第5話 感情謎展開・意味不明な謎展開ばかりで、オラ、ワクワクしてきたぞ!! 次回、宇宙からすげぇ強敵襲来!! 来週も見てくれよなっ!!

 ~冬の十二月三日、金曜日~

 とにかく寒くて、学校に登校するのが、面倒臭い日。

 冬の寒い風を全身で浴びる。

 俺は家まで近いから、歩いて行けるが、離れてる人は、きついだろう。

 昨日は友美のことで、途中から頭一杯になってしまったが、俺は『花形三姉妹』のことも気になっていた。

 春子、夏子、秋子の中でも、俺に対する、秋子のあの下駄箱のメモの意味、そして、感情がまだわからない。

 メモには『私があなたのこと好きなんて、そんな妄想しないで』みたいなことが書いてあったから、好きではないと思うが、もしかしたら・・・・・・ないか。

 秋子は、俺のことが好きではないと思うが、春子や夏子みたいに、嫌いではないのでは?

 そう考えたのは、落とした財布を届けに、家まで来たからだ。

 嫌いな奴であれば、そんなことするだろうか?

 財布を落とし物に届けて終わりだろう。

 やはり、モヤモヤは嫌だから、はっきりさせたい。



 教室に入ると、誰かの視線を五つ感じた。


 俺は辺りを見回す。


 一つ目は、夏子に告白して保留になった、イケメンの小田敦。


 二つ目は、『花形三姉妹』の次女、夏子。

 相変わらず、黒髪のショートで、活発で、美人アスリートの雰囲気だ。


 三つ目は、『花形三姉妹』の三女、秋子。

 こちらも相変わらず、茶髪のロングパーマで、好奇心旺盛で、美人女優のような雰囲気だ。


 四つ目は、隣の席にいる、噂好きの片瀬美香。

『花形三姉妹』の誰かが、俺に対して好意を持っていると教えた女子。

 茶髪のお団子頭で、お天気お姉さんみたいな雰囲気だ。


 五つ目は、山口加奈。

 黒髪で髪を結んでいる。

 ラブコメでよくいるメガネ女子。

 でも、性格は体育会系で、外見とは正反対のオラオラ系。

 体育祭では、『花形三姉妹』と共に活躍して、『花形三姉妹』を抑えて『MVP』に選出された。

 女子はよく誰かとつるんでいるが、加奈は同じ女子とつるまない。

 一匹狼のようで、俺とはどこか似ている。

 ニュースキャスターのような雰囲気だ。


 しかし、いきなり五つの視線。


 これはどういうことだ?

 こっちから話に行くべきか?

 待つべきか?

 よくあるゲームならば、話し掛ければ、イベントが発生する。

 待っても、向こうから話し掛けてきて、イベント発生?

 どっちにしても、イベント発生?

 さて、どちらにしようか?

 そんなことを考えていたら、小田と夏子がやって来た。

「月村、日曜いけるか? フットサル?」

 小田が聞いてきた。

「頼むね。行けるでしょ?」

 夏子も聞いてきた。

 そうだった。

 フットサルに欠員が出て、俺は誘われていたんだ。

「変わりのメンバーは、いなかったのか?」

 俺は逆に聞いた。

「ああ、聞いたが無理だってよ」

 小田は答えた。

「うん」

 夏子は頷いた。

 こんな偶然あるか?

 小田も夏子も、美男美女の人気者で、友達も多い。

 その二人の友達が、みんな無理?

 感情を読み取ろうとするが、二人の感情が混ざって、しっかりとはわからない。

 が、俺に対して、嫌悪感、嫌いな感情、好奇心、不安感などが、主な感情であることが、ぼんやりとわかった。

 相手の感情を読み取れるって、傷付くけど、便利だ。

「俺以外、本当にいないって嘘だろ? 何か企んでるな」

 俺は疑うように言った。

「企んでないよ。マジでいなかったんだって」

「そうよ、嘘じゃない」

 小田と夏子は、口裏を合わせているかのように言った。

 やれやれ、ここはガツンと言ってやるか。

「二人とも俺のことを良く思ってないだろ? わかるんだよ。本音で喋れよ。俺を誘う本当の理由は何だ?」

 俺は強い口調で言った。

「それは、私の頼みだからよ」

 いつの間にか、メガネ女子の加奈がいた。



「私には借りがあるのよ、ねぇ、夏子」

 加奈は言った。

 夏子はうつむいた。

「どんな? その借りが俺を誘うのと、どんな関係がある?」

 俺は言った。

「その借りは話せないわ。秘密にする約束だから。月村君を誘う理由も話せない。ここでは」

 加奈は言った。

「はぁ!? どこならいいんだよ?」

 俺は少しイラついてきた。

「当日話すわ。日曜日の朝六時に、渋谷駅のハチ公前に来て」

 加奈は言った。

「そうだ、来いよ」

 小田は言った。

「お願い、来てね」

 夏子は言った。

 つまり、整理するとー。

 ①加奈は、俺を誘いたい。理由はわからない。

 ②夏子は、加奈に謎の借りがあって、仕方なく俺を誘う。

 ③小田は、夏子と付き合いたいから、夏子に同調して、俺を誘う。

 謎ばかりで、面倒臭いなぁ、もう!!



 昼食で売店へと向かうと、そこに『花形三姉妹』の長女の春子の姿が。

 相変わらず、黒髪のロングレートで、品があって、美人お嬢様みたいな雰囲気だ。

 春子は俺の方に視線を向けるが、俺の方にやって来る様子はない。

 そりゃそうだ。

 俺は春子にも嫌われてる。

 嫌いな奴に、自分から話し掛けないだろう。

 俺は売店で、コロッケパンと水を買う。

 春子からの視線は感じない。

 ゲームなら、ここでイベントが発生するんだけどな。

 俺は売店から出て、屋上へと向かった。



 屋上には誰もいなく、一人で座って、コロッケパンを食べ始める。

 ここが俺の居場所だ。

 俺にとっては絶好の場所だ。

 感情が読み取れるせいで、人と関わると疲れる。

 ここは、誰もいなくて、居心地がいい。

「あっ、月村じゃん」

 隣の席の噂好き女子、片瀬美香とその女友達二人がやって来た。

「えっ」

 ここは、滅多に人が来ないのに。

「何? 美香さんもここで食うの?」

 俺は面倒臭そうに言った。

「うん」

 美香は女友達と座って、メロンパンを食べ始める。

「ねぇ、月村。どうして、春子さんに、メロンパンおごってあげなかったの?」

 美香は聞いてきた。

「えっ?」

 俺は驚く。

 二人きりの時に、開き直りで、春子にメロンパンをおごる話はしたが、その話を知っているとは。

「どこで知ったんだ?」

 俺は聞いた。

「さっき、売店で。春子から」

 美香は答えた。

「何て言ってた?」

 俺は再び聞いた。

「メロンパンおごってくれなかった。おごってくれるって言ってたのに~って」

 美香は思い出し笑いをした。

「どうでもいい」

 俺は水を飲んだ。

 そうは言っても、何か気になってしまう。

「まだ、売店にいるみたいだから、行って来たら?」

 美香はニヤニヤしている。

「面倒臭いなぁ」

 俺は立ち上がって、屋上を出て、売店に戻る。



 売店に戻ると、まだ春子はいた。

「メロンパン、おごるよ」

 俺は春子に話し掛けた。

「えっ」

 春子は驚いている。

 前ほどではないけど、嫌悪感、嫌いの感情が読み取れる。

 もしかしたらと思っていたけど、そう簡単に、嫌いという感情は変わらない。

 俺はメロンパンを買った。

「ほら、どうぞ」

 俺は春子にメロンパンを強引に渡した。

 春子は戸惑っている。

「俺、前、おごるって言ってたから」

 俺は不愛想な感じで言った。

 不愛想なのは、照れ隠しでもある。

 女子に何かをおごるとか、慣れてなくて、恥ずかしかった。

「あ、ありがとう」

 春子は照れ笑いを浮かべる。

 昼休憩終了のチャイムが鳴る。

「それじゃ」

 俺は去ろうとする。

「あ、待って」

 春子は俺を呼び止める。

 俺は振り返る。

「もう一つおごって欲しいんだけど」

 春子は言った。

「何を?」

 俺は聞いた。

「農業用長靴」

 春子は答えた。
















日曜日になった。

今週は夏子に誘われたフットサルの為、朝六時に渋谷駅に。


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