第163話
あれからというもの実に何もない日々が続いた。
変わったことといえばやけに私やアルキアンを見る目が増えたってことと偶に殿下がアルキアンに突っかかってくることぐらいだろうか。
ちなみにだがコウキ君とかの何人かは何故か自宅謹慎を学園から指示されていた為来ていない。
やはりあの戦闘の時に見たあの姿はコウキ君だったというわけか…となると殿下の兄を止める為にコウキ君達は色々と動いていたってことだろうか?
と言っても私が何もしていないわけではない。
魔法陣の改良は今でも行っているし新たに手に入れた衰弱の力で弱まった痛覚を駆使して新たな武器を気軽に使えるようになった。
今の私はスキル『回生』により気軽に傷の再生が可能でメタモルフォーゼによる身体の作り替えも出来る。
まぁその為に竜の鱗とか何らかの魔獣の毛皮とか食べるハメになったが…おかげで本気を出せば全身を作り替えて魔獣の姿になることもできるようになった。
味は最悪だったが致し方のないことだったと思うしかない…。
そうして時は過ぎ私達は今日をもってこの学園の二年生へと上がることとなった。
二年になると覚えることもいっぱい…とか思っていたが私達Sクラスは一年を通して学園で習うことを勉強してしまうとのことで残りの二年はほぼ来なくてもいいこととなっている。
つまり実質卒業と変わらないというわけだ。
ま、所属している人が有力権力を持つ貴族とか王族だし一年で終わってしまうのはしょうがないことだろう。
コウキ君とかはまだ学園に残り自分の作った部活を動かしていくと公言しているがそれに賛同してついていく者が多いこと多いこと…王城でクラスのみんなを動かして導いたのは高い権力を持つ殿下ではなくコウキ君だった。
だからこそこのようなことになっているのだろう彼は立派な扇動者へと成長した。
彼が革命家になる未来がないことを願うしかない。
そんなことを考えながら学園の長である学園長の話を右から左へ聞き流す。
やはりどの世界に行っても偉い人の話は長すぎる。
聞いてるこっちは早く終わってくれないかなの一言がでかけるが空気を読んで口にする事はできない。
そうして長い話が終わり解散という流れへとなった…この後の予定はアルキアンと共にレインバード領へと帰る予定だ。
帰ったところで何をするかと言われたらまぁ普通に魔術の研究とかしてそうだが…いやいっそのこと旅をすることも視野に入れてこの世界を冒険してみるのもいいかもしれない。
まだ見ぬ世界にファンタジーでよくあるエルフやドワーフの里巡り伝説を見つけたりしてみるのだっていいかもしれない。
「レナ~そろそろ行くよ~」
そんな声が聞こえ私は馬車へと乗り込む。
行き先は聞いていないがおそらくレインバード領に帰る予定なのだろう。
結局ここの街で買った家は弁償してもらったものの使うことがなかった…ずっとアルキアンの家で過ごしていたせいで一人で過ごすのが何となく嫌になったってのもあるが。
「それじゃあ行こうか…海上国家シーヒルズへ!」
そう言われ馬車は動き出す。
私はというとてっきりレインバード領のアルキアンの屋敷に戻るとばかり思っていた為びっくりして固まっているとアルキアンは少し笑いながら言葉を発する。
「びっくりした顔だね…サプライズとでもいえばいいのかな?昨日手紙でお父さんがね世界を回って来いってお達しを受けてねこのまま君に告げずに一緒に行こうと思ってさ!」
そう言われ私はため息を吐くとそのまま早速だがふて寝することとした。
アルキアンは私の行動に笑っているがこっちはてっきり戻るのかと思って碌に遠出の準備とかしてなかったのだ勿論不貞腐れますとも。
そうして馬車は動き出す…確か海上国家シーヒルズは港町に寄ってから船で移動しなくちゃいけない場所だったはずだ。
となると港町で一休みしてから船でシーヒルズに行く予定となるのかな?
海上国家シーヒルズはその名の通り海上に国が作られているがその実その国家の下にはシーヒルズが信仰する神が今も封じられていると噂の謎多き国となっている。
主に海賊による傭兵産業や海産物の貿易が盛んであり港町があるところにシーヒルズの傭兵ありとまで言われている。
シーヒルズの傭兵さえいれば海賊には襲われなくなり海の魚は自ら船に飛び込みその身を分け与えてくれるという噂まである。
そんなシーヒルズは人間が支配する国ではなく魚人族が支配する国だ。
魚人族には幾つもの種類が存在し顔面がそのまんま魚の奴や顔は人だがエラがあり顔以外に鱗がある奴、水の中でしか生きることが出来ない上半身が人間で下半身が魚の前世で伝説と言われていた所謂人魚と言われる存在と色々な種族…それがまとめて魚人族と言われている。
シーヒルズには多くの人が集まる…それはやはりどこの国とも協定を持たずこの世界で有数の教会を持たず無料で治療が行われるからだろう。
癒しの国と有名でその国家の下には神を封じており海を支配していると言われる国家それが海上国家シーヒルズ…何というか冒険者として期待が高まるばかりである。
そう思いながら眠ることとした。
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