第114話
そんなわけで二人で学園近くの森にネルちゃんと一緒に来たわけなのだが…初心者用の錬金術の素材というのはまぁそこらへんに生えている草でもいいわけで私達は二人でそこらへんの草を刈り取るという作業を行なっていた。
といっても錬金術には素材の質によりかなり品質やら錬金成功率が左右されるから無闇矢鱈に刈り取るなんて事はせずちゃんと草の艶やら色やらを細部細かくみてから採取してはいる。
まぁ私には『採集』というスキルがあるからなんとなくそこら辺の草を引っこ抜くという荒技をやって採取しているんだが。
「ん…レナちゃんこっちきて」
そんな感じで草やらなんやらをネルちゃんからもらった袋に詰めてしばらく経った時ネルちゃんからの声が聞こえそちらの方へと向かうこととした。
そこには表すなら写真などで見たエメラルドのような色の茎をし宝石のような実を一粒付けた鈴蘭のような草がありその前でネルちゃんは困った顔をしながらその場にとどまっていた。
「ネル…ちゃんなにがあったの?」
「この実、珍しいやつだから欲しい…だけど魔獣集まってくる」
そうネルちゃんが呟くと再び宝石のような実を見続ける。
つまりこれはあれか…この草についている実を取ると魔獣やらなんやらが集まってくるフェロモンやら匂いを発してしまうというイベントが発生するけどそれでもこの実を取りたいというわけか。
んでまぁ集まってくる魔獣によるけど被害が出るかもしれないからこうして渋っているわけだな。
「別にとってもいいよ…魔獣は…できるだけ対処するから」
こういう珍しい物は採取するに限る…これは昔からゲームをやっているゲーマーにとって大事なことだ。
危険を犯しても珍しいものという物はゲットして置きそうして使わない。
これは誰しもが通る道であり好奇心がある限り仕方がないことだ。
だからこそ許可する…それに私もこういう宝石やらキラキラしたレアなものは取っておきたい性分なのでね。
ここでとっておかなきゃ絶対後悔するだろうから。
というわけで作戦会議だ。
ネルちゃんが宝石のような実とエメラルド色の茎を採取する。
そして私がそれによって集まってくる魔獣を対処する。
うむ我ながら完璧な作戦だ。
「じゃあ作戦…開始ッ!」
そう言うと同時にネルちゃんは採取を始める。
どうやらこの草の名称は『森の一雫』という名前であり万能薬の材料やら高度な錬金術の素材に使われるとされる物で森に長年生え続けた草むらにすごく稀に突然変異して現れる草とのこと。
価値はそれこそ金貨100枚あっても足りないぐらいだそうで希少で貴重な草だ。
そしてネルちゃんが採取を始め実に触れた時だった。
その実に触れた途端に周囲には表現するとしたら甘い匂いが発され周りの草むらからガサガサと音を立て始めていく。
だがここで何も対策していない私ではないのだ。
「アーススパイク…起動ッ!」
そう私が発すると私達を囲むように土の針のような物が無数に地中から天に向かって高々と勢いよく伸びその音の原因を串刺しにする。
魔術はできるだけ見せたくはないんだが…まぁ仕方がないだろう。
何せ今回集まってくるのは魔獣と言う魔物より危険と言える生物だ。
もしかしたら知性を持つ奴も来るかもしれないという面倒な状況な為これは仕方がないことなのだよ。
まぁだからといって森に火を放つわけにもいけないし雷は…火がつくかもしれんからなぁ。
水を使うには私の想像力では攻撃性を持たせるのは無理だし風は匂いを更に広げてしまうから闇と光は周囲の地形を抉っていく魔術しか知らんことから今回は土を使うこととした。
土だったら魔術を発した後魔法陣を解除すれば朽ちて地面に落ちていくから使い勝手が良い。
「…それにこの匂いは採取する為の瓶に入れれば匂いが消えていくみたいだしね」
そう呟きながらネルちゃんの方をチラッと向くとどうやら土を掘り起こした草を大きな水で満たされた瓶に入れている最中のようだ。
あの瓶の水もかなり貴重な水なんだっけか?
確か魔法水という魔素が含まれた水で植物の栄養なんかを水に溶かさず植物を枯らさない効果を持ち他にもポーションやらの錬金術や調合にも使われる万能水だったか。
作れる人がかなり少ないらしいからかなりの金額になるらしいが…。
えぇっと串刺しにされた魔獣は…確かあの大きな一本角を持つ兎はフォレストアルミラージで…あの大きな牙を持つ猪のような奴はイノシシオドシとかいう猪のようだが猪ではない奴だったかな?
確か子供の頃は猪の家族に紛れて育ちその猪の子供を食べて生き延び大人になってからは猪のような姿で人里に降りて狩人を騙してその強靭な皮で狩人の矢を防ぎ狩人の肉を喰らうとかいう奴だったはず。
まぁ冒険者からしてはパーティで連携すれば簡単に倒せるかなり美味しい獲物だったはずだ。
「ふぅ…これで採取完了。じゃあそろそろ帰ろ」
そんな風に私が魔術にかかった獲物を見て考えているとネルちゃんの採取が終わったと言う声が聞こえそちらの方を向くと大きな瓶をキラキラした目で見ているネルちゃんがいた。
んで私はその前にアーススパイクで狩った獲物から素材を採取しようと思ったが…まぁこれだけの時間だ。
普通に肉食の鳥やら獣が集まってそれを喰らっている為採取は…無理そうだなぁ。
「わかったそれじゃあ帰ろっか?」
私は魔法陣を解除し獲物を地に降ろしネルちゃんと一緒に部室に帰ることとした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます