第113話
授業が終わった後の放課後に私はここで解散して各自自由の時間になるのかと思っていたのだが…どうやらそんなことなかったらしく私の近くには今日一日で見慣れた面々がそこにいた。
話を聞くとどうやらこの学園にも部活動なるものがあるらしく私はそれを紹介されるためにこの面々について行っている。
私的には部活動なんぞ面倒で仕方ないから入りたくないんだが…この学園の規則により必ず何かには入っていないといけないらしいため仕方なくついて行っている。
この学園の部活動というのは数が多くあり鍛錬部やら研究部やらと色々な部活動が存在する。
その部活動の一覧を先生からもらった紙に載っていたから見てみたがその数の多いこと多いこと。
本当にこんなに必要かと思うほど同じ意味だろと思うような部活動があった。
そんで私は別にこれといってやりたい部活動とかない…そのためこうしてレイベル殿下達と共に殿下が入っている部活動に建前上は護衛目的で入ることになり一応まだ入部届けを出していないため今回は紹介という形で移動しているとのこと。
「ついたよ…ここが私達が所属というか創部した『叡智探究部』だよ。…まぁ部員はSクラスの人しかいないから部室というよりかは教室に近いんだけどね?」
そう言うと周囲にいたクラスの面々はそれぞれやりたい事を始めていく。
その状況に私は何をするのかわからなくなりその場でぼーっとしていると肩を叩く感触がしそちらの方を向くとそこには私より身長が少し高い少女の姿があった。
「えぇっと…ネルベル・フェアリーベール・マークス・ツリータウンさん…だったかな?」
「…うん。そう」
私より少しだけ高い身長に腰まで伸びた金色の髪。
そして特徴的な細長く横に伸びた耳を持つエルフであるネルベル・フェアリーベール・マークス・ツリータウンさんは確か爵位は侯爵だったはずだ。
印象的にはあまり周りとは喋らないと思っていたんだが…。
「レイベル殿下は古代文字の解読やってる。コウキ君ハーレム?になって魔法の研究している。ネルベル達何する?」
「…えぇっとネルベルさん?…何をすると言われても…」
そう私が口にするとネルベルさんは口を尖らせこちらを半目でみるようになってしまった。
えぇっと何か間違えただろうか?
いや言い方が悪かったのか?
「あ、あのネルベル…様…ちゃん?」
「むぅ違う…ネルベルお姉ちゃん…さん、にー、いち、はい?」
そう言われ私がしどろもどろしていると一度普通の顔に戻った顔が段々とまた半目になって行き明らかに不機嫌になっていることがわかる。
それでも私はそんなお姉ちゃんということを拒否し続け遂には「ネルちゃん」と言い続けなんとかネルベルちゃんから「妥協」という声をもらうことができた。
「じゃあレナちゃん…私達は何する?」
そう言いつつネルちゃんの手には『これで君も錬金術師』という本をキラキラとした目をしながら持っている。
それを見た瞬間思った…あぁこれ絶対に助手とかやらされる系だ…と。
「えと…じゃあ錬金術…やってみたいかな?」
「わかった直ぐに準備する。これ読んでいて今から準備してくるから」
そう言いネルちゃんはその小さい身体を駆使して人と人の間を駆け抜けるとどこかに行ってしまった。
そうして取り残された私はネルちゃんが来るまでネルちゃんから渡された『これで君も錬金術師』という本を読むことにした。
といってもそんなちまちまと時間をかけて読むのもなんだし本をペラペラとめくり重要そうな文章や情報を頭の中に残す速読で本を読んでいく。
ふむふむ内容的には結構簡単な錬金術の入門書と言ったところだろうか?
こういう錬金術の本は探索者をあっちでやっていた時に時間があったら適当に読んでどうにか魔術に応用できないかだとかインスピレーションが起きないかとかで読んでいたがこういう風に覚えるために読んでみると見方が変わってきて中々に面白い内容だな。
特に最後らへんに書かれていた生命の錬成なんかはまだ実用的ではないが世界では成功はしていると書かれておりなんというか浪漫を感じる。
やはり錬金術の永遠の命とホムンクルスという生命の冒涜というテーマには男ならではの浪漫を感じて良い感じだ。
うむうむ永遠の命…生命の冒涜…総じて厨二病…なんというか…頭が痛いな。
そんな風に考えながら本を速読し終わると同時に前方からリュックを背負ったネルちゃんがやってきた。
頭にはなんというか考古学者が被っていそうなベージュ色の帽子をかぶっておりいかにもこれから遠出する格好で私の前までやってくると私の手を引き部室から飛び出した。
「これから錬金術の素材を採取する!…助手のレナちゃんよろしくお願いします」
その急なことの理由を聞いてみるとどうやら錬金術をするには素材が必要だがその素材は錬金術専門の部活に入らなきゃいけない。
だが一人で錬金術専門の部活に入りたくないから『叡智探究部』に所属したが自分以外錬金術に興味がないため孤立していた。
そこで錬金術をしたいため錬金術の素材を森から取ってこようと思ったがネルちゃんは自分を守る術が少ないため不安であったがそこにあのマッスル先生を連携して物理で倒す私ことレナちゃんが登場。
そうして考えた結果私を助手にして一緒に森に行って素材の採取をすればいいと判断したようだ。
「一緒に錬金術…ダメ?」
私はその言葉を聞き一瞬の迷いもなく「いいよ」と返事を返しこうして私達は二人で学園の裏手の門から出て近くの森の中に入っていくこととなった。
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