第171話

頭の中で思考し魔法陣を構築していく。

時に魔法陣同士を繋げて重ねて比喩をつけるなら歯車同士がうまく噛み合うように上手く作り出す。

上手く作れなかったら発動した瞬間に魔力が霧散するか最悪爆破私の場合一度頭で構築してから手で脳内でコピーした魔法陣をペーストする形をとっている為下手すると頭がパーンになってしまう。


この発動の仕方は一見魔力の無駄のように思えるが手で魔法陣を描くとどうしても時間がかかりすぎる為こういう外法ともいえるやり方の方が効率がいい。

それに全てを頭の中で構築しているわけでは無い…核となる魔術は頭の中で構築するが外付けハードディスクとも言える追尾やら威力増大する補助魔術の魔法陣は自分の手で展開している。


更に目で周囲の空間を把握し敵との感覚をもう一つの思考でその視覚データを元に魔法陣を展開し着弾予測を計算していく。

本来なら風向きだとか色々計算しなきゃ行けないが…まぁそこら辺を考えてると頭が軽くあぼーんするから考えない…敵と状況によっては考えるがあんなんどこに当ててもダメージ入るだろうし誤差だよ誤差。

味方に当てなければいい…ただそれだけだ。


「さーて…推定クラーケンは確か雷によって過去に討たれたという記録があったっけか」


クラーケンのいる上空に魔素を通じて自身の持つ魔力を流し魔法陣を展開していく核として存在するシンボルは純粋な雷の魔術を意味するモノ。

それを補助するのは親和性の高い風のシンボル…そしてその周りを覆う無駄に豪華に彩られる威力増加と使用する魔力を少なくする魔力削減の補助魔術などなど。


前までならコレだけで結構な量の魔力が削り取られて必殺級の技だったんだが今の私は昔と違って一味も二味も違う何ならレモネードとレモンの味の違いぐらい違う。

何せどういうわけか魔力がステータス上伸びないところまで上がったからな…毎日やってた魔力ブーストな転生者特有の特訓も意味がなくなってしまったわけだ。

因みに今のステータスはこんな感じだ。


名前:レナ

性別:女

種族:半神族

年齢:10

職業:代行者LvMax

状態:なし

レベル:1

割り振りポイント:0

HP:152 MP:500

腕力:95 体力:118 俊敏:172

知力:553 魔力:431 器用:272

精神:80

職業スキル

神罰執行:Lv10

スキル

気配操作:Lv Max 怨念:Lv Max 採集:LvMax

身体操作:Lv Max 反射:Lv1 魔の理解:Lvー

武の理解:Lvー 並列思考:Lv4

ユニークスキル

我流戦闘術:Lvー 暴食:Lvー 神ノ因子:Lv3

回生:Lvー 無情:Lvー

称号

孤児 死と生の狭間を体験せし者 癒す者 

克服者 我流戦闘術開祖 『暴食』所持者

倒錯神の加護 闇の星神獣の加護 超越者

神の血筋 絶滅種


相変わらず馬鹿みたいなステータスだが特筆すべきはやはり代行者がLvが最大のMaxになっていることだろう。

あれから人しか倒してない筈だからLvは上がらないかと…いや人を倒したから上がったのだろうか?

何せ復讐者という人間特化の職業の最上位に位置する奴だしなぁ…それに見方を変えれば結構な殺人犯を倒した実績もあるわけだし。

結局職業スキル使って無いなぁ…まぁ使う場面がないことはいいことだと思うが。


そういや何でディーセにはこのスキルが反応しなかったんだろうか?

このスキル持ってから犯罪を犯してる奴には必ずと言って良いほどスキル自体が使え使えという衝動がきていた筈なんだが何故かあの信徒達にはそういう衝動はこなかった。

だけどこうして代行者としての職業のLvは上がった…職業についてはまだまだわからないことばかりだな。


「にしても私自身のLv上がらないのは何かなぁ…っとそろそろ真面目にやりますか」


魔力を繋ぎ手を指揮棒のように動かし天に魔法陣を描く。

魔法陣は完成に近づく程その魔術の意図を汲み取るように自ら輝き魔法陣からバチバチと青白い電流を見せる。

…本当に何でか分からないがアルキアンと共闘した後ぐらいから私の魔法陣が完成間近になるとその余波が出るようになった。

カッコいいと一言でいえばそうなのだが実際のところ相手に何の属性を放つのか丸わかりのため弱体化である。


火の魔法陣は火の粉を撒き散らし水は飛沫を上げるし風は突如として風が強くなり土の場合は何故か土が魔法陣周辺を舞う。

風に至ってはせっかく風向きとか風量を計算していたのが直前になって変わるのだからマジでこのエフェクト消したいと心から願うようになってしまった。

いやかっこいいんだけどさ…そういうのは見た目だけにしてくれよ。


「さて…魔法陣展開ッ!落ちろ『天雷砲』!」


魔法陣は瞬く間に輝きを増し…巨体を持つクラーケン目掛け一筋の光のなって天から落ちていく。

側から見れば天から降り注ぐ極太のレーザー…まぁ元ネタとはかけ離れているが見たまんまサテライト・キャノンって奴だなコレが。

月が出ている時しか使えないという条件さえないから名前だけのモノになってしまったがそれでもやはり極太レーザーは浪漫があってイイと思うわけだよ私は。


そして着弾し轟音を辺りに響かせる。

雷が間近で落ちた錯覚を見せるその音は鳴り止まずそれを一身に受けるクラーケンは「ピグュュュュッ!」という叫び声のようなイカを焼いたような音を鳴らしながら暴れ…そうして巨体を動かし逃れ攻撃をしてきたその天雷砲の元となる魔法陣を破壊しようと触手を伸ばす。


「馬鹿めだがそれを利用させて貰う…魔法陣よ爆破しろッ!魔法陣介入破棄ッ!」


魔法陣は完璧であるからこそ確実に効果が発動するモノ。

そこに不完全で魔力を多く持つ不安定な魔法陣が入るとどうなるか…それは火を見るより明らか答えは貯蔵できる魔力の過多により盛大に爆破する。


またもや轟音を鳴らし今度はクラーケンの触手が爆破の衝撃で吹き飛び船の近くに落ちる。

攻撃が止んだことで船にいた悪魔は好機と垂れ下がった触手へ飛びかかり黒い炎を纏い巨体へと近づいていく。

黒い悪魔を見た船に乗る優秀な者は次の矢を装填し放つ。


周りは大きな雷によって荒れているがその表面には焼け黒く変色し丸まった残骸が海に溶けながらブクブクと海を蒸発させ煙を上げていた。

それは船に乗る者から見れば反撃の狼煙が上がったようだった。


*今回使ったした魔術一覧*


天雷砲:魔法陣を起点に雷を放つ単純な魔術。雷の魔法陣のみだと極細レーザーだが風の魔法陣と合わせることで範囲が大幅に変わる。その代わり威力は大幅に削減される。なお主に天から放つから『天』の文字が入っているが地から横に放っても『天雷砲』である。その有無はカッコいいからの一言に尽きる。

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