第92話

さて、作る前にステータスの確認でもしておくか。

レベルが80に上がり表記がMaxになったこのステータス…もう見たくもないがコレが自分の限界ということなのだろうか?

まだまだ強くなれる余地が私にはあるのではないか?

まぁそんなことを今考えていることではないか…『開示』。


名前:レナ

性別:女

種族:人間

年齢:9

職業:原初魔法使いLvMax

状態:なし

レベル:Max

割り振りポイント:0

HP:152 MP:431

腕力:95 体力:118 俊敏:172

知力:553 魔力:431 器用:272

精神:70

職業スキル

召喚魔術:Lv8 並列思考:Lv2

スキル

気配操作:Lv Max 怨念:Lv Max 採集:LvMax

身体操作:Lv Max 反射:Lv1 魔の理解:Lvー

ユニークスキル

我流戦闘術:Lvー 暴食:Lvー 神ノ因子:Lv2

回生:Lvー 無情:Lvー

称号

孤児 死と生の狭間を体験せし者 癒す者 

克服者 我流戦闘術開祖 『暴食』所持者

倒錯神の加護 到達者


コレが今の私のステータス…レベルは80になりMaxと表記が変わり職業のレベルも Maxとなり転職が可能となっている。

まぁ召喚魔術はソロではかなり重宝するから職業は変えずにこの職業を使い続けているが。

そして振り分けポイント…コレは魔法陣の展開スピードを速くするため器用に振らせてもらった。


んでスキルに関してだが、反射以外のスキルはカンストすることができた。

そのおかげでどこになんの気配があるのか即座にわかるようになったり自分の気配を消すかのように薄くすることが前より上達した感じだ。

相変わらず反射は使わないからレベルは上がらんが…そんで称号なんだが…『到達者』コレが私を悩ます称号。


到達者:その者の限界へと至った者。

効果:無し。


限界に至ったということはこれ以上の成長はできないということと同義。

だからこそ私はこんな紙切れに書いてある変な物体に命をかけるほどの思いをした。

本当はわかっている。

こんな物を作ったところで別に私自身が強くなるわけじゃない…。


生き甲斐である強くなるということがなくなった私は何を生き甲斐にして生きていけば良いのだろうか?

金を稼ぐ?…そもそも孤児で生きてきて金がない時でも生きてこれた私だぞ…金には執着していない。

贅沢する?…贅沢なんか興味がない。

夢を叶える?…この世界での夢なんか無いな。

貴族になる?…なんか面倒くさそうだし顔色を伺う生活などしたく無い。


なんでも考えたって答えは思い浮かばない。

趣味もなければ集める物もなく夢もない。

これからは何のために生きていけば良いのかもわからない…。


「…今はコレを作ることに集中しようか」


私は頭を振り今までの考えをシェイクし手の中に持っている設計図に目を向ける。

まずは隕鉄石とウルツァイトの合金を作るらしい。

そしてから形を作り魔法陣を中心に埋め込み最後に表面に魔導回路という魔道士が使うとされる回路を使うらしい。


「まずは合金を使うための炎が必要か…魔法陣展開…ミニマム・ヘル」


サイズはできるだけ小さくしその後に自分に向かってアダプータを行う。

コレで合金にする準備は完了した。

まぁ私に鍛治の知識とかほとんどないから今からする事は本職から見れば鼻で笑われるぐらいの技術になるのだろうが。


そんなことを思いながら虚空庫から隕鉄石とウルツァイトをミニマム・ヘルの黒く燃え盛る炎の中に入れる準備を行う。

もちろんのこと私は鍛治をする道具もなければ何対何の割合で合金ができるのかさえわからない…だからこそ手作業で合金にしなければならない。


「…メタモルフォーゼ『フロストワイバーンの竜腕』…ッ!」


腕の骨が軋み皮膚からは鱗が生え筋肉は膨張し両腕に多大なる痛みが加わり唇を噛み必死にその痛みに耐える。

そうして出来上がった白銀の鱗にまみれた両腕で虚空庫から取り出した鉱石を持ちその手をミニマム・ヘルの中に突っ込んだ。

周りに人がいたら間違いなく正気を疑う行為だが知識も無く道具もない私にはこうするしかない。


流石800万℃を超える炎だけあるだけあって鉱石はすぐに溶ける。

まぁ当然私の鱗も溶けていき筋肉すらも液体状になり神経すらも焼き尽くし顔を顰めながら手に持つ鉱石を合わせ無理矢理合金にしていく。

もう純度なんか関係ない。

そうして溶かした鉱石をミニマム・ヘルから取り出し溶けて餅のように粘体となった鉱石を設計図通りの大きさ、形に合わせていく。


「コレで…一段階目は完了」


さて、次は最上級の光と闇の魔法陣を今作った部品の中核となる部分に固定するように設置するとのことだったか。

最上級ってのがよくわからないがまぁ自分で作った中で一番強いやつでも組み込んどけばいいのだろうか?

…光と闇が混じれば最強だったか…昔はそう思っていたが互いに反発し合うから対消滅するし仮にできたとしても周りの被害を考えるとそんなに使えないだろうなぁ。

まぁ魔法陣だけだったら発動する前だからそんなに反発し合わないだろうしコレはできそうだな。


「魔法陣展開…災禍!…そして魔法陣展開…煌天!」


この魔法陣が今私ができる最高の魔法陣…まぁどっちもかなりMPを食うし普通じゃ使わない魔術なんだが。

さてと次で最後か…今までの部品を組み立て魔導回路を書けば良いのか…どうやって書けば良いのだろう?

まぁ普通に魔力を爪に込めて傷を付けるようにしながら書けば良いか。

幸いというべきか竜の爪はまだ溶けずに残っている。


「…コレで完成ッ!」


爪に力を入れMPを込めて硬い合金の球体に魔導回路を書きあげる。

そうして私はようやくこの3年間の集大成とも言える物を作り上げた。


*今回使った魔術一覧*


煌天:指定範囲に天から光が注がれる。その光に触れた物は痛みなく崩れ去る。なお発動するまで時間がかかるという欠点がある。

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