第121話
そんなこんなで始まった魔法実験。
各自各自が自分で考え行動して授業で学んだことを活かし魔法を研究しつつ実験という名目でぶっ放す素晴らしい授業となっている。
そしてこの授業…なんとサボることが可能である。
何せこの授業では魔力がなければまず実験という名目で魔法を放つことができない。
その為魔力が尽きていれば簡単に休むことが可能となるのだ。
だがそんな出来るだけ体力を使いたく無いそして授業をやりたく無い私に一つの障害…大きな壁が立ち塞がった。
それが側付きという身分である。
それのおかげで今の私はレイベル殿下に付きっきりになってしまいズル休みすらできない状況になってしまっている。
しかもだ…この殿下は真面目すぎる。
授業を休む暇なく魔法を授業開始した時から撃ちっぱなし魔力が無くなればMPを回復させる薬を飲む。
それを無限ループの如く行う。
そんなに魔法撃ったりMPを回復して身体に異常が起きないのかと心配するぐらいだ。
「レナ嬢ッ!『マナポーション』を!」
こうして考えている間にもレイベル殿下からは魔力を使い果たした為それを回復させるポーションを要求される。
ちなみにだがこの『マナポーション』だがコレは授業が始まった時殿下から渡された物だ。
だがこの『マナポーション』には一つ不可解なことがある。
それは飲んでも飲んでも容量が無くならないというものだ。
明らかにその容量以上の量を殿下が摂取しているのにも関わらずこの『マナポーション』はその容量を尽かさない。
やはりコレは異常だと思う。
となればこの『マナポーション』と殿下が言っている物は本来の『マナポーション』ではなく別の物ではないだろうか?
そう例えばアーティファクトのような代物だと考えるのが妥当だろうか?
「にしてもこの状況は側から見ると…やっぱり異常にしか見えないなぁ」
そんな独り言を呟く。
まぁこの状況を見れば誰でもそんな言葉も出てくるだろう。
何せコレが殿下だけだったら「あぁ金に物を言わせたんだなぁ」とか考えることができるがこの『マナポーション』は私以外の皆がそれを片手で持っており一心不乱に的に向かって魔法を発動しているという正気とは思えない状況にいるのだから。
この『マナポーション』どのぐらいの価値があるのか正直な所わからないがめっちゃ高いのは確実だろう。
それをクラスの全員が所持している?
…なんなんだここは?
私は一体全体どこにいるのだ?
私は学園にいたはずだがいつの間にか軍の育成機関にでも来ていたのか?
いやまぁそんなこと考えなくちゃやっていけねぇんだよなぁ。
私を除いたクラス全員が一心不乱にポーションを飲みまくり一心不乱に魔法を詠唱して放つ…そんな常軌を逸した状況を見た貴女はSANチェックです…と表すぐらいにはココはヤバい。
「そうだレナ嬢…レナ嬢も一緒に魔法を撃たないか?ポーションはワタシのを使ってもいいから」
そんなことを考えていると急にレイベル殿下がそう話かけてきて話が終わると自分の練習に戻っていった。
いや…つかえるわけないだろうがよぉ。
仮にも殿下が口にした物だぞ?
あと私自身忘れていたが私は女だぞ?
男が口にした物を女の私が口にするってなんかこうさ…やっぱりダメだろ?
「でもまぁ魔法の練習…それぐらいはやるか」
一応コレも授業だからな。
ポーズだけは取っといて早々に休むというのもありっちゃありか。
ココで魔力を使い果たしていれば先生が「魔法撃たないの?」って聞かれた時に言い訳できる理由になるし。
そう考えて私は立ち上がり『マナポーション』を魔法を撃ち続けるレイベル殿下の後ろに置き皆が密集している所より離れた人のいない的の方へ歩き出す。
にしてもこうしてみると皆が皆色々な属性を魔法として放っているのがよく見える。
見えるのはいいんだが…まぁこう言っちゃなんだがめっちゃ目に悪いね…うん。
「さてと…魔法を撃つかぁ」
そう呟き記憶に新しい部分を頭から引っ張り出す。
確か私の適性属性は…風と雷と闇そして無属性だったか。
そして授業で習ったことを参照すると雷属性は確か上位属性とされていて火属性と水属性と風属性が混合されたものとされているから副適性属性として火と水属性が私は得意なのか。
「まずはどうしようかな?風属性の魔法でも撃ってみようかな?」
魔法というのは魔術とは違い先天的な才能のみで構成されるものだ。
そして魔法で一番大事になってくるのは詠唱その次にイメージ。
まぁイメージはぶっちゃけ補助のようなものでイメージすれば言葉が出てきて詠唱できるでしょ?ってな感じぐらいの 意味しかないのだとか。
…結論詠唱さえ良ければ全て完璧になるというわけだな。
そんなことは置いといて魔法に関しては私は初心者なわけだし何も考えず愚直につべこべ言わずに早速やってみるとしますか。
「新緑なる風よ!我の敵を吹き飛ばせ!『ウィンド』!」
そう詠唱を始めると身体の内側から何かが抜けていくとともに自分の目の前に目で見えるほどの魔力の塊が生成されていき詠唱が終了し技名を言ったことによりその魔力の塊が突如として変異していく。
その塊は空気に消え空気が歪み風となる。
そうして魔力によって作り出された風は的に向かっていき衝突する。
風は土埃を起こし的を吹き飛ばそうと強風となり襲いかかり…そして突如その風は止まる。
それはまるで言葉によってプログラムされたまさに神が作り出したと言える技術と言わざる負えなかった。
言葉を綴りその言葉をキーワードとして魔法が発生する。
さすが神が直々に人や魔物に授けた技術とあってすごいモノだと言える。
「まぁ…コレだったら魔術の方が強いが」
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