたいにさせられるのはなんか嫌。ファイアマンは特撮ヒーローなんじゃなくて本物のヒーローなんだから、下手なエフェクトは逆効果よ」
「そうよそうよ。ファイアマンは素でかっこいいのだから、下手なエフェクトは逆効果よ」
「ルウカも晴子も……俺が作ってるのは男子ウケする派手な動画なんだから、別にファイアマンオタクに忖度する気は_____」
「うるせー!私のファイアマンをMAD動画で汚すな!」
「でもこれでファイアマン好きな人が増えるんだぞ」
「凛太、君は最高のクリエイターだよ……」
「晴子の気変わり怖っ……」
こんな風な
時には三人で出かけ、ファイアマン撮影のために東京中を走り回ったこともある。去年の文化祭の出し物では、ファイアマン関連の写真やら動画の展示を行い、学外からもファイアマンファンが押しかけた。
本当に頼もしいことこの上ない、私の大切な仲間たちだ。
__________
仲間といえば、あともう三人。
学校とはまた別のところで作られた、ファイアマン好きが集まる同人サークルにも私は属している。その名も、『
今日は、週次の集まりがある。『ぐうぐう屋』の看板が掲げられたその店の
「食らえっ!」
「おらぁっ!」
大学生くらいの年に見える二人の男が、大人気もなく取っ組み合いをしていた。そのまま地べたに二人一緒に転げ回り、身動きが取れなくなったタイミングで私のことが目に入ったようだ。
「おっ、ルウカちゃん!おひさー」
「聞いてくれよルウカちゃん、こいつずっと俺の股間狙ってくるんだぜ!変態だよな」
「……何やってんの……
はねた金髪の男の方が
居酒屋の床はそこまで綺麗ではないのだが、この二人は服が汚れることを全く気にせず取っ組み合いを続けている。年下の女の子がこうやって見ているのに、カッコつけるどころかさらにダサいことをするのはぶっちゃけどうなんだろう……。
「お、ルウカ。よく来たね」
「
精神年齢低めの男子とは打って変わり、こちらは精神年齢が高そうなお姉さん。髪をピンク色に染め、露出度の高い服を着た派手な見た目だが、趣味嗜好は奇跡的なまでに私とほぼ一緒である。
名前を
居酒屋を経営しているだけあって、お酒にもめちゃくちゃ強い、のだが倫理観はしっかりしていて、未成年である私にお酒を出したりは絶対にしないし、もし飲もうとしていたら本気で怒ってくれるタイプの『出来る大人』だ。知り合ったきっかけは、ショップで朱ネさんがファイアマングッズを大人買いしている場面に出くわした私が『ああああ、限定グッズがぁぁぁ』とうなだれて泣き崩れたのを見て、朱ネさんは会計を済ませた後に限定グッズを見ず知らずの私にプレゼントしてくれたのだ。それ以来、ファイアマンに次ぐ憧れの人として一緒にサークル活動する仲である。ちなみに航ルくんと悟ルくんの二人は、この居酒屋に通っているうちに朱ネさんに布教されてメンバーに入らされたんだとか。
「ルウカちゃん、これ京都旅行土産の八ツ橋よ」
「わぁぁっ……!あいがとうおざいまふおふひいれす(もしゃもしゃ)」
「朱ネさん、京都で逆ナンされたらしいぜ!しかもクリス・エヴァンス似の外国人だってよ!」
「やっぱ朱ネさんってそっち系が好み?その後デートしたんじゃね?!」
その後、朱ネさんの関節技によって締め上げられた二人は体をピクピクとさせながら床に転がっていましたとさ。
『FLAME』という同人サークルで行っている活動は、『ファイアマン戦録』という名前のまとめサイトの運営である。このサイトでは、日々活動しているファイアマンの戦いっぷりや活躍っぷりを写真や動画でまとめて解説し、ファイアマンが東京を守ってくれていることを後世に残すことを目的として運営している。
私が撮影係としてファイアマンを追っかけて写真や動画の素材を集め、その様子を航ルくんと悟ルくんの二人が動画にしたり記事にしたりし、サイトを運営して発信する、という役割分担である。お金周りのことや、サークルとしての顔は朱ネさんにお任せしている。
年に一回はコミケにも参加していて、サイトに投稿している内容の中でも選りすぐったものを集めた冊子を販売している。そこまで知名度を集めているわけではないが、それでも活動費の足しくらいにはなっている。
このサークルにいると、上京して東京で一人過ごしている私も、ちゃんと社会の一員として生きてることを実感できる。何かあったときは朱ネさんのお店に駆け込めば常に色んなお客さんで賑わっていて、勉強が分からない時は航ルくんや悟ルくんが教えてくれる。そして、サイトを頑張って運営すれば見てくれる人がいて、冊子を販売すると『楽しみにしていた』『これからも応援している』という声を直に聞くことができる。私は、このサークルが大好きだ。
__________
こんな風に、私の周りには色んな人がいる。
だから、一人で東京に出てきても、寂しく感じることはない。いつだって周りには頼もしい人がいて、私にも役割がある。都会は人と人の関係が薄れているというが、私はそう感じたことなどない。むしろ、自分で人と人の関係を作っていく喜びが、この場所にはあると思う。
_____そんな中、私はただの『ファイアマンオタク』から一歩抜け出してしまった。もう、昨日までの自分ではいれない。そう、私は知ってしまったのである。あの_____あのファイアマンの正体を_____!
「……?ルウカ、大丈夫かい?汗がすごいよ」
「だだだだだだだだいじょうぶぶぶぶぶぶぶ」
「めちゃくちゃ震えてるじゃないか?!待っててね、今リラックス用ドリンク出すから_____」
例えどんなリラックス用の薬を処方されても、この震えだけは止まる気がしない。
ファンでいながら、ファイアマンの更なる深い部分を知って、それどころかもっと素晴らしい姿を知ってしまった。そればかりか、今やファイアマンと一緒の駄菓子屋で働いている。
(あれ?私って、世界一幸せじゃない……?)
どうしよう。麦◯らの一味の一員なのに一人だけ◯ンピースの正体を知っているような、この不自然な感覚ってどうしたらいいんだ?
これから先、何を目指せばいいのか分からなくなってしまった。今こうやって努力しているのはこれから先の幸せを掴むためのものだと思っているが、もう既に最高の幸せを手にしてしまっている。
(私_____これから何していけばいいんだろう……)
そんなこんなで、私は世界一贅沢な悩みを抱えることになってしまったのでした。
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