第11話 We are all losers.
われわれは全員敗者である。
In war, whichever side may call itself the victor, there are no winners, but all are losers.
Neville Chamberlain
「戦争において、勝者はいない、すべて敗者なのだ。」
ということを説いた人間がいる、というのはブラウン管越しに知った。
「もしかしたら、英語かもしれない」と思って適当に英訳してヒットしたのがネビル・チェンバレンの名言だ。
初めて調べた時は元ネタがわかったことに歓喜して、小躍りして電子頭脳の画面を閉じた、が。
なぜ、ヴィクターと言う単語を彼は選んだか。ヴィクター、ヴィクター・フランケンシュタイン、フランケンシュタインとホラー映画では呼ばれる怪人、原作では名前のない、名前のない怪物、出版禁止になった絵本にも載っていた怪物。
わたしはもしかしたら、怪物なのでないか。だから、母からも、そして、誰からも大切にされないのではないか。ヴィクターだから。禁忌をおかしたから。生み出したのが怪物であったから、だから何をしても構わない、と。
わたしは土蜘蛛だ。消された存在、中央に歯向かったがゆえに怪物扱いを受けた獣。
どうせ、あの演目が成立した時代から、わたしは変わらないのだから、いつかは消される。國がそれを望んだのであれば。
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