第111話

というわけで私達は運動用の服に着替えグラウンドへと訪れた。

え?着替えの時更衣室に行ったかだって?

そんなん定番のトイレで着替えましたけど?

まぁそんなこんなで私は一人で不自然にならないように集団から抜け出しいつの間にかまた集団の中に入っているという技をやりながらグラウンドへと集合したわけだ。


「それではッ!これより5限目の武術基礎の授業を行う。さてみんなはこの授業は初めてだろうから私の自己紹介を行うッ!私が私こそがッ!この武術の師匠であるマッスル・マッスルであるッ!」


そうマッスル管理人…先生が言うと頭を思いっきり地面に叩きつける勢いで下げ砂埃を舞わせる。

そしてそのまま頭を思いっきり上げもう一度周囲に砂埃を舞わせた後自分の事を喋り出した。


どうやらマッスル・マッスル先生は爵位を継承できなかった所謂次男坊らしくそのまま筋肉を磨き冒険者で活動してきたところこの学園に勧誘されたらしい。

そんなマッスル・マッスル先生は武術系統の授業を担当しており他にも生徒の食事関係の栄養指導や態度や成績が悪い生徒への生徒指導を担当しているらしくもし何かした際にはマッスル・マッスル先生が直接指導してくれるらしい。

まぁお世話になることは多分…おそらく…きっとないと願おう。


「さてでは今日の授業だが模擬戦を行うッ!だが先生はお前達生徒の情報が全くない…だから生徒対先生で行う。さぁどこからでもかかってくるがいいッ!魔法でもなんでも使ってきて良いぞッ!?」


そういうと先生は筋肉を隆起させ構えをとる。

その異常な現状を見たことであなたは心の底から筋肉に恐怖しました…成功で0、失敗で1D2のSAN値チェックを行なってください。


そんな状況に戸惑っているとポツリポツリと周りの人が立ち上がり構えをとり武器を両手に走り出す。

とある生徒がロングソードを両手に持ち上段から振り下げるが片手で止められ力任せにロングソードを掴みロングソードと共に生徒を投げ飛ばし弓矢が来ても筋肉の前で止まり地に落ちる。

またある者が自らの素早さで短剣を構え刺そうとするがそれでも筋肉の前で金属音が鳴り響き皮膚で弾かれされる。


その弾く動作の隙を着くために駆けつけたのがコウキ君とエアメルさんとディーネさんだ。

コウキ君が手に持つのは反り返った剣という刀に似た何かでエアメルさんが手に持つのは二つのナイフを持ちディーネさんが持つのは先の方に宝石のような物を取り付けた長い杖を持っている。

というかいつの間にユウキ君はここにきていたのだろうか?

さっきまでレイベル殿下達の刑によって動けなくなっていたのに…。


「行くぜッ!」


そうコウキ君が言うと加速して剣を振り筋肉にぶち当てる。

だがそれでも筋肉に当たった瞬間にギリギリとどこから出ているのかよくわからない金属音が鳴る…そうしてマッスル先生はその剣を掴み投げようとするがそこでエアメルさんが追いつき二つのナイフでその掴もうとする手を一つのナイフで押しのけて腹部を狙ってナイフで斬りつけようとするがそれすらも筋肉に阻まれ弾かれる。


「コウキ君ッ!エアメルちゃん準備できたよ!?」


突然ディーネさんがそう叫ぶと二人はその場から離れその場にはマッスル先生のみが残ることとなった。

私はその声に驚きながらもディーネさんの方に視線を向けるとそのディーネさんの周りには水の塊が出来ており段々とその大きさを増していく。


「生命の源となりし水よ…塊となり、我が敵を包み込めッ!『ウォータープリズン』ッ!」


そう言うとディーネさんの周りにあった水の塊は分裂していきマッスル先生にまとわりついていく。

最初は顔からまとわりついていきそしてから首、身体、最後に足を包み込んだ後もその周りに水の塊はまとわりついて行く。

これではマッスル先生が死んでしまうかと思われたが次の瞬間その状況は一変する。


「…ゥゥゥゥゥゥッマッッッスルッ!」


水の中からくもりながらもそんな声が聞こえるとそれは起こった。

突然水の中にいるマッスル先生がマッスルポーズを決めると共に周りにまとわりついていた水は弾け飛び中から無傷で水すらついていないマッスル先生の姿が見えた。


「ハハハッなかなか良い魔法だったぞディーネさん。だがコウキ君とエアメルさんだったか?もう少し私の行動を制限するようにしとかなければ魔物と戦う際には魔法は不発に終わってしまうぞ?」


そう言うともう一度その場でマッスルポーズを決め微笑みかける。 

というかなんでマッスルポーズをするだけで水が弾け飛んでいくんだ?

何かすごい魔法とか…使っているようには見えないから何かの武術の流派の技を使っているのだろうか?


「さて…レナさんボク達もそろそろ行くよッ!」


そう言い放ち手を引いてきたのは…レイベル殿下だった。

レイベル殿下は片手にロングソードを持ちながら私の手を引く。

私はその手を払い腰につけた訓練用に配布される鉄のナイフを持ちレイベル殿下に追いつく速さで走る。

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