第63話
…アルキアン side…
僕の名前はアルキアン・アマガル・フォン・レインバード。
レイアン・アマガル・フォン・レインバード伯爵の次男である。
窓から明るい光が差し込み僕の意識は覚醒していく。
あぁ布団にくるまっているのに最近は寒いから布団からは出たくはないな。
そう思い僕は目を開ける。
「知らない天井だ…」
昨日は何をしたんだったっけ?
僕は少し頭の中で思考をして昨日のことを思い出す。
「確か昨日は…父上に怒られて疲れたからそのまま寝てしまったんだったか?」
僕は怒られた後長時間歩き吹雪に体を冷やされたおかげで身体が疲れ切ってしまいすぐに寝てしまった。
そのせいでレナがどこに行ったのか覚えてないんだよな。
レナって昨日どこで寝たんだろ?
僕よりも長く父上に怒られていたから僕、最後まで見てないんだよな。
「とりあえず頭もそろそろ覚醒してきたし起きようかな?」
僕は口でそう発し身体に力を入れて起き上がる。
にしても今日も寒いな。
レインバード領にいた時よりも寒いし出来るだけベットの外に出たくはないが…。
まぁ起きなくちゃ父上になんて言われるかわからないからな。
僕は起きあがろうとベッドに手をついて起きあがろうとする。
そして手をついたところに違和感を感じた。
なんというかベットより少し柔らかい?
そう感じて僕は手をついた方を見る。
そこには…仮面を外しているレナの姿があった。
いつもの少し長めのショートカットの白い純白の髪にいつもの黒色のパーカー。
レナであることは確実にわかることだった。
そうしてそのレナの姿を見て一言。
「か、かわいい…」
僕は気付けばそのような言葉を漏らしていた。
そうして僕は少しの時間レナの顔を見続けそうしてから僕の置いている手の方を見る。
その手は心臓のところに手が置かれていた。
ドクンドクンと心臓の音が手を通じて聞こえてくるようだ。
いやもしかしたら僕の心臓の音かもしれないが…。
「い、いや相手は男だ!僕はなんでこんな緊張してるんだッ!?」
と、とりあえず起きて父上に挨拶をしてこなければ!
僕はすぐさま布団から抜け出し着替えてからその場を後にした。
そうして部屋を出る際に僕は思ってしまった。
「そういえば…レナって男だとは言っていない気が…」
そんなことを考えてしまったが僕はすぐに首を振りその場を後にした。
…アルキアン side end…
そうして俺は目を覚ます。
今日も寒いなという感想しか出てこない。
窓からは雪しか見えないし…というか最近は雪景色しか見ていない気がする。
俺は起き上がり机の上に昨日置いた仮面を顔に被り外へ出た。
「うぅ…パーカーを一枚しか着てないからか身体が冷える」
パーカーの下にTシャツぐらいは着とくべきだろうか?
にしてもだ俺のこの服かなり薄いからこういう冬には合わないんだよなぁ。
そんなことを考えながら城の中を歩く。
にしてもアルキアンとか伯爵はどこにいるのだろうか?
…少女探索中…
部屋を出て王城を探し回ること数十分が経過した。
俺は歩いているところをメイドさんに見つかり伯爵のところまで連行されていく。
そうしてついたところは食堂だった。
各重鎮の方々が静かに座りながら食事をとっている。
「なんという俺の場違い感」
俺はいつの間にかそんな言葉が小さく溢れてしまう。
そんな声はメイドに聞こえたのかメイドの人は少し微笑を浮かべそのまま食堂の中を通り過ぎて俺を調理場の方へ置いてくれた。
周りでは調理師が忙しく料理を作っている姿が見られ俺も何かしたいという気持ちが込み上げてきてしまうがここでは俺は客ということになっているため俺が動いたら逆に気を使わせてしまうだろうと考えて俺はそのまま動かないことにした。
そうして待っていると俺をここまで運んでくれたメイドの人が俺に料理を運んで来てくれた。
メニューは白色の丸いパンが3つにコンソメスープの様な汁物そして普通に焼いたような肉。
野菜なんてのはスープの中に入っている物だけ。
少々俺にとっては朝から重い食事だがスキルである『暴食』がコレを喰らえと言ってくるので俺は「いただきます」と小さく呟いた後パンに食らい付き肉をスープと一緒に胃の中に無理矢理流す。
こうでもしなきゃこの肉は食えない。
何せ筋の処理がされていないし油がギトギトで獣臭さがかなり強い。
この中でまともな料理はパンだけだろうな。
スープも灰汁をとっていないのかえぐみがやばいことになっている。
それを平然とした顔で食っているあの重鎮らは正気なのだろうか?
そんな言葉が出そうになるが喉で抑え声に出すのを止め表情も明るく繕う。
はぁコレはメンタルが試されますねぇ。
「ごちそうさまでした」
俺はその料理を食べ終わり食器をメイドの人に預ける。
こんな朝から食べるものでは無いものを食べ終わりげんなりしていると食器を片付けたメイドの人が俺のことをまた持ち上げて移動する。
そんな俺には一つのことが頭の中に浮かんでいた。
「誰か異世界から来た人が料理を広めてくれないかなぁ?」
俺はそういう風に他力本願なことを考えながら身体の力を抜きメイドさんに運ばれるままになる。
本当に誰か広めてくれよ俺は料理得意じゃ無いんだからさ。
そう切実に願うのだった。
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