第11話 バトルジャンキー




「──んなの決まってるだろ?魔物と戦う事が出来るんだろ?やるに決まってラァ!!」


 雄叫びを上げると自分の武器でもある右手を目前に出すと握り拳を作りやる気を出していた。最初はオオカミ如きに死にかけてた幸太だったが今なら余裕イージーに感じられた。


 これは別に慢心からの余裕では決してない。120年間という年月を修行をした事により今の幸太は別人となっているのだ。そこに立っているだけで強者と思えるほどだ。


「でも本当に強くなったよね。「努力」するだけでこんなにも強くなるもんだなぁと実感させられたよ。まだには勝てないとは思うけど良い線は行けると思うよ?それにここの「ダンジョン」にいる魔物だったら幸太君の相手に丁度良いかもね?」


 ネロはそんな事を幸太に伝えたが、内心では冷や冷やしていた。


(ふふっ、幸太君はまだ強くなれる。その意思があるし、強さに渇望している。だけど怖い気もする。今は僕に勝てないけどこれからどうなるのやら……)


 先程自分と良い線にいけると言ったが自分は「妖精王強者」なのだ。その自分と比較していい線と言ったのだ。人間がここまでの高みに来るなど聞いた事が無かった…でも、だからこそあの時目を付けて良かったと思った。そんな事を思っていると幸太は口を開いた。


「──いや、そんな事はわからないナァ。俺は強くはなったと思うが今まではただ己を鍛える事だけを考えてやって来たが、何かと戦うという事をやっていなかったからナァ。まぁ、良い経験になると思うがな。それに負けるつもりは毛頭無いし油断をせずにやるわ!慢心して足元をすくわれたら元も子もないからナァ」



 そんな事を2人で話していたら休憩していた幸太が勢いよく立ち上がった。


「休憩するほど疲れてないし早速魔物狩りと行きますかァ!あぁ、楽しみだなぁ〜あの時は魔物は強かったが今の自分はどのぐらい通用するのかナァ!!」


 幸太は早く魔物と戦いたいと思っているのか少し高揚した顔をすると興奮した様に少し口調を荒くして交戦的になっていた。120年前は運良く倒せたが修行した今の自分の実力で魔物にどれだけ対応が出来るのか試したくてウズウズしていた。


「……幸太君、君そんなに好戦的だったっけ?なんかバトルジャンキー戦闘狂みたいになってるよ?」

「だってよぉ〜ネロは楽しみにならないか?120年も待ったんだぜ?あの屈辱を晴らしたい思いで一杯だぜ!」


 そう言った幸太はもう「待てない!」といった感じに物凄いスピードで安全エリアから出ていってしまった。

 そんな幸太のもう見えない後ろ姿を見ながらため息を吐いていた。


「……だからそれがバトルジャンキー戦闘狂って言うんだよ。それに熟練の「冒険者」でもそんなに早く動けないよ?──ハァ、僕も見に行くとするか」


 呆れながらもネロは幸太が向かった方向に進み出した。

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