第120話
不貞寝した次の日…えー本日は雲ひとつ見ることができないほどの快晴也、降水確率知らない也。
まぁそんな感じで今日も私は元気なわけなのだがどうやら他の皆さんはそうでもないらしく。
「……………」
私が登校してからだろうか?
私がこの教室を入る時までは皆喋って賑やかだったんだが私が教室に足を踏み込んでからはこんな感じだ。
誰一人として喋らない会話をしない皆んなして私のことを見てくる凝視もしくはチラチラと観察するかのように見てくる。
な、何かやっちゃいました?
私は知らず知らずのうちに変なことをしてしまったのだろうか?
そんなことを考えながらなんか気まずい雰囲気だったため席に座り適当にこの視線から顔を隠すために教科書を顔面ギリギリに持ってきて読んでいると教室の扉が開き「おはよう」とレイベル殿下の挨拶と共に皆が一斉に挨拶をしてさっきまで何事もなかったかのように会話をしだした。
やっぱりさっきまでの視線は私が何かしたからなのだろうか?
そう思い頭を捻り私が何をしたのか考えるが一向にその答えは出ない。
なら休日に何かしてそれが広まった?
とか考えてみるが仮に私が何かしたとしてそれが1日2日で広まるなんてありえないだろう。
何せこの2日間は休みで皆の家はバラバラだし人伝で広めたとしても皆が皆知るなんてことまずないだろう。
誰かしらは知らないっていう人が出るだろうし…コウキ君なんていい例に上がる。
あの感じだと昨日のコウキ君は冒険者ギルドでの戦いの後ギルドマスターに呼ばれて夜まで説教コース確定だった筈だから人伝が来るなんてこと無いはず…だったら今日聞いたからという可能性も上がってくるが。
いやいやそれだったら休み1日目の時に聞いたという可能性も出てくるのか?
まぁどう考えても私が何かやってしまってこんな雰囲気になってしまったのには変わりはない…私は一体何をやらかしたのだろうか?
そんな風に頭を掻き考えていると扉が開き一人の男性が入ってくる。
「えぇでは…おはようございます。コレから朝の報告を行いますので席についてください。えぇっと今日の予定は…特に無いみたいですね。えぇではコレで朝の報告を終了します。各自1限目の準備を行ってグラウンドに集合するように」
そう言うとマクローバ先生は教室を出ていきそうしてまた教室はそれを合図に騒がしくなっていく。
私はさっきのこともあってかなんとなく居心地の悪さを感じながらその席に座っているとこちらにレイベル殿下が歩いてきたのが見えたためそちらの方を向く。
「やぁレナ嬢。おはよう…今日からは君に側付きとしての初めての仕事をしてもらいたいんだけど…できるかい?」
側付き…それは高い身分の護衛やらをすることでありこの学園の場合は一緒に勉強をしたりするパートナーのことを示すとされている。
その側付きは対象が勉強でわからない所を教えたりすることが存在意義であり仕事であるため通常の生徒より何倍もの努力、勉強が必要でありかなりキツイと私は教えられている。
まぁこの1週間である程度勉強したし側付きの先輩も紹介されてその人の意見やらなんやらを学べたからある程度のことはこなせそうだが…。
「まぁ…一応は」
私から言えるのは曖昧な言葉だけだ。
はっきりとした言葉を言えば期待を裏切った時が怖いし出来ないと言ったら言ったで失望されるかも知れない。
そんなことを避けるために私は曖昧でどっちつかずな言葉で言い淀む返事を言い返す。
「うむ、なら良し。じゃあ早速今日の1限目から頼むよ?」
そう言うとレイベル殿下は自分の席へと帰っていく。
今日の1限目…それは魔法実験という科目だ。
この学園には一定のリズムというか1週間の時間割というものが存在しない。
その代わりその日その日に担任の先生がなんの授業をするかを考え授業を朝に決めて予定として黒板に貼り付ける。
え?教科書とかどうするんだって?
そんなの置き勉に決まってるじゃないか…いちいち教科書を寮に置いていたら戻って取りに行く羽目になるし。
というわけで今日の1限目は魔法実験だ。
まぁ実験といっても薬品とか扱ったり先生の長ったらしい話を聞くわけじゃ無い。
魔法実験というのは魔法基礎で習ったことを自分達でやってみようというのが主な内容だ。
そこに先生は口出しこそするが基本的には自分達で考えて魔法を習得、訓練するのが目的とされる。
まぁ武術基礎の魔法版と考えるのが一番早いだろう。
「ってそろそろ始まりそうだから移動しなきゃ」
…少女移動中…
というわけでやってきましたのはグラウンド。
やっぱりどこの世界でも体育とかの身体を動かす系の授業では授業前から授業を行っているのかと思うぐらい動く奴はどこにでもいるようで早速グラウンドに来た男子一同は自分のできる魔法を自慢するかのように的に向かって撃ち続けている。
その中には勿論殿下もいるが私の方をチラチラと見ながら魔法を撃っていいのか視線で会話しようとしてくる…殿下としては自分も混ざって自慢の魔法を見せたいのだろうけど…授業中に魔力が尽きてしまったら授業ができなくなってしまう為殿下から受ける視線に向かって首を振る。
そんな中女子達はというと…まぁ会話しているな…うん。
中には男子に混ざって魔法を撃っている奴もいるが圧倒的に女子は女子と会話している奴が多い。
私はこういう時どうしているかと聞かれたら…そうだな無難に授業が開始するまで棒立ちしていると答える。
何せ男子のグループには入れないし女子のグループには入れはするけど会話についていけない…というかこのクラスは貴族が多いから話の内容が知らない人の話か高級ブランドの話しかしないせいでついていけたとしても疲れそうだから会話をしたく無いってのが本音かな?
まぁ何か聞かれたら話に乗るって感じだ。
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