第16話 嘘つき




 他の索敵班サーチャーも同じ様で、幸太のことを胡乱うろんげな目で見ていた。それは他の皆も一緒でさっきまであんなに優しそうな表情をしていたのに「スキル無しウァースリィス」と聞いた時と同じ様な強張った表情をして幸太を見ていた。

 だが、とうの本人はそんな事どこ吹く風か言い訳など一切せずに違う事を考えていた。


(──ということは、だ。今近づいている奴は索敵に引っかからない程の上位の魔物か、それかここにいる索敵班サーチャーのレベルが弱いから見つけられなかったかの2択だナァ──まぁ、前者だと思うがナァ……どっちにしろ心底どうでも良いが)


 幸太が自分だけで完結させていると佐々木が憤怒の顔で怒鳴ってきた。


「テメェ!「スキル無しウァースリィス」!俺達に嘘をつくつもりだったのか!!──チッ、これだから「スキル無しウァースリィス」は信用ならねぇんだよ!」


 そんな事を吐き捨てる様に佐々木は言ってきた。

 ただ、その事に幸太が何かを答えるよりも先に安藤が幸太を庇う様に佐々木と向き直った。


「佐々木君!そんな言い方は良くないよ!誰だって間違える事はあるじゃない!それを、その──「スキル無しウァースリィス」だからと言って決め付けるのは良くないよ!!」


 幸太の事を「スキル無しウァースリィス」と言いたくなかったのか少し、言葉に躊躇ためらいながらもそう、幸太を擁護する様に伝えた。だが、それでも佐々木は幸太の悪口を辞めないどころか、ある事を口にした。


「俺だってただの「スキル無しウァースリィス」だけだったらこんな事を言わねぇよ!助けてもらった恩もあるから俺もあまり余計な事は言わない様にしていたが嘘をつく俺達を騙すならなら違う!そいつは──を殺害しているだから信じられねぇんだよ!!」

『『『──!?』』』


 佐々木の言葉に先程の魔物がこちらに近付いてくるという時と同じぐらいの驚きをここにいる人達は安藤も含めて驚いていた。その佐々木の言葉に何人かの人は思い当たる節があるのか、小声だが話していた。


『──お、俺、聞いた事があるぞ。「スキル」が発現しなかった男が当り散らして自分の父親を殺したと……』

『俺もだ、それが「スキル無しウァースリィス」のアイツだとは知らなかったけど……』

『えっ……じゃあ、私達の近くにいるあの男って……殺人鬼親殺し?』


 そんな事を小声だが、明らかに側にいる幸太に聞こえるほどの声量で話していた。

 その事に何も言わず幸太は目をただ閉じているだけだった。そんな中、リーダーの須田と安藤が止めに入る。


「皆!今はそんな話をしている場合じゃない!ここは安全地帯セーフエリアじゃないんだ!それに彼が嘘をついて騙しているいると決まったわけじゃ無いだろ!憶測おくそくで決めるのはよせ!大人として恥ずかしく無いのか!」

「そうですよ!!きっと殺人っていうのも何かの勘違……!!!?」


 安藤がだと皆に伝えようとした時、それは起こった。

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