第3話 オッパイ当てクイズ大会

 さ、寒い……。

 ここどこだ……。

 そうだ、俺は川に落ちて流されて……。

 あったかい……?

 誰かが温めてくれてるのか……。

 ……。

 …………。


 ──あっちぃいいいいぃ!!!!!

 なんだこれ!? 身体中焼ける!

  熱い熱い熱い!!!

 ──んぎゃああぁああああ!!!

 やめろぉおおおぉおお!!

 ぐぅうううぅうううう!!!


 目を開けると、縦長のデッカイ仮面を付けた毛皮の男たちが、俺を囲んで踊っている。

 ドンドコドコドコドンドコドン。

 ハイッ!

 ドンドコドコドコドンドコドン。

 ハイッ!


 しょ、食人族!?いや違う、俺豚だった!

 食べられちゃうの!?

 俺、このまま食べられちゃうの!?

 逆さまに縛られている俺。

 縛られた手足が棒に通されて、下から火であぶられている。


 まさかこれが噂に聞く、豚の丸焼きッ!?

 イヤあぁああ!!助けてぇ!!!

「プギイイィイ!!」

「いきのいい豚だな!」

「食べるのが楽しみだな!」


 くそっ!なんなんだよこれはよおぉ!!

 ──ぐわああぁあ!!

 やめてええぇええ!!

 いやだぁああぁああ!!

 もう許してくだざいいいぃい!!

 熱い熱い熱い!!

 何か、何かないのか!


 俺は必死でステータス画面を鼻で押した。

 〈風の刃〉ウインドカッター!!これだ!!

 更に横のプルダウンを押すと、対象を選択して下さい、と出てくる。

 俺は自分を縛っている縄のギリギリ端っこを選択して、〈風の刃〉ウインドカッターを押した。


 バシュッ!!

 縄が切れて、焚き火の上に落っこちる。

 あっちいいぃいいい!

 俺はゴロゴロと地面の上を転げ回った。

 回復!回復!!


 急いでステータス画面から回復を探す。

 〈応急手当〉ライトヒール

 火傷がすぐさま回復する。

「景品の豚が逃げたぞ!」

「魔法!?魔物か?」

 ──ん、景品?


 見るとあたりは祭りの真っ最中のようだった。たくさんの出店、老若男女が楽しそうにしている。唯一違和感なのは、そこにいるのが、牛の角をつけ、茶色だったり白と黒だったりする、どう見ても牛の獣人たちだってことくらいだ。


「魔物なら食べられないな。」

「ああ、俺たちに近い存在だ、悪いことをしちまったな。」

 豚じゃなければ食べないの?

 じゃあ俺魔物でいいよ?

 俺はかわいい豚の魔物ですよ〜?

 俺はキラキラした目でアピールする。


「──けど、大会の景品がなくなっちまったな、困ったな。」

 なんの景品だったんだ?

 見上げれば、一段高くなった場所に、“オッパイ当てクイズ大会!!”とデカデカと書かれていて、壇上には何人かの、チューブトップにハーフパンツという出で立ちの、可愛らしい牛の獣人の女の子たち。牛だけあって、まあ〜全員オッパイデッカ!!!!!


 ん?

 というか、──オッパイ当てクイズ大会だとおぉおおおお!!!?

 なんて素晴らしい祭りなんだ!

 参加者らしき牛の獣人の男性たちが、目隠しをされた状態で、壇上の牛の獣人の女の子たちのオッパイを揉んでいる。


 なるほど、牛の獣人娘の乳(モーパイ)を盲牌(モーパイ)ってことですか!

 ……ふっ。なめて貰っちゃ困るぜ。

 俺は保育園時代、お昼寝タイムに寝かしつけてくれた先生たちのオッパイを、目を閉じたまま、すべて当ててきた男。


 朔夜くんはオッパイマイスターだね!

 なんて言われて、割と本気で、将来はオッパイマイスターの仕事に就こうとすら思っていた。まさかの存在しない職業だとは、夢にも思っていなかった幼少期の俺。


 つまりここは、俺の独壇場だ!!!!!


 小さい頃は、先生たちも近所のお姉さんも親戚の女の子たちも、やあだぁ、朔夜くんのエッチィ、とか言って笑って許してくれていたのに、ある時から白い目で見られるようになり、引っぱたかれたりして、俺はその実力を発揮できないでいた。


 幸せな楽園にいたのに、なんにも悪いことをしていないのに、知恵の実を食べたイブたちに、楽園を追い出されてしまったのだ。

 だが!今!再び!──その実力をいかんなく発揮する時が来たのだ!


 俺が優勝してしまえば、景品もクソもない。

 ──別に、当ててしまっても構わんのだろ?

 俺はゆっくりとした足取りで壇上に上がり、一言、舞台の上の中央で、真正面を向きながら、ブヒィ!!と勇ましく鳴いた。


「おーっと、これは?

 景品の豚が自ら参加するというのか?

 確かに豚が優勝すれば、食べられることを防ぐことが出来るが!?」

 司会者らしき牛の獣人の男性が声を張り上げる。


「おもしれえ!飛び入り大歓迎だ!

 そいつにもやらせてみようぜ!」

 観客たちは予想外の参加者に大盛りあがりだ。

「観客の承認も得られましたので、急遽景品の豚が参加します!」


 わああああ!!

 と歓声が広がる。

「まずはこの娘たちの中から、真ん中のオッパイをあてて下さい!」

 左から、茶色、茶色、白地に黒の、可愛らしい牛の獣人の女の子たちが並んでいる。


 俺はそのままじゃ背が届かないから、女の子たちがしゃがんで俺を抱き上げてくれる。その上オッパイを触らせてくれるだなんて、なんて女神たちや……。

 俺は仔猫がオッパイを吸うときみたいに、牛の獣人の女の子たちのオッパイをフミフミ、モミモミ、コネコネする。


「やあん、くすぐったあい。」

 牛の獣人の女の子たちが笑ってくれる。

 ああ、これ、これだよ……。俺は今、保育園児の頃に戻っている……。

 感動しながらオッパイを堪能したあと、スタッフの牛の獣人に目隠しをされた。


 目隠し状態で再びオッパイを、フミフミ、モミモミ、コネコネする。──これだ!

「プギイィイイイ!」

 俺は確信を持って、そのオッパイに触れた時に鳴いた。

「正解!なんと正解だあぁ!!」


 目隠しを外された俺を、観客が大歓声で迎えてくれる。俺は右の前足を高々と掲げて歓声にこたえたのだった。

 ふっ。この程度、ぞうさもないわ。

「それでは最後の挑戦です!ここをクリアした挑戦者はまだいません!」


 ん?

「ロベルスタ5姉妹の登場だああぁ!!」

 ひときわ大きな歓声の中、なんと5つ子の牛の獣人姉妹が現れた。

「顔も体型も殆ど同じ!果たして挑戦者はこれを当てることは出来るのか!?」


 デッカ!!全員今まで以上にデッカ!!

 俺を谷間に挟んでも、鼻の先っぽすら出なそうな巨大なオッパイ。大抵の日本人が無理なやつだコレ。オマケに今までの女の子たちよりも更に可愛い!!


 ……ふっ。だが甘いな。

 俺は双子姉妹をオッパイと恥骨の違いで見抜いた男。同じようでいて、実は全然違う。教えてやろう。オッパイというのは、1つとして同じものがないということを!


 俺はロベルスタ5姉妹に順番に抱き上げられながら、オッパイをこねくりまわした。

 更には服の中にも前足を入れた。

「あ、あん、やあっ……。

 く、くすぐったい……!んっ……!」

 そう言いながらも、牛の獣人の女の子たちは、俺がオッパイの違いを確かめるのを我慢してくれていた。


 ごめんね!さすがにじっくり触らないと分からないから!他意はあるけど、ないよ!

 ここで当てなくては、他に優勝者が現れたら、俺は景品として食されてしまうかも知れないのだ。

 負けられない戦いがここにあるッ!!


 ──そして俺は再び目隠しをされた。

「さあ、果たして5人目のジザ嬢を当てることは出来るのか!?」

 俺は揉み倒したオッパイの感触を、1人1人噛みしめるようにじっくりと思い出していた。


 1人目。すべすべの軟乳で乳輪小さめ。

 2人目。乳輪一番でかくて陥没気味乳首。

 3人目。張りがあって押し戻す力が強い。

 4人目。ちょっと外開きで乳首小さめ。

 5人目。乳首一番大きくてコリコリ。


 実際にはほんの少し、比べ物にならないくらいの、ほんの少しの違いだった。

 たがじっくり触り比べたからこそ分かる。パッと見ではそこまでの違いがあるなんて分からない程度の差異。

 ──だが俺には分かる。

 5番目は──。


「ブヒィィイイイィィ(この子だ)!!」

 俺はジザ嬢のオッパイをフミフミしながら大きな声で鳴いた。

「──正解!!せーいかいです!

 なんと優勝者は景品の豚だあぁ!!」


 ブモオオオオォ!!という叫び声。牛の獣人たちがもっとも興奮して叫ぶと、そんな声を出すらしい。

「凄いわ!!そのうち恥骨の違いも当てられちゃうかしら。」

 ジザ嬢が抱きしめてくれる。


 デヘヘへへ。

「あっずるいわ、ジザ!私にも抱かせて!」

「かーわいい!」

「私も私も!」

 ロベルスタ5姉妹が、次から次に、俺をオッパイに埋めてくれる。


 く、くるしい……。けど、最高や……。

 右を見ても左を見てもプルンプルン。苦しゅうない、苦しゅうないぞ!

「──おい、豚気絶してないか?」

 俺は5方向からのオッパイ波状攻撃に、酸欠になって気絶したのだった。

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