第91話
それから私は自分の欲しい物を伝えたところサーターは難しい顔をしながら頷き私をある場所へと案内してくれた。
そこはいろいろな物が木箱に入っておりいかにも倉庫だとわかる場所となっていた。
彼女と倉庫の中を歩きそうしてある場所でその足は止まった。
目に見えるのは私が望んでいるウルツァイトという名がついた箱。
だがどう見ても中には小石程度の大きさの塊がいくつも入ってしかいなく私が作ろうとしている物には少し足りなそうに見えた。
「ウルツァイトというのはねこの街の近くの火山で昔の時代に採れたとされている鉱石なのよ」
私はそのまま黙りながらサーターの言うこのウルツァイトという鉱石のことを聞くことにした。
なんでもウルツァイトはアダマンタイトより硬く産出量も少ないことから採集された多くは連合国になる前の国に売っておりそれが長く続いたおかげで火山のウルツァイトの鉱脈が全てなくなるという結果となっているらしい。
ウルツァイトは主に外壁に使われ今でも連合国にある不壊の城壁の一部に使われてあるらしい。
「でもこの鉱石って今ではもう使われないのよねぇ…」
なんでもこのウルツァイトはドワーフでも加工が出来ないと言われており今では完全にどこにも売ることができない状態で倉庫の肥やしとなっているらしい。
だがこれでも立派な歴史を持つ鉱石。
それにこれでも商業ギルドなのでこんな使えない鉱石でも利益に繋げたいため捨てるに捨てられないという状況らしい。
「それで…もらっ…いや、買っても良い?」
私がそう言うとサーターは少し考えた後に指を5本私に突き出したので私は金貨に入った袋をその手に渡しウルツァイトを持ち上げそのまま帰ることにした。
ちなみにこの小石一つで金貨5枚とのことだ。
まさにぼったくりといえばその通りなのだが…まぁもう採集できない功績が手に入っただけラッキーと考えるべきだろうか?
そうして私は商業ギルドを出た。
まぁ出る際にサーターがおもてなしをしたいからまだここにいてくれだとかほざいていた気がするがまぁ空耳だろう。
さてコレをどう加工するか…だってドワーフでも加工ができないらしいからなぁ。
んでこのウルツァイトを今は加工できない理由は硬いからか?
だったらまず採集はできないか…となるとこの世界にはアダマンタイト程度の硬さをぶっ壊す威力を持つ強者がいるということになるな。
だが昔は城壁にできるぐらいの加工者がいたはずだし城壁を作るということができたということは加工できたのは一人ではないはず。
ここから導き出せることは…やっぱり定番な文句でいうと世界が衰退し技術が伝承されなかったということだろうか?
そんなことを考えながらダンジョンの前まで行き魔法陣に乗り私はいつもの狩場へと移動する。
移動した先はこの星屑ダンジョンの39層。
そう私はこのダンジョンの最深部にいた。
この3年ずっとダンジョンに入り浸り私はAランクを超えSランク設定されている36層を超えていた。
だがそんな快進撃を行なっていた私にも限界というのがきた。
このダンジョンの40層、階層主を超えられずにいた。
その理由というのが所謂ゲームで言うところのレベルキャップ。
レベルの上限に私は足止めを食らっていた。
これ以上強くなれない。
そのことを知ったのはヨグと離れ1年が経った頃のことだった。
ある時私は自分のステータスを覗きそうして私は知った。
レベルが上がっていない…レベル表記がMaxとなっておりコレが人の限界のレベルであるということをその身に実感した時だった。
すぐに私はこれ以上に強くなる方法を探した。
それが私の生き甲斐だった…強くなる、それがこの世界で生きることだと私は確信していたから。
この世は弱肉強食、殺すか殺されるかの世界だから私は強くなる手段を必死になって探した。
…結果見つかったのは非常に残念な情報だけであった。
探索者ギルドで見つけた一冊の本、題名は『絶対的優劣』というなんとも変な題名な本だった。
それには堂々と人間はこの世界において非常に大成が困難な生物であると書かれていた。
力は獣人より劣り知識はエルフより劣り技巧はドワーフより劣り魔力は魔族より劣り寿命は全ての種族より短い…唯一勝るのは統率力とどの環境にも適応できる適応力。
そのおかげで人間はゴブリンやオークのような繁殖力を持つことが可能であり他の種族と交わることでその種族の優れたところを獲得することができる種族として有名とのことだった。
つまりは純人間族である奴は強くなることができないと結果が出されているというのがこの世界の常識となっている。
だからヨグの種族には「?」がついていたのだろうか…?
まぁそんなことは今はどうでも良いか今は私が強くなる最後の方法であるこの設計図を完成させることだけを考えよう。
「ここだったら誰にも迷惑はかからないか…」
そうして私は虚空庫からウルツァイトなどの今回使う材料を取り出し準備に取り掛かることにした。
設計図にあるこの意味がわからない物にこの3年で私はそれしか縋る物がなくなってしまった。
私という人間は生きる意味がそれしか無くなってしまったのだ。
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