第54話
その声を聞き俺はすぐに身構える。
アルキアンは盗賊に興味があるらしく窓を見て今戦っている『ドラゴニア』を見ている。
『ドラゴニア』の皆さんは盗賊を剣で薙ぎ払ったり魔法を使い眠らせたところを心臓目掛けて魔法で殺したりしている。
さて、俺はアルキアンを守っていろとは言われたが…これは守る必要あるか?
今の状況は優勢で負けるということは想像できない。
一応『気配操作』で周りの気配を監視しているが周囲にいる人は…あっ!
いたわ敵対してくる盗賊が。
「方向は丁度この馬車の後ろかな?隠れて攻撃するのかな?」
とりあえずどうやって倒そうか。
ここを離れるわけにはいかないし…まぁ盗賊が目の前に出てきたようの魔法陣でも作っておくか。
アルキアンにバレないようにやらないとね…。
怖がらせるわけにも…いやこいつの場合は怖がることなんてないだろうけどまぁ守るように言われているからな。
俺らはしばらくアルキアンと一緒に窓から見える『ドラゴニア』の戦闘を観戦する。
そのまま見続けこと3分ぐらいだろうか?
ようやく馬車の後ろに隠れていた盗賊が動き出したようなのでアルキアンに気づかれないようゆっくりと後ろに下がり『気配操作』で見えている盗賊の方へ近づく。
どうやらこの盗賊は普通にドアから入ってこようとしているらしく今はドアに手をかけようとしているところのようだ。
まぁドアに手がつく前に倒すけどね。
音を出来るだけ立てないように素早くドアを開け手に準備していた魔法陣を驚いている盗賊に向ける。
「魔法陣展開…エアーカッター」
手早く魔法陣を展開して盗賊の首を切る。
全く悲鳴すら上げず盗賊はそのまま後ろにぶっ倒れ多量の血を噴き出しながら絶命した。
…『気配操作』に反応あり、まだいるか。
まだ『気配操作』のレベルが低いせいでわかる範囲が小さいから遠くのやつは知覚することができないからこうやって少し近づかないとわからないのが欠点だ。
まぁ使い続ければ自然とレベルが上がるから使わないということはないんだが。
「とりあえずやるか、魔法陣展開…アースボール」
アースボールを発射し数秒後『気配操作』での反応は消えた。
まぁ突然、豪速球の土の弾がきたら普通に避けられないよな。
頭に当たって亡くなったのかはたまた打ちどころが悪かったのか…ともかくご愁傷様だな。
俺は馬車に戻りアルキアンと一緒に窓で観戦を続けた。
帰ってきた時にアルキアンから「どこに行っていたの?」と言われたが俺はゴミを片付けてたと嘘をつきその場を凌いだ。
そのまま観戦を続けること5分後、盗賊を倒し馬車はもう一度動き出した。
『ドラゴニア』の皆さんと盗賊を倒した後話し合った結果盗賊が出るかもしれないから馬車は止まらずに今日は走り続けることとなった。
そんなことをしたら馬車を引く馬が潰れてしまうと思ったんだがここは異世界ということもあり馬車を引く馬に魔道具を装備しているらしくその魔道具の効果でまる5日も止まらずに走り続けることができるらしい。
そうして走り出して十数時間後ようやく俺達はレインバード領の中心であるレイン街にたどり着いた。
そしてレイン街の奥にある伯爵の邸宅へと向かう。
俺達は邸宅に無事にたどり着きそのまま解散することとなった。
アルキアンは俺達と別れる時なぜか名残惜しそうにしながら「また会おう」と言いながら別れていった。
『ドラゴニア』はどうやら伯爵の元で続けて依頼としての護衛を遂行するらしくそのままアルキアンと一緒に別れることとなった。
「さて、これからどうするべきか…とりあえず宿でも取って今日は休もう」
俺はレイン街へと歩き出す。
今はいち早く宿のベッドで寝転びたい。
昨日と今日で一睡もせずアルキアンを守り続けたせいでクソがつくほど今眠い。
「だがこんな時でも腹は減るんだなぁ?」
『飽食の胃袋』に手を入れて中の物を出す。
出てくるのは干し肉。
…もっと味がついたものが食べたいなぁ。
俺はある方向へと足を運び出す。
そうしてついたそこでいつも通りの注文をする。
やっぱここの屋台が一番美味しいと思うんだよね俺。
異世界の味にはまだ慣れていない…しょっぱかったり味が薄すぎたりしてあまり食えたものではない。
だが、ここの屋台で出しているものは美味しいの一言に尽きる。
「おっちゃん!串焼き5本ちょうだい!」
そう言われたおっちゃんは手早く串焼きを作り始める。
その顔は苦笑いといったところか。
やっぱここが美味しんだよね。
俺は硬貨をおっちゃんに渡してもらった串焼きにかぶりつく。
やはり丁度いいしょっぱさと甘さがあり焼き加減が絶妙で油もギトギトではなく逆にあっさりとしておりうまい。
「やっぱ食欲にはかなわなかったよ…」
スキル『暴食』の食欲上昇は思ったよりも凶悪なもので常に何かを食べていないと腹が空く。
この護衛でそのデメリットを痛感した。
まぁこれはどうにもならないだろうけど…それに見合う効果があればなと俺は思った。
とりあえず空腹問題はこれでいいとして適当に宿を取ることにした。
前みたいな宿ではなく普通の宿だ。
「はぁ疲れた寝よ」
宿のベッドへねっ転がり目を瞑る。
にしても本当にめんどくさいスキルを持ったものだ。
俺はため息を吐きながらそのまま就寝した。
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