第122話
にしてもだ…この魔法ってのはちょいとばかし威力が低すぎる。
まぁ使ったのが初級も初級の魔法だというのもあるがそれでも的に傷の一つもつけられないというのはどうかと思うわけだよ私は。
他にも使える魔法はあるにはあるが私が教室で習った魔法はどれも初級の魔法使いが撃つ魔法だ…。
私はふと殿下達の方を向く。
そこでは相変わらず魔法を詠唱し魔法を的に撃つ姿が見えた。
殿下達の魔法はそのどれもが的に命中し傷をつけている…彼らは私と一緒に学んでいるのに何故そんなに差のようなものができているのだろうか?
「風の魔法がそもそも弱いからだろうか?」
いや、そんなことはないだろう。
理由としては私と同じ風の魔法を撃ち続ける奴があの中にいるからだ。
彼らの風の魔法は固定されている的を凹ませる程の風を放っている。
ということは…熟練度が足りないってことしか思いつかないよなぁ?
やはり経験が大事なのだろう。
あれほど殿下達は必死になって魔法を撃ち続けている。
その理由はそれほど考えていなかったが魔法ごとに熟練度というものが存在するんだったら話は別だ。
強くなるために魔法を撃ち続け威力を上げるためあんなに必死になっているんだったら納得がいく。
「そうと決まれば私も魔法を撃つとしよう」
私が出来る魔法は今は3つしかない。
一つ目は先程撃った風の魔法で強風を一直線上に放つ『ウィンド』。
二つ目は雷の魔法で威力は低めだが対象に向かって追尾していくという特性を持つ雷を放つ『エレキ』。
三つ目は闇の魔法で黒い光を通さないモヤのような霧を出すことができる『ダーク』。
まぁ風と雷はかなり使えるとは思っているんだが…闇の魔法だけなんでこんな効果なのだろうか?
もっとさ…こう…なんというか使える魔法でもいいんじゃないかと思う訳なんだが。
それに魔法を授業で教えってもらった時に知ったんだが闇の魔法だけなんか不遇らしいし…。
だけどそれでも私はこの闇の魔法を使い続けるよ何せコレでも闇の星神獣の加護を持っているからね。
「さてッ!そうと決まれば早速闇の魔法から使ってみようかな」
え?
順番的に雷魔法が先じゃないかって?
そんなんいちいち気にしてたら禿げるよ?
「静寂たる闇よ…我の敵を妨げろ!『ダーク』!」
そう私が詠唱し終わると共に私がココに出したいと思っていた所を中心に黒色の霧が広がり的を覆い尽くす。
そうして私の目の前には光すら反射しない漆黒とも言える黒色をした空間が出来上がり…そして突如としてその空間が弾け飛んだ。
目の前にある的は…無傷。
やはり熟練度が足りないというわけか。
こんなんじゃ目眩しや隠密にも使えないし使うにしても継続時間が少ない。
これじゃあ使い道も無いし使い物にもならない。
攻撃をする魔法では無いのはわかっていたがここまで使えないとは思わなかったせいで軽くショックを受けた。
「こうさ…もうちょい使えると思っていたんだが…」
まぁそこら辺は後々熟練度が解決してくれることだろう。
次は雷魔法を試してみるか。
「轟々なる雷よッ!我が敵を貫けッ!『エレキ』!」
詠唱が終わると同時にバチッという音共に空気に振動が走り水色のような色をした電流が空気を裂きながら的に向かって飛んでいく。
そうして見事命中した『エレキ』は的に少しの焦げ跡を残して消えていった。
…なんというか正直な感想を言うと詠唱で貫けと言っている割には貫いていないというか…いまいち威力が無いなぁ。
いや的に電流が当たってそれを地面に流しているという点では確かに一応は貫いていると言えるのだろうか?
まぁそんなことはどうでもいいな。
これで私が今できる魔法を全部試したわけなのだがまぁ…魔術の方が強いわな。
やっぱり私は魔術で自分でカスタマイズしたやつを撃ちたいし魔法みたいに制限があるのは性に合わないというかなんというか。
ま、まぁこれでわかったことは風と闇の魔法は妨害するのにピッタリで攻撃をする際には雷の魔法で応戦すればなんとか勝てるといった所だろうか?
あと魔法の種類が少ないのはどうすればいいのだろうか?
こういうのは確か授業で教えられたはず…えぇっと魔導書を使えばいいんだっけ?
魔導書というのは過去の遺産とも言える物質。
それは神から伝授された魔法を後世に伝えるために物質に魔法と共に封じた物とされ世界中で最も価値が高い物とされている。
その大体が紙を媒体として作られているから書という名前だが一部の物は魔石に封じたり石碑に刻まれていたりする。
まぁ魔導書は貴族の象徴のような物とされており家宝にされているからか一般的に公開されているのが少ないんだよなぁ。
それのせいで貴族に代々伝わるオリジナルの魔法…固有魔法なんてものがこの世で一番高貴であるとされているんだがあれって普通に考えればわかることなんだが独り占めしている魔法なんだよなぁ。
普通に私もそういう自分しかできない魔法というのは興味があるんだが魔術があるから見たらそれに似せた魔術ができるわけで欲しいけどいらない魔法だ。
おっと話というか想像が脱線した。
まぁ…こういうのをこの世界では自習と言うんだろうけど魔法の種類は多い方がきっと役に立つかもしれないしな。
「図書室に行って魔導書でも暇な時読みますか…まぁ暇だったらだけど」
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