第101話
この変な名前をした寮で過ごしてはや3日が経過した。
来てからの3日間やったことといえば飯を食べたりここら辺を探索したりここの学園にあるグラウンドに行って剣術とかの授業を外側からただただぼーっとしながら眺める。
そんな感じで割と自由で退屈な日々を送っていたわけだ。
まぁそもそも私を雇っている貴族は外出を頻繁にしないみたいだし殆ど護衛とかする必要性が無いんだよなぁ。
この寮を管理する筋肉魔神ことマッスルさんによるとこの学園に来る冒険者は大体が金を払ってこの学園に通って勉強をしつつ副業で貴族を護衛している感じなんだが年に1人、2人は私みたいに無理矢理連れてこられてそのまま放置されることがあるらしい。
んでそんな奴を管理しているのがこのマッスルボディ寮なんだとか。
そんなマッスルボディ寮はなんと只今の寮生の総人数はなんと私と寮を管理する管理人の2人のみ。
…ちなみに昨年までいた冒険者の方は普通にやりがいがないからと違約金まで払ってここを去って行ったらしい。
そのぐらいここでやることがないらしい。
「さて…今日は何をしようか?」
まぁ私からしたら最近生き急ぎ過ぎというかなんというか働きすぎて休みとか考えずに行動していたからこういう時間は実はありがたかったりする。
丁度馬車の中であちらではできてなかったことを思いついたりしたからそれを試したいところだ。
「まずは…そうだな。この街の店舗を回って色々な物を買いに行くとしようか」
この街は色々な町がある中でもとても珍しい構造となっている。
それが城壁から店舗の何まで全てがこの学園の生徒によって作られておりその品々を売る店員もここの学院の生徒が大半を占めるという俗に言う街そのものが学園となっている正に学園都市とでもいうべき街なのだ。
さてそれでは外出をするとしよう。
只今の時刻は午前の8時を過ぎた頃、学園の方では一限目の前の朝礼とかの真っ最中とでもいったところだろうか。
確かこの寮にも門限というのは存在しており午後の6時を過ぎた場合締め出されるはずだったからそれまでに間に合えばいいかな?
そんなことを考えながらいつもの服に着替えて私は外へと出た。
寮を出て一直線に進むと正門のような物が存在しそこをから先は中世とは思えないような光景が広がっている。
この学園の魔法建築学科という土魔法使いのプロフェッショナルが作り出す高層ビルのような光景に外では見たことが無かったコンクリートで舗装された道。
ゴミはひとつも見えなくル○バのように地を這いながらゴミを感知して掃除する魔導士が作ったであろう魔道具。
そこには馬車の中では見れなかった近未来な景色が見え私の心が踊るような気分となった。
本当に何故ここはこんなにも近未来的な感じなのだろうか?
今までいたダンジョンのある街や歩いてきた王国にはこんな素敵な近未来風なものはなかった。
精々あるのは和風な灯籠のような光を灯す物ぐらいでこんな風な物はなかった。
私はこの街に感動した。
もしかしたらこんな建築に強い転生者か転移者でもいたのではないのだろうか?
いやぁマジで感謝だなそこは…ということはこんなことを平然とする奴のことだどうせ食文化にも貢献はしているはず。
…今から今日の昼ごはんが楽しみだなぁ…寮では飯とか出ないからなぁ。
まぁあの正に脳まで筋肉でできていますといえる野郎には作れんだろうが。
「さて最初は何を買おうかな?」
前世とかだったらまず食器とか家具とかを買っていたんだがこの身体になってからはあまりというか全く料理とかしなしまず『飽食の胃袋』があるから食器とかいらないんだよなぁ。
家具といっても元々寮の方に備わっているもので事足りるし…今必要な物…替えの服とかか?
考えてみたが確かにこの服と麻の無地でできたこの時代の農家が着るような服しか持っていないのはヤバいか。
何というか社会に溶け込めていないというか常識が無い人に見られるというのは社会人としてとても良くない。
そう、非常にこれは良くないことだ。
職場でも毎日ネクタイとかが同じだと陰口で「うわ、あの人あのネクタイ毎日付けてる…洗ってないのかなぁ?」とか主に女性言われたことがあるしネクタイのセンスが悪いだとか言われたことがある。
そんな過ちをまた繰り返すなんぞ良くないに決まっている。
ここはいっちょ流行りの物を身につけて社会的に友好的であるということをアピールして周りに溶け込まなければ…。
そんな時ふと視線を感じて周りを見渡す。
その視線、目先は一つのものに集まっており多くの人々が目に入れて歩く。
そう、それこそが…視線を集める的となっているのが外套を頭まですっぽり被り仮面をつけている私である。
そのことを自覚した瞬間私という人間は死にたくなった。
これこそ穴があったら入りたいというものだ。
周りの人達はこの風景にあった服やこの学園の制服を着ており誰も探索者や冒険者のような物々しい鎧や武器は持ち歩いては無くましてや冒険者がよくある顔を隠し古傷や醜悪を隠すための仮面などもつけている奴はいない。
精々仮面はアクセサリー感覚で頭にちょこんと置くような感じにしておりがっつりと被って顔を見せないようにしている奴はいない。
私という人間は恥というのにすごく弱い。
た、確かにダンジョンのある街でパーカーというこの時代に全く合っていない服を着て周りに色々な目で見られることはあったがそれは冒険者や探索者がまた変な服を着ている程度の視線だったが…今回はそれが違う。
その視線の意味は何でこんな場所でそんな格好になっているんだろうという好奇で珍獣を見るような視線を私に向けてくるのがよくわかった。
まぁあれだ例えるなら普通の学校に和服で登校してきた奴をなんであんな格好なんだろうと思うような視線だ。
そんな気配を自由に操作できその気配自体に敏感な私がそんな視線を向けられたらどうなると思う?
まぁ答えは単純明快で…死ぬほど視線が集まってくる感覚がして恥ずかしくて死にそうになるというのが答えだったりする。
そうして私は一歩足を踏み出し恥を噛み締め感情を殺しつつこの街の服屋へと入っていった。
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