第123話

そのまま魔法を撃ったりすること数十分が経過し魔法実験の授業が終了した。

周りを見るとクラスの面々は地べたに寝っ転がるような体勢をとっており明らかに疲れて動けないという雰囲気を醸し出している感じだ。

まぁあれだけ魔法を撃ちまくったんだ肉体的には疲れていないだろうが精神的には疲れているのだろう。


「あ、そうだ…殿下の所行かなきゃな…」


魔法を撃っていたから忘れていたが一応側付きだから殿下の側に付いてなきゃいけないからな。

ここは側付きらしくタオルと水でも持っていきますかね。


そう思い私は虚空庫から適当に麻布と水を手に持ち殿下の下へ移動し手に持っていた物を渡した。

にしてもだ…なんでそんなに魔法を皆は撃ちまくっているんだろうか?

まぁ向上心があるのはいいことだ。


「さて…そろそろ次の授業にさ…行くよ?」


そう未だ地に倒れ込んでいる殿下に言い伝えると殿下は疲労しているのか首を振るだけで言葉は発さない。

…仕方がない背負うか。

思い立ったが吉日…私は殿下両腕を持ち上げ自分の首にかけるように背負い殿下達がさっきまで使っていた『マナポーション』を殿下の腰についているホルダーに入れ教室まで引きずって行くこととした。

まぁ背が足りないからね引きずってもしょうがないよね。


そうして殿下を教室に降ろし次の授業が始まった。

周りを見ると私以外は机に突っ伏しておりまともに授業を聞いているのはもはや誰もいない。

…もちのろんだが私も授業なんて聞いていない。

授業なんてものは適当に黒板を写し話を右から聞いて左から流していく作業のような苦行だ。

テストはどうするのかだって?…そんなもの前日になってから考えるに決まっているだろいい加減にしろ。


そんなこんなで授業を聞き流し昼休みがやってきて昼食を食べ午後の授業を聞き流し放課後がやってきた。

もうね数学の授業とかやってらんないんだよ…これでも一応は理系の大学を卒業した身だからな。

簡単な数学程度なら解けるからいちいちこういう授業を聞いている意味がないからな…まぁだからノートに落書きとして魔法陣を書き殴っていたわけだが。


今自分的に熱い落書きっていうのがそうッ!

自動起動式爆発魔法陣という記した物を開くとかの動作を与えると自動的に起動して大爆発するっていう代物だ。

これでいつか私が復習しようとした時に開けた時に爆発して見事なアフロになる姿を想像すると笑えてくるなぁ。


…何やってだろ私…今更正気に戻ったわ。

まぁいっかその時の私に任せよう。


そうして私は殿下がこの学園から出るまでが側付きとしての仕事なので殿下が帰るまで残業のように仕事をしなければならないため部活動を行う部屋の扉を開き『叡智探究部』へと入ることとした。

そこでは前来た時とは少々違う雰囲気となっており真剣に活動しているという意気が感じられる空間が広がっていた。

前来た時は皆が皆、自分の好きなことをしていたはずだが今は一致団結をしているような雰囲気を感じられる。

なんというか表現するなら…会社みたいな感じが一番当てはまるだろうか?


「レナ…よく来た…手伝って」


私が部室に入り周りを見て呆然としているといつの間にかネルちゃんが隣まで来ており私の腕を引っ張ると錬金の道具がある場所まで移動させられた。

側では、クラスの数人が錬金術を行なっているようでゴーグルを付けて作業している。


「レナ…これ作るの手伝って」


そう言うとネルちゃんはゴーグルを手渡し錬金術の本を開き指さしてくる。

私はゴーグルを受け取り開かれた錬金術の本を見る。

開かれたページには『蜘蛛の粘玉』という物質の作り方が書かれておりコレが今回作る物だというのが理解することができた。

作り方は粘着性のある蜘蛛系の魔獣の糸と何でもいいから何かの獣の革と魔素水を使用して作成するようだ。


そんな感じに私が錬金術の本を見ているとすぐ後ろの方でボンッという何かが爆発したかのような音がして振り返る。

そこには白いネバネバな物塗れになったクラスの男子がおり錬金術の失敗を物語っていた。

恐らくというか確実にいらんことした末路なのだろう一つ一つ丁寧に作るのが基本なのにも関わらず一気に沢山作ろうとして出来上がった物がその場で発動した感じだろうか?

まぁ馬鹿なことをしていることには違いはないな。


「はぁ…さて、錬金術を開始する」


後ろでこんなことがあった後だ。

一応宣言しといて周りに人が来ないよう声を出してから作業を開始することとした。


今回作る『蜘蛛の粘玉』はまず最初に革を小さく切ることから始まる。

何せここにある革は魔獣丸ごとの革の大きさだからな必要な分だけ切り取っておかなきゃせっかくの資源が無駄になってしまう。

次に粘着性のある蜘蛛の糸を必要な分だけ取り手で丸める。


コレらの素材の属性の数値としては革は土属性が16となっていることからこの革の元々の魔獣はワーム系とかの土の中にいる系の魔獣であったことが分かる。

んでこの感じの革の形は…ダイブワームとかそこら辺の魔獣なのだろう。

そしてこの蜘蛛の糸は風属性が10で闇属性が14となっている…まぁ特に特定はできない。


「えぇっと…これを貴重な魔素水に浸して」


そう呟きながら素材を桶に貼られた魔素水の中に浸し蜘蛛の糸を丸めその外殻に切り取った革をくっ付けるとその物体が淡く輝きだし革の部分が氷が溶けるようになり蜘蛛の糸の玉を包みこんでいく。

そして光が無くなるとそこには薄い茶色のボールが完成していた。


「これで完成…コスパ最悪の『蜘蛛の粘玉』出来上がりッ!」

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