第107話
あの豚を丸焼きにしてから数日が経過した。
それで私はというとトンガ子爵子息のいつのまにか結ばれていた依頼を破棄しレイベルとの依頼を請け負ったことで学園での対応が大きく変化して身の回りの生活がガラリと変わった。
まず1つ目として、私が泊まっているマッスルボディ寮には前までは私と管理人の二人しかいなかったが私がレイベルとの依頼を受けたことにより学園側では殿下の依頼を受けた冒険者を無下にはしてはいけないと判断したため使用人が配属され朝のアラームや食事の提供などを行ってくれることとなったためかなり健康な生活を送れるようなった。
次に2つ目が学園に通えるように調節してくれるとのことだった。
コレに関しては学園側でもかなり異例のことらしく困惑しているため返事に時間がかかったがテストに合格すれば一応入学を許すとのことだった。
…まぁ入学式も数日前に行われたばっかだし友好関係や授業内容にも支障が無くあまり大差ないからとの補足説明付きだったが。
というかこの学園は一応特例で貴族の息がかかっていない冒険者に護衛として依頼を受けさせて自分を守るという理由ならば冒険者を護衛に置くことができるとされているが…そこら辺はどうなっているんだろうか?
…私が考えても私は別にこの学園の偉い人ではないからそこらへん考えなくてもいいのは分かってはいるんだがどうしても気になってしまうなぁ。
「まぁいいか…んで今日がそのテストの日なんだが…どこ勉強すりゃぁよかったんだ?」
私にはこの世界の普通というものがわからない。
なんならこの国の騎士やらの名前や土地の名前なんぞはもってのほか…唯一わかるものとしたら魔法、魔術の知識か冒険者、探索者としての心得ぐらいしか知らない。
「まぁどうこう言って文句を吐いてもしただがないからもう準備していくとしますかね」
そう私は独り言を呟きテキパキと準備をして朝飯をガッツリと喰らう。
そうしてから私は今日テストが行われる場所へと歩いていくのだった。
…少女移動中…
「それではコレより試験を開始するッ!」
そう試験官が言い放つと同時に私は紙をめくり試験内容を確認する。
試験内容は全240分間の試験時間が設けられておりその時間内で歴史学、数学、法学、魔法学の4つの学問の問題を解くという試験内容だ。
まぁ前世との違いとしては休み時間という概念が無く私が知らない問題が多くあるという点だがな。
この歴史学の『神代1365年代の古代アティーラ帝国で起きた歴史的大氾濫のことを何の呪いと呼ぶか答えよ』とかわかるわけないじゃねーかよ。
数学はまぁまだ足し算引き算とかだから満点は確実に取れるだろうが…。
そして法学…神の名前とか普通神官でもないやつが覚えているとでも思うか?
こんなん無信教である私には出会ったことがある闇の神の眷属である神獣のバフォメルぐらいしかわからんぞ?
…適当にゼウスやらヘルやらの知っている前世の神の名前やら適当なこと書いておくか。
んで魔法学は…まぁ所々わからない点はあるがまだ歴史学と法学ほどじゃないからできるな。
そうこうしながら頭を悩ませあっという間に240分間という時間は過ぎていきテストが回収されていった。
そして目の前でつけられる採点…うわぁめっちゃ緊張するね。
待つこと数十分目の前の試験官の横には沢山の大事そうな紙が置かれており試験官はそれを見比べながら採点のチェックを行っていきそして…私の手元には一枚の紙が渡された。
歴史学:0点 評価:G
数学:100点 評価:S
法学:30点 評価:D
魔法学:84点 評価:A
総合平均得点:53点 総合評価:C
備考:王家からの推薦によりこの者の所属クラスはSクラスとする。
うん…ゴミだねこれ。
どっからどう見ても歴史学が足を引っ張っている結果が出ている。
いやぁマジで王家様様ですな…レイベル殿下の推薦がなかったらもしかしたらここで落とされていたかもしれんしマジ感謝ですわ。
まぁまぐれでも法学が当たったのが何気に嬉しいな。
「えぇっとでは、貴女は今日からこのアインスヴェルフィ学園の一生徒としての入学を認める。これからよろしくなレナちゃん?」
「…はい」
私は急な会話の切り替えに驚きながら自然に会話をしようと「よろしくお願いします」の念を込めて口を開き言葉を紡ごうとしたがそうして出てきた言葉はそっけない「はい」という一言に終わってしまった。
試験官はというと「ハハハ…ツレないねぇ」と笑って誤魔化してくれているがおそらく周りから見たら相当気まずい雰囲気となっているだろうな。
マジすんません…私こんな感じにしか喋れないんですわ。
「さて…えぇ会話も温まってきたところでねぇ。残りの戦闘試験は省いてプロフィールもチェック済みだから…教科書と制服は寮の方に送っとくね…後は何か聞いときたいことあるかな?」
そう言われて私は少し思考を回転させて悩むこととした。
ここで何か喋らなくてはきっと陰気で口数の少ない子だと思われてしまう。
いやしかしこれ以上聞きたいこともない。
ど、どうすれば…何か、何か聞かなくては…。
「え、えぇっと…ない…です」
「…ア、アハハハ。そ、そうだよねぇ急に聞かれてもわからないよね…。ハハ何か聞きたいことがあったら聞かせてね」
思考を加速させて回転させても出てくる言葉は「え、特になくない?」という言葉しか思い浮かばず結局、場を更に気まずくするだけに終わった。
そうして会話は淡々と続いていき今日のところはここで終了となり明日から早速クラスに行って挨拶して授業に入るとのこととなり解散という形になった。
はてさてこれから私はこんな性格のまま学園で友達ができるのだろうか?
そんなことを考えながら私は帰路に着いたのだった。
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