第115話

帰る最中にも草や石を採取しつつ帰り部室に帰還し私達は部室の端っこの方へと移動し錬金術を行うこととした。

役割としてはネルちゃんは錬金術で物を作り私はそれを見ながら真似をしたり錬金術の中間素材なんかを作るという感じで作業を行う。


そこで今私が何をしているかについてだが…まぁ普通に雑草の仕分け作業を行っている。

雑草というのはそれぞれに名前があり錬金術の素材にすることで効果が違ってくる。

その為一つ素材を間違えば全然違う効果を持ったものが出来上がったりする。

面倒な作業ではあるがこうした作業をすることで錬金術は行われているのだ。


「…さてそれでは第一回錬金術を行う…拍手…わぁぁぁ」


そう突然ネルちゃんが言い始め作業を止めて拍手を行った。

どうやらこの地味に面倒な作業に飽きたらしい。

…あとで私だけで行なっておくとしよう。


「ではレナ助手。錬金術となんなのか予習のために説明してくれたまえ」


「えぇっと…簡単に言うと物と物を錬金することで一つの新たなものにすること?」


私がそう答えると少し悩んだ顔をした後にうなづく。

まぁ簡単に言ってしまえば私が言った通りなんだが詳しく言うと少し違ってくる。

錬金術とは、この世の全てに与えられている属性を抽出したり物と合わせ魔力による加工、変形させることによって魔素物質つまりは錬金素材にしそれを更に手を加えることにより物を作り出すことを可能とする技法のことだ。

このことから全ての物質には属性が付与されているということがわかる。


では何故それぞれ一つの素材で効能やらが変わってくるのかというとそれぞれの物質には属性が付与されていてその物質に含まれる属性の多さにより効能が若干の差だが変わってくるとされている。

まぁ組み合わせによってはかなり変わってくる奴とかあるらしいけども。


「これより錬金術を開始するッ!」


そう言い私たちはゴーグルをつけて作業を開始する。

今回作成する物はさっき採取してきた草と石で作成することができる『弱薬効肥料』という物質だ。

ちなみにだがこのゴーグルも錬金術で作成される物で効果としては素材の属性の数値を観測することができる物となっている。

ちなみにだがかなり高価な為、個人で手に入れるにはかなり困難だ。

まぁ私たちは学園の生徒だから先生のを借りることができるから借りて付けることが可能なのだが。


それで今回使う草と石はというと草は『ソコラノクサ』で属性は風と土、数値はそれぞれ12と2とされており石の方は『軽石』で属性は土のみ数値は14となっている。

まずはこれを加工するのだがまずは石を力で粉々にし草を細かく煮詰め草の効能が滲み出た汁を作る。

石を粉々にする作業はかなり力を使う作業で力が弱い錬金術師はどうするのかと言う疑問が出てくるが…まぁそこら辺はどうにかして加工をするらしい。


さてそこからはかなり簡単だ。

草を煮詰めた汁に粉々に砕いた石を入れそこに貴重な魔素水を一滴入れてかき混ぜる。

するとだんだんと色が変わっていきそこの方に固まった固形物のみが残る。

これが今回作る目標だった『弱薬効肥料』だ。

使い方としては削って畑に入れるだけで薬草や野菜の育ちがちょっとだけ良くなるという農家御用達のよく錬金術師が店をやっているところで安値で売っている物質だ。


「うん…作成完了。ではこれを作り続ける」


そう言いネルちゃんはそのまま作業を続けるよう指示してきたため私は部活終了ギリギリまでその肥料を作成することとした。


…少女錬金中…


時間にして1時間が経過し私たちの部活は解散する流れとなった。

ネルちゃん達は貴族のためこの学園の外の街に借りている家に帰り私は一人この学園寮に帰ることとなった。

にしても今日はかなり濃い日常だった…。

この学園を案内してもらってこの世界の体育とも言える武術の授業で殺し合いとも言えることを行って新しい友達とこの学園の外に行って素材を取ってその素材で錬金術を行う。

かなり濃いと言えるんじゃないだろうか?


「この世界に来てから一番楽しかった…かなぁ?」


確信はできないが今日は一番楽しかったのではないかと言える。

新しい友達と出会い遊びのようなことを行って普通に勉強を行ってこうやって帰路に着く。

こうした日々は懐かしく面白い。


「気まぐれでここまで来たが…かなり面白いことになりそうだなぁ」


そう呟き足を進め寮の前まで行き扉を開け中に入り自分の部屋に入り寝床に着く。

にしてもこの学園で魔術という存在はどう扱われているのだろうか?

冒険者や探索者をやっているときはあんまり考えてはなかったが今改めて思い出してみると魔術や魔法陣を扱う奴はいなかった。

それに本の知識では魔術というのを使っている奴はそんなにいないという風になっている。


それが本当なのか定かではないし魔術を使ったことでいじられるかもしれない。

何せ自分にできないことを羨み嫉妬するというのが人間なわけだから。

…現状はまだ使わないようにしておこう。

今はあのクラスの人が信用できるか見定めて…それから考えてみようかな?

そう考えた後飽食の胃袋から取り出した食材を口に運び咀嚼する。


「ふぅ…今日はもう寝ることにしよう。難しいことは後で考えればいいでしょ…」


そう呟き寝っ転がって掛け布団を身体に掛けて目を閉じた。

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