第12話 助太刀と殲滅





 その頃の幸太。幸太は魔物を見つける為「ダンジョン」内を高速で徘徊探索していた。


 幸太は普段通り走っているだけだが、高速で景色が置き去りにされていく様は常人普通の人では無い事を思わせる。


「──チッ、こういう時に限って何も現れねぇんだよなぁ。魔物が現れたら油断はしないで本気で行くつもりだが、こうも何も出ないとナァ」


 いくら探しても魔物は一体も見つからない状況が続いてイラついていたその時、漸く10メートル程先で何か戦っている様な物音が聞こえた為全速力でその先に向かった。その先には多くの魔物に囲まれた「冒険者」と思われる人達がいた。


「チッ、冒険者?に先に越されたかァ。……あぁ?なんかあの冒険者達魔物に押されてねぇか?俺にはそんなに強そうに見えねぇ魔物なんだがそんなに強いのか?」


 「冒険者」達が魔物と戦っている状況を見て幸太は違和感を感じていた。今の自分には目の前の魔物が強そうに思えないのだ。特に慢心しているつもりは無いがなのに弱い様に感じてしまうのだ。幸太がそんな事を考えていた時「冒険者」達の陣形が崩れる。陣形が崩れた隙を狙う様に魔物達は後衛にいた人々を襲う。


「チッ!!前衛にいる奴らは魔物に阻まれていて助けに行けねぇじゃねぇか!弱いなら雑魚なら「ダンジョン」なんて来んじゃねぇよ!──しゃあねぇなァ!腕試しと共に助けにでも行くか」


 愚痴を言う幸太だが、根が優しい為か目の前の魔物に襲われそうになっている人々を助けに向かう事に決めた。


 そんな幸太はたった一歩。たった一歩を幸太が踏み込んだだけで3メートル先にいた黒い体のゴブリン小鬼の様な魔物達に近づいた。だが、自分が目の前に来たというのに魔物達は気付いていない様子だ。その事に「何かがおかしい?」と幸太は感じたが先手必勝サーチ&デストロイと思い直ぐ近くにいたゴブリンの様な魔物に肉薄し、顔面にただの攻撃を入れた。


 ドカッ!


 そう、ただ軽く先制の為「パンチ」を入れただけなのにただの殴りでは到底出ないであろう音が鳴ると殴られたゴブリンの様な魔物は物凄い勢いで「ダンジョン」の壁にぶつかり体が物理的に破裂した。


『『──は?』』


 幸太自身も驚いたがそこにいる全員が今起こった事が何が起こったか理解出来無かった為一旦全員の動きが止まってフリーズしまった。だが、止まっている時間が惜しいと思い一早く動いたのが幸太だった。

 今起こった事を考えるのは後にして目の前の魔物達を殲滅さんめつする事にした。


 勿論、笑いながら。


「おいおいオイィ!!これが本当に魔物かぁ〜?弱ぇんだよー!」


 幸太が他の魔物に近づき蹴りでゴブリン小鬼の様な魔物を蹴るとその蹴った範囲にいた魔物諸共纏めて蹴った事により起こった風圧だけで薙ぎ払ってしまった。

 その光景を見ていた「冒険者」達も驚いている場合じゃなく「自分達も倒すぞ!彼に続け!!」と黒い身体のゴブリン小鬼の様な魔物と戦い出した。それから数分でゴブリン小鬼の様な魔物達は殲滅された。

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